依然大きな下振れリスク、適切な経済財政運営を=経済白書
[東京 24日 ロイター] 内閣府は24日、2009年度「年次経済財政報告」(経済白書)を発表し、2008年秋以降の世界的な金融危機を発端とする急速な景気の悪化は、2009年春になり持ち直しの動きが見られるようになったが、経済活動の水準はなお極めて低く、雇用調整圧力は依然高いと指摘した。
その上で、米欧を中心とした金融危機は小康状態にはあるものの、終息に向かったと断定できる状況にないとの考え方を示した。依然残る下振れリスクに注意しながら、政府は適切な経済財政運営を進める必要があるとした。
経済白書は、日本経済と財政に対する現状を分析し、政策面に貢献することを目的として年に1回公表される。
今回の白書では、2008年秋以降の厳しい景気悪化の最大の要因は、世界的な貿易の縮小から自動車やIT(情報技術)製品などの輸出が大幅に落ち込んだことであると指摘。現時点では在庫調整の進展もあり、景気には持ち直しの動きが見られるようになっているとしながら、依然大きな下振れリスクを抱えているとの認識を示した。リスク要因としては、1)生産水準が極めて低くなったことから、雇用調整圧力が高くなっていること、2)需給ギャップの大幅なマイナスが続く場合、デフレに逆戻りする懸念があること、3)米欧における金融危機が十分に沈静化したとは言えず、海外経済にも下振れリスクが残っている──などの点を挙げた。同白書では、こうしたリスクに注意しながら、政府は適切な経済財政運営を進める必要があるとした。
白書は外需依存型の日本経済について、個人消費など内需が成長に大きく寄与する姿は1つの望ましい姿としながら、現在の世界の成長センターが新興国であるなどの点を踏まえると、外需による成長も引き続き重要と指摘。グローバル化に背を向けず、内外需を合わせた「双発エンジン」による回復が想定しやすいと指摘。個人消費の持続的な増加には、雇用者所得による下支えが必要だが、輸出はその雇用者所得を大きく生み出す力を持つと説明した。
また、今回のような異例の需給ギャップ拡大を前にして、経済対策により景気を支えることは政府として当然の任務であるとの見解を示したが、同時に緊急避難的な措置として、一見、保護主義とは無関係に見える国内の特定産業への支援、新産業育成の政策なども、貿易上の不当な競争力強化につながりかねないことに注意が必要であると指摘。現在の危機回避的なマクロ経済政策の「出口」についても、先行事例を踏まえつつ危機後の財政戦略を組み立てていく必要があるとの考えを示した。また、金融政策については、日銀が持続的成長への復帰に向けた最大限の貢献を行うとともに、十分な説明責任を果たしていくことが求められるとした。政府の役割としては、システミックリスクの顕在化を防ぐ強固な金融システムを構築した上で、保護主義を排して市場機能を活かし、日本の内外で活躍する企業が新たな成長機会を的確にとらえることができる環境を整備すること、さらには中長期的な財政の維持可能性を確保していくことが求められると説明した。
雇用の保護、所得再分配による格差是正に関する課題については、大きな所得変動リスクを抱えている非正規雇用者へのセーフティネットの充実、社会保障制度に対する信頼感向上などに取り組むことで、安心社会に立脚した景気回復の姿を展望することができるとの見通しを示した。
© Thomson Reuters 2009 All rights reserved.
株式市場、短期リバウンドも
米国株や為替などの外部要因が落ち着けば、売られ過ぎの反動でいったん自律反発に転じる可能性も。 記事の全文













