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焦点:サムスンのシャープ出資、ディスプレー事業出遅れの焦りを反映
2013年3月8日 / 04:57 / 5年後

焦点:サムスンのシャープ出資、ディスプレー事業出遅れの焦りを反映

[ソウル 8日 ロイター] 韓国のサムスン電子(005930.KS)は6日、経営再建中のシャープ(6753.T)に1億1100万ドルを出資すると発表した。これによって浮き彫りになったのは、サムスンがもはやディスプレー事業において世界で文句なしの先頭ランナーではなくなっているという、同社にとって不快な事実だ。

3月8日、サムスン電子はシャープに1億1100万ドルを出資すると発表。これによって、サムスンがもはやディスプレー事業において世界で文句なしの先頭ランナーではなくなっているということが浮き彫りになった。写真は昨年4月、ソウルで撮影(2013年 ロイター/Kim Hong-Ji)

同じ韓国のライバル企業、LGディスプレー(034220.KS)は昨年、液晶ディスプレー(LCD)生産でサムスンを抜いて世界第1位に躍り出た。またLGエレクトロニクス(066570.KS)は、次世代の有機発光ダイオード(OLED)テレビの販売でサムソンをしのいでいる。このOLEDの技術に、サムスンはディスプレー事業の将来を託しているのだ。

さらには出資先のシャープですら、薄型テレビ向け最新LCD生産技術の一部でサムスンより先行している。

こうした中でシャープへの出資はサムスンにとって、シャープの技術にアクセスできる機会となる。そればかりか、ある程度のキャッチアップが必要と多くのアナリストがみている自社のディスプレー事業に、発破を掛けられるだろう。

トムソン・ロイター・スターマインで最高の評価を得ている業界アナリストは「これはある意味で、サムスンが社内のディスプレー事業に対して発した警告のメッセージだ」と解説した。

<OLEDテレビのパネル開発が課題>

サムスンのシャープへの出資は議決権ベースで3%と象徴的な意味合いしかなく、37兆4000億ウォン(345億ドル)の現金を保有する同社にとってはごくわずかの金額にすぎない。

そうした中でサムスンにとって大きな課題は、この出資を利用してOLEDテレビのパネル開発を軌道に乗せることになるだろう。

サムスンはスマートフォン(多機能携帯電話)市場での「ギャラクシー」ブランドの成功が一因となって、OLED技術への移行を加速させた。ギャラクシーのディスプレーは明るく、電力消費が節約されるという特徴があり、昨年はサムスンを世界第1位のスマートフォンメーカーの地位に押し上げた。

現在、小型のスマートフォン向けOLEDディスプレー市場でサムスンはほぼ市場を独占する。1日当たり約50万枚を生産し、2桁の利益率を生み出している。

しかしサムスンは、OLEDテレビの生産では苦戦を強いられている。従来の「RGB方式」に縛られているが、この技術は大型ディスプレーへの適用が難しいためだ。

これに対してLGのOLEDテレビは、製造コストが安く、不良品率が低下して生産性が上がる「ホワイト方式」を採用している。

<シャープにつなぎ役期待>

LGが55インチ型を1万ドル強の価格で販売しているOLEDテレビは、低調な経済状況を反映して停滞が続く世界のテレビ市場においても、利益率を高められる次世代の高価格帯製品と目されている。

ただ、サムスンはOLEDテレビのディスプレー開発の遅れにより、LCDを利用した超大型テレビの分野で次のヒットを求めざるを得なくなった。BNPパリバのアナリスト、ピーター・ユー氏は「(OLED)プロジェクトの後退で、サムスンはそれに代わって、人気が高まっている60インチを超える超大型ディスプレーテレビで市場をリードする計画だ」と話した。

そこでシャープの出番となる。シャープは世界で唯一、第10世代と呼ばれる液晶ディスプレーのマザーガラス製造工場を保有する。この工場は、60インチのディスプレー8枚にカットできる3平方メートルのマザーガラスを作ることが可能。アナリストによると、3枚分にしかカットできない第8世代のマザーガラスに比べてずっと効率が良い。

サムスンの40インチと60インチの液晶ディスプレー工場は、第7世代と第8世代だけ。またOLEDへの戦略的な技術転換を踏まえて、より大型のマザーガラスを製造する工場への投資は手控えている。

NHインベストメント&セキュリティーズのアナリスト、リー・スンタエ氏は「サムスンがOLEDを強力に推進するのは、OLEDがLCDに優越するあらゆる要素を考えれば、適切な決定だ。しかし約束が実際の製品投入に対して先行し過ぎているため、ちょっとした問題が発生している」と述べた。

同氏は、サムスンとシャープの資本提携は、サムスンにとってOLEDテレビ技術の開発が順調になるまでの間、市場に参戦し続ける上で有益な手段だとの見方を表明。「サムスンは第10世代のマザーガラス製造工場を建設するのに比べて、ほんのわずかの金額で大型ディスプレーを製品ラインに加えられるので、間違いなく良い取引だ。サムスンはシャープが資金面で困窮している状況をうまく利用した」と語った。

(Miyoung Kim 記者)

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