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焦点:アジアの中小ヘッジファンドが資金獲得に苦戦、閉鎖も
2012年11月13日 / 04:26 / 5年前

焦点:アジアの中小ヘッジファンドが資金獲得に苦戦、閉鎖も

[香港 13日 ロイター] アジアの中小ヘッジファンドが資金獲得に四苦八苦している。たとえ運用成績が良くても、規模の小ささがネックとなり、機関投資家の投資を呼び込めないためだ。

アジアで最も古いヘッジファンドの一つ、ドリック・キャピタル(4400万ドル)はことし、同業他社の約4倍ものリターンを達成し、過去10年間で見ても業界最上級の成績を何度か残してきた。それでも同ファンドは投資家の呼び込みに苦戦し、コスト削減のため、香港行政長官公邸を見下ろす事務所を離れ、安い物件への引っ越しを余儀なくされた。

発足間もないアジアの多くのヘッジファンドは、景気減速と高い市場ボラティリティに見舞われて運用成績がぱっとせず、投資家から概ね敬遠されている。しかしドリックのような好成績ファンドでさえ、大手機関投資家の資金は獲得できない。大手投資家を引き付けるには小さ過ぎるが、相応の規模に拡大するためには大手投資家の資金が必要、という堂々巡りに陥っているのだ。

調査会社ユーレカヘッジによると、ことしアジアのヘッジファンドから流出した資金は差し引き8億ドル、閉鎖を余儀なくされたファンドは最低73社に及ぶ。

調査会社アジアヘッジによると、アジアのヘッジファンドの運用資産総額はわずか1440億ドルと、2007年から約30%減少。これに対してアジア以外の地域には8000以上のヘッジファンドが存在し、運用資産総額は07年の約1兆8000億ドルから2兆ドルに増えて過去最高に達している。

アジアからの資金流出は、ヘッジファンド向けの融資や取引清算を行うプライムブローカーにとって大打撃だ。アジアヘッジによると、アジアのプライムブローカー上位3社はゴールドマン・サックス(GS.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)、クレディ・スイスCSGN.VX。このほか、バークレイズ(BARC.L)、HSBC(HSBA.L)、BNPパリバ(BNPP.PA)、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)(RBS.L)、JPモルガン・チェース(JPM.N)の各社はアジアでプライムブローカー業務を強化している最中だ。

問題の始まりはリーマン・ショックで、その後さらに深刻化した。

2008年以降、資産家や家族経営企業などはヘッジファンドを避けてより安全な投資先に資金を移動させた。ヘッジファンドなどに資金を供給するファンズ・オブ・ヘッジファンズは、大手投資家がコストの掛かる仲介業者を使わなくなったことで打撃を受けた。

この結果、二重苦を背負ったのがアジアのヘッジファンド約1000社の大半を占める中小ファンドだ。伝統的な資金源が枯渇しただけでなく、ヘッジファンド業界の主要な資金源に取って代わった年金その他の基金からは、規模の小ささゆえに敬遠されるからだ。

シティグループの調査によると、世界のヘッジファンドへの投資資金に占めるこうした基金の比率は2003年の25%から、今では60%に拡大。しかしこれら基金は通常、単一のヘッジファンドに500万─1000万ドルを投資するとともに、内規により単一のヘッジファンドへの投資額がそのファンドの資産の10%を超えてはならない。従って、いくら運用成績が良好でも、小規模なファンドは無視される定めだ。

しかも無視される期間が長引くほど、投資家の獲得は難しくなる。

ファンド・オブ・ヘッジファンズPAAMCOのマネジングディレクター、ジュディス・ポスニコフ氏は先月シンガポールの会合で「投資家はこうしたファンドを見て『創業から3年経ち、成績も良いのに資金を獲得できていない。何か問題があるに違いない』と言う」と話した。

こうした資金逼迫は、ヘッジファンド市場が小さく未成熟なアジア特有の現象だ。ファンド・オブ・ヘッジファンズ、ウーリ・アブソリュート・パートナーズのエドワード・ムーン最高投資責任者(CIO)は「米国投資家はアジア投資を増やしたがっているが、アジアのヘッジファンドが大きくなるまで、それはできない。どこかで妥協が必要だ」と言う。

<2億ドル>

ユーレカヘッジによると、アジアでは運用資産2000万ドル未満のヘッジファンドの比率が全体の42%と、2007年末の29%から急拡大。ヘッジファンドのマネジャーや投資家によると、機関投資家の資金を引き付けるには最低2億ドルの運用資産が必要で、この前提だとアジアでは86%のファンドが対象外となる。

その一つが米国人アラン・ベドウィック氏が運用するファンドだ。ベドウィック氏が2009年に1500万ドルで立ち上げたファンドは、年平均9%の運用成績を達成してきた。ほかのファンドの約2倍だ。

運用資産はなんとか1億5000万ドルまで漕ぎつけたが、2億ドルという「マジックナンバー」超えに必要なだけの投資家は見つけられず、同氏は結局ファンドを閉鎖した。

ベドウィック氏は「数年間でそこ(2億ドル)に到達できなければ、小規模ファンドにとどまるか、事業を断念するしかない。運用成績が良いだけではAUM(運用資産)を拡大できない」と語った。

(Nishant Kumar記者)

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