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焦点:ベルルスコーニ氏、狙いはモンティ路線の妨害か
2012年12月12日 / 04:52 / 5年前

焦点:ベルルスコーニ氏、狙いはモンティ路線の妨害か

12月11日、イタリアのベルルスコーニ前首相が来年の総選挙に出馬する意向を示したことで、議会において大きなポピュリスト一派が誕生する危険が増した。写真は昨年10月、ブリュッセルで撮影(2012年 ロイター/Francois Lenoir)

[ローマ 11日 ロイター] イタリアのベルルスコーニ前首相が来年の総選挙に出馬する意向を示したことで、議会において大きなポピュリスト(大衆迎合)一派が誕生する危険が増した。モンティ首相が進めてきた政策路線の継続はひどく阻害される可能性がある。

外国政府や投資家から続投を熱望されていたモンティ首相は8日、辞任の意向を表明した。ベルルスコーニ氏率いる政党、自由国民(PDL)がモンティ政権への支持を撤回し、政府の緊縮策に対して正面攻撃を始めた直後の出来事だ。

モンティ氏の辞意表明に先立ち、ベルルスコーニ氏は来年2月半ばに予定される総選挙にPDLから出馬する意向を発表していた。

その後起こった金融市場の動揺は、ベルルスコーニ氏が首相に返り咲くのではないかとの懸念を反映している面がある。

PDLの支持率は低いため、その可能性は小さいとしても、心配の種は他にも数多くある。

ベルルスコーニ氏の狙いは選挙に勝つことではなく、上院で十分な権力を確保し、モンティ政権の後を継ぐとみられる親欧州派・中道左派政権の政策運営を難しくすることに定められているようだ。これはベルルスコーニ氏が自身のメディア帝国を守る上でも追い風となる。

中道左派のベルサニ党首は、モンティ氏の堅実な経済政策を概ね踏襲すると約束しているが、これが阻まれかねない。

元外交官でコメンテーターのセルジオ・ロマーノ氏は「これがベルルスコーニ氏の計算だ。彼は上院を宙ぶらりん状態にしたがっている。政権には就かないが政府の邪魔をできる状況に身を置きたいのだ」と指摘した。

<怒れる有権者の支持獲得>

ベルルスコーニ氏は、既成政党を批判する政治勢力「五つ星運動」の反モンティ論調に乗ることで、PDLの失地を回復したがっているようだ。緊縮策に対する大衆の怒りを追い風に、PDLは世論調査で支持率を約20%まで回復している。

モンティ首相は週末以来、PDLは情報不足だとして緊縮策への批判に反論し、反欧州ポピュリズムの危険性を繰り返し警告している。欧州の首脳らはモンティ氏称賛で足並みをそろえ、政策の継続を促している。

ベルルスコーニ氏側は、モンティ首相が増税と歳出削減でイタリア経済を悪化させたと批判。テレビ番組で「モンティ政権はドイツ中心の政策に従ってきた。欧州はこうした政策を他の国々に押し付けようとし、われわれが政権に就いていた時に比べて危機をずっと深刻化させた」と述べた。

コメディアンのベッペ・グリッロ氏が率いる五つ星運動はユーロ離脱の是非を問う国民投票の実施を求めている。ロマーノ氏によると、ベルルスコーニ氏はこの運動の支持層を集めて党を立て直そうと狙っている。

グリッロ氏の運動はインターネット上で展開されているが、ベルルスコーニ氏にはテレビと新聞の巨大なメディア帝国がある。ボローニャ大学のジャンフランコ・パスクィーノ教授は「ベルルスコーニ氏の方が射撃能力は大きい。彼はグリッロ氏が20%の票を動かすと読み、これら怒れる人々の票を獲得したがっている」と話した。

ベルルスコーニ氏はメディア帝国「メディアセット」に問題を抱えている上、未成年の売春婦に金を支払った容疑をめぐる裁判で来年初めに評決を待つ身だ。パスクィーノ教授は、それでもベルルスコーニ氏の力を見くびることは禁物だと警告。「われわれはこれまで何度も読みを誤って痛い目に遭ってきた」と語った。

<選挙制度改革がとん挫>

ベルルスコーニ氏が表舞台に戻り、モンティ氏が辞意を表明したことで、「豚小屋」の名で知られ悪評高い選挙制度法の改革努力は葬り去られたも同然だ。

現行の選挙制度は有権者ではなく党首が議員を選ぶ比例代表制のため、ベルルスコーニ氏は自身の利益供与力と支配を維持できる現行制度の続行を望んでいる。

中道左派政党はPDLに支持率で20%の差をつけているため、下院においては比例代表制が中道左派に幸いして確固たる過半数を獲得するだろう。

しかし上院の議席は州ごとの獲得票に基づいて決まるため、ベルルスコーニ氏は牙城の北部州で十分な勝利を収め、中道左派を妨害したい意向だ。

そうした狙いからベルルスコーニ氏は、一度失われた反欧州ポピュリスト政党、北部同盟との連携を復活させようと忙しく立ち回っている。

ボローニャにあるジョンズ・ホプキンス大学欧州研究所のディレクター、エリック・ジョーンズ氏は「ベルルスコーニ氏が相当程度の権力と影響力を手中に収めなければ、事はすんなり収まりそうもないため、極めて不愉快な状況だと言わざるを得ない」と指摘。「(ベルルスコーニ氏の)目標は自ら上院を制することではなく、自分以外のだれかが制するのを阻むことだ。北部同盟と組むことができれば勝算は十分ある」と述べた。

PDL内にも反モンティ、反欧州政策に警戒心を抱く党員は多いが、現行の選挙制度が続行されることで、ベルルスコーニ氏は党の掌握力を回復したようだ。

PDLのアルファノ幹事長はほんの先週まで、党内の穏健派を自身の回りに集約して選挙戦に持ち込むかに見えていたが、ベルルスコーニ氏に屈辱を味わわされ、今では反モンティ路線を熱心に打ち出している。

パスクィーノ氏はロイターに対し「ベルルスコーニ氏は状況を極めて困難なものにするだろう。市場の反応はマイナスだが、その解釈は正しい」と述べた。

(Barry Moody記者)

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