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日本株、独歩高のカラクリ 特殊な需給要因
2016年8月29日 / 09:56 / 1年前

日本株、独歩高のカラクリ 特殊な需給要因

 8月29日、日本株が独歩高となっている。写真は東証内のブース、1月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 29日 ロイター] - 日本株が独歩高となっている。他のアジア株はジャクソンホール後の米利上げ観測の強まりを警戒し、軟調もしくは小幅上昇となっているが、日本株だけは2%近い大幅高。だが、そこには特殊な需給要因など「カラクリ」があるようだ。株高にもかかわらず、売買代金は低調で盛り上がりは乏しい。

<需給イベントの反動>

「カラクリ」の1つは、ファミリーマート(8028.T)とユニーグループ・ホールディングス8270.Tの経営統合に関するイベント。ユニーが上場廃止となり、日経平均構成銘柄にファミリーマートが新規採用されることが決まった。日経平均連動型のファンドなどは、連動性を保つために、ファミマ株を新たに買う必要がある。

市場推計で、その額は1430億円。一方、ファンド内の銘柄ごとのウエートを調整するため、それと同額の売りをファミマ株以外に幅広く出さなければならない。この需給イベントの発生は前週26日の終値で発生することがわかっており、「短期筋が株価下落を見込んでショートポジションを組んだようだ」(国内証券)という。

こうした銘柄入れ替えに伴う需給イベントは、本来はマーケット全体には中立要因だ。しかし、短期筋がそれに便乗すれば影響は大きくなる。26日の日経平均.N225は195円安。日銀のETF(上場投資信託)買いが719億円入ったにもかかわらず、大きな下げとなった。

29日の市場で、日本株が大幅高となったのは、この短期筋のショートポジションが巻き戻されたことが大きいとみられている。ジャクソンホールでのイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長講演などを材料に、早期の米利上げ観測が再浮上。ドル高/円安が進んだことで、短期筋が円買い・日本株売りポジションを巻き戻したという。

日経平均は376円(2.30%)高と、さえない他のアジア株を大きく引き離したが、需給イベント前の前週木曜日(25日)の終値と比較すれば、182円(1.10%)高と比較的マイルドな上昇率となる。

<巻き戻しの円安>

もう1つの株高要因である円安にも「カラクリ」がある。

米商品先物取引委員会(CFTC)が26日発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(8月23日までの1週間)によると、対ドルの円ポジションは6万0316枚の円買い越し。前週から約4000枚増加している。足元の円安は、この短期筋の円ロングポジションの巻き戻しが主体との見方が多い。

ジャクソンホールを経て、米国の9月利上げや年2回利上げの警戒感が強まったとはいえ、イエレン講演直後の短期金利先物相場が織り込む利上げ確率は、12月が五分五分で、発言前からほぼ変わらず。9、11月の予想確率はむしろ低下した。利上げ観測が高まらないなかでのドル高・円安はポジションの動きに他ならない。

日本株が独歩高となる一方、多くのアジア株は米利上げにともなう資金流出を警戒し軟調だ。リスクオフの局面では、ドル買いとともに円買い需要も発生する。ドル高・円安がさらに進行するかは、世界的な株安などリスクオフが発生しないことが条件となる。

シティグループ証券・チーフFXストラテジストの高島修氏は「FRBのタカ派スタンスを背景とする米金利上昇とドル高を受け、米株は史上最高値圏から調整色を強め、アジア以外の新興国市場も下落に転じた。今後、こうしたリスク回避の動きがドル/円には逆風となるだろう」とみている。

<低下する売買代金>

日経平均の予想株価収益率(PER)は約14倍。世界的にみても低い水準にある。米利上げ観測が強まる一方で、リスクオフが広がらず、円安が進むという好条件がそろえば、日本株も買われる可能性もある。

しかし、今の日本株には日銀によるETF(上場投資信託)買い、もしくはそれへの期待が下支えているという「カラクリ」がある。こうした世界でも特殊な需給要因を短期筋がはやして買いを入れたとしても、あくまで一時的。短期筋は文字通り、短期間でポジションを中立に戻すために売りを出す。

持続的な株高には長期投資家の買いが不可欠だが「公的年金や日銀などの買いが大きな存在感を示すようなマーケットに、海外の長期投資家などの良質なマネーは入ってこない。ファンダメンタルズで株価が評価できなくなるからだ」と三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は指摘する。

需給要因や海外要因を材料にした短期筋の売買だけが、株価を左右するようなマーケットに魅力は乏しい。

29日の東証1部売買代金は1.8兆円。日経平均が一時400円高したにもかかわらず、盛り上がりに欠けるボリュームだった。日銀が7月29日にETF購入枠を6兆円に倍増した後、売買代金は低下傾向にあり、目安とされる2兆円を割り込む日が多くなっている。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

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