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インタビュー:「LINE」、ドコモなどと提携の可能性=森川社長
2012年8月13日 / 07:37 / 5年前

インタビュー:「LINE」、ドコモなどと提携の可能性=森川社長

[東京 13日 ロイター] スマートフォン(高機能携帯電話、スマホ)から無料で通話やメールができるアプリ「LINE(ライン)」が利用者数を急速に増やしており、注目を集めている。

運営するNHNジャパン(東京・品川)の森川亮社長はロイターの取材で、7月に発表したKDDI(9433.T)に続き、NTTドコモ(9437.T)やソフトバンク(9984.T)とも今後、提携する可能性があると語った。

無料で簡単に始められる手軽さや絵文字で感情を表現する「スタンプ」機能が人気を呼び、利用者は世界230以上の国・地域に及ぶ。毎月500万人以上のペースで増え続け、昨年6月のサービス開始から399日で5000万人を超えた。そのスピードは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)最大手の米フェイスブック(1325日)や短文投稿サイトのツィッター(1096日)などを大幅に上回っているという。

4月下旬からはスタンプの一部有料化を開始。8月からは写真などを使って友人と近況を報告し合うSNS機能を追加した。年内には米国や中国にも本格進出を予定。利用者で9億人以上を誇るフェイスブックを追撃するため、まずは今年中に1億人の達成を目標に掲げる。『オープン』なネットワークが基本のフェイスブックに対し、既存の『クローズド(閉じた)』な人間関係にこだわったサービスを追求するライン。森川社長に戦略を聞いた。

インタビューの概要は以下の通り。

――利用者は5200万人、国内で2500万人に達した(8月10日時点)。ユーザー急増の背景をどうみる。

「もともとその人の持っている人間関係である電話帳が(ラインによって)『ひもづく』だけでユーザーが増えているという構造に因るところが大きい」

「パソコン向けサイトではなかなか国境を越えられなかったが、スマホではある意味、国境がなくなった。スマホだから海外に出ることができた」

――スタンプ(1種170円)販売は7月中旬で約5億円に達した。売り上げ目標は。

「スタンプの課金は順調に進んでいる。課金率や1人当たりの利用額を上げるというよりは、ユーザー規模の増加に伴って売り上げも増えているという状況だ。今は収益化の可能性に向けてチャレンジすることが重要。目標はユーザー数だけで、それ以外の目標はない」

――フェイスブックはモバイル分野での広告をどう収益化するかまだ見えていない。

「フェイスブックの場合はフェイスブックというサービスそのものが核。われわれは自社で検索(NAVER、ネイバー)やゲーム(ハンゲーム)などもやってきており、いろいろな事業での収益化のノウハウがある。内部で収益を循環する構造が作れるため、そこまでリスクを感じていない。例えば、ライン自体がもうからなくても、ラインと連携したゲームで収益を上げることができる。既存のビジネスモデルとラインのユーザー規模を組み合わせるだけで収益が上げられるという安心感がある」

「今のタイミングでは、ラインだけであえて黒字化しようとは思っていない。インターネットのビジネスではユーザー規模が一番重要。(ユーザー拡大が)難しくなったときにまた次の展開を考えるが、今は他の事業でキャッシュもある。ラインでは今、投資のフェーズ(段階)であり、ユーザーを増やすことが優先。収益化のフェーズにいつ移るかもまだ決めていない」

――KDDIの「au」と提携した狙いは。

「いろいろあるが、まずは安心安全という意味合いが強い。ユーザー数の増加に伴いトラブルが起きる可能性がある。特に未成年ユーザーへの対応はしっかりやっていかなければならないので、(年齢確認など)データの共有などで連携していきたい。信頼が一度落ちるとユーザーは離れていく。サービス品質の向上でも一緒にチャレンジしていきたい。データ通信量の負荷低減に向けて技術面でも協力する」

――NTTドコモやソフトバンクと提携する可能性は。

「話し合いはいろいろしている。(提携は)KDDIとだけと限定しているわけではない。安心安全という観点でいえば、(ドコモやソフトバンクとも)やっていかなければならないと考えている。まだ明言はできないが、可能性はある」

「われわれの一番の強みはチャット的なメッセージ機能。その点では(通信事業者にとって)単純にパケット収入が増えるだろうし、メリットのほうが多いはずだ」

――ラインを電子書籍や音楽、ゲームなども配信するプラットフォーム(基盤)にした。

「(狙いは)メッセージ機能を豊かにすること。コミュニケーションが取りやすくなるようなゲームなら、(ラインとの)連携がいろいろできると思う。例えば育成ものであれば、おじいさんが『花が枯れそうだよ』とメッセージして、孫が育てているお花に水をあげるなどというゲームはありうるだろう。ゲーム以外でも例えば音楽や書籍をプレゼントして、一緒に音楽を聞くとか一緒に本を読むとか、そういうニーズの方が市場規模的には大きいと思う」

――グリー(3632.T)やディー・エヌ・エー(2432.T)のようにゲームが軸になる展開は。

「われわれはコミュニケーションを軸にやっていきたいので、コミュニケーションの障害になるようなゲームをやるつもりはない。長い時間かけて戦ったり、取り合ったりするようなゲームではない。コミュニケーションするきっかけとしてどんなものがあったらいいのかを常に考えて、それをサービスにしていきたい」

――スマホ内の電話帳がサーバーにすべて『吸い取られる』ことにプライバシーやセキュリティを懸念する声もある。

「そういう意見があることは承知している。まずは何のために使うのかを明記し、(利用者に)同意していただくという事前確認をきちんと取るようにしている。データも暗号化して保存しており、セキュリティ面も多くのスペシャリストが管理して対応している」

――利用者1億人達成以降の目標や目指す姿は。

「スマホのビジネスではユーザー数で世界一にならないと結果的に生き残れない。1億人は通過点に過ぎないが、来年どうするか(目標は)まだ決めていない。インターネットの世界ではいつユーザーが離れていくかわからない。似たようなアプリも出てくると思うし、まずは良いサービスをきっちり提供することが重要だ」

――スマホを取り巻くビジネスの未来をどう予想する。

「ネット業界そのものが1年後どうなるかわからない。1年後を想定して何か目指せば、逆に失敗するリスクが高い。大事なのは目の前のことに集中することで、変化があったときにその変化にどう対応すべきかだ。先は読まないようにしている」

*インタビューは10日に実施した。

*「LINE」(ライン)

韓国のインターネットポータル最大手NHN(035420.KS)の日本法人NHNジャパンが開発したアプリ。昨年の東日本大震災をきっかけに身近な人と簡単に連絡を取り合える手段として生まれた。利用者登録をすると、スマホ内の電話帳のデータを同社のサーバーに取り込み、サーバー内にある利用者の電話番号と照合させ、自動的に双方をつなぐ。8カ国語に対応。NHNジャパン傘下にはオンラインゲームの「ハンゲーム」、検索サイトの「NAVER(ネイバー)」やポータルサイトの「livedoor (ライブドア)」などがある。

(ロイターニュース 白木真紀、斎藤真理)

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