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焦点:韓国総選挙、ツイッター世代の後押しで野党勝利の可能性も
2012年4月10日 / 05:27 / 5年前

焦点:韓国総選挙、ツイッター世代の後押しで野党勝利の可能性も

4月9日、韓国で11日投開票される総選挙は、世論調査では与野党が接戦を繰り広げると予想されているが、40歳代未満の若者やソーシャルメディアの後押しを受けた野党の左派勢力が勝利を収める可能性も。写真はツイッターの画面。2009年10月撮影(2012年 ロイター/Mario Anzuoni)

[ソウル 9日 ロイター] 韓国で11日投開票される総選挙は、世論調査では与野党が接戦を繰り広げているとされる。しかし蓋を開けてみれば、40歳代未満の若者やソーシャルメディアの後押しを受けた野党の左派勢力が、予想外の勝利を収める可能性がある。

従来の世論調査は固定電話所有者の意見を反映しているが、韓国で有権者人口の37%を占める20歳代と30歳代で固定電話を使っている人はごくわずかだ。

固定電話よりもサムスンの「ギャラクシー」や米アップルの「iPhone(アイフォーン)」といったスマートフォン(多機能携帯電話)を使うような若い世代は、総じてリベラル思考で、スマートフォンを通じてインターネットで意見を表明したり、広めることが多い。

政権与党で保守勢力のセヌリ党(旧ハンナラ党)がネットでの不人気を挽回するために起用したコンピューター専門家のLee Jun-seokさん(27歳)は「ネットで表明される意見では、われわれに好意的なのが約2割で、残り8割は反対派。何かセヌリ党を擁護する発言をすれば、すぐに叩かれるような状況だ」と話した。

短文投稿サイトのツイッターにおいて、人気政治家ベスト5は左派が独占。ウェブサイトのコリアンツイーターズ・コムによると、保守勢力で最有力の次期大統領候補である朴槿恵氏の人気は第8位にとどまっている。

3月26日─30日に行われた従来の方法に基づく世論調査によると、与党支持が39.8%だったのに対して、最大野党の民主統合党支持が30.5%、同党と連立を組む統合進歩党が8.1%となった。

こうした世論調査では、昨年末に野党より支持率が低かった与党が勢力を盛り返したことがうかがえるが、それは誤りだと専門家は主張する。

調査機関コリア・ソサエティ・オピニオン・インスティテュートのYoon Hee-woong氏は「無作為抽出方式による固定電話での調査は、若者や帰宅が遅い勤労者、固定電話回線のない世帯を対象外にしている」と述べた。

一方、韓国は中国に次ぐ世界第2位のブログ大国であり、シンガポール経営大学の調査では、ツイッターの使用頻度は世界平均の2倍に達している。そして韓国政府は現在、ソーシャルメディアによる選挙運動を解禁しているので、ツイッターなどのソーシャルメディアは大きな影響力を持っている。

ツイッターにおける左派の有力発信者グループの1人で、約29万人のフォロワーを抱えるコメディアン、金美花(キム・ミファ)さん(47歳)は「ツイッターではわれわれは会話の花を咲かせているが、これは規制できない類のことだ」と語る。

昨年行われた首都ソウルの市長選においては、無所属の朴元淳(パク・ウォンスン)氏が保守勢力の牙城を突き崩して当選したが、キムさんなどの有力発信者が勝利に貢献した。

<主流メディアへの対抗勢力>

ソーシャルメディアは、韓国経済を牛耳るいくつかの巨大複合企業にほぼ支配されている主流メディアへの対抗勢力という役割も果たしている。

このソーシャルメディアが、所得格差拡大などの問題を懸念している若い有権者を、米韓自由貿易協定への反対や大企業への規制を標榜する民主統合党の下に結集させる可能性がある。

野党側がソウル市長選で若い有権者を動かすことに成功したのを目の当たりにして動揺した与党は、ソーシャルメディアに適応する資質を高めようという対抗策を打ち出したが、苦戦をなめている。

その与党に起用されたコンピューター専門家のLeeさんは、ツイッターがこれほど利用されている理由の一つとして、投稿文字数140字という制限が、英語よりもいろいろ書き込める韓国語に合っている点を挙げた。

Leeさんは「英語では基本的に、(投稿動画サイトの)ユーチューブをチェックしてと誰かに伝えることしかできないが、韓国語なら投稿内容だけでなく、感想まで書くこともできる」と指摘した。

<影響力は増大の一途>

今回の総選挙は、12月に予定される大統領選挙の実質的な予行演習と言える。本番の大統領選では、ツイッターを利用する左派がネット空間から実際の政治権力の場へとつながる鍵を開けることができるかどうかが試されるだろう。

朴元淳ソウル市長の側近で、現在は市長の新たなメディア戦略について助言を行っているYu Chang-ju氏は、12月の大統領選挙までにツイッター利用者は倍増して約1000万人と、全人口のほぼ5分の1に達すると予想している。

嶺南大学のHuh Chang-deog教授(社会学)は「ツイッターは多くの穏健な韓国人にとって、富裕層や現政権、与党に対して怒りの矛先を向けるための一つの手段だ。今年の選挙は、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の利用者と、それ以外の人々の対決になるだろう」と述べた。

コメディアンの金美花さんは、ツイッターには政治家の評判を一瞬にして高めたり、逆にがた落ちさせる力があると主張する。

金さんは「政治家はSNSにより大きな恐れを抱くようになり、発言や行動に注意するだろう」と語った上で、昨年の「アラブの春」をもたらす役割を果たしたチュニジアにおける抗議行動に触れて「わたしが希望しているのは、ツイッターを通じて『ジャスミン革命』のような大きな社会変革が起きることだ」と話している。

(Jack Kim、Ju-min Park 記者)

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