幹細胞移植でエイズ治癒報告も、発見から30年で新たな局面に
[ロンドン 1日 ロイター] エイズが1981年に発見されてから、今年で30年が経過する。この間、研究者らは英知を結集して、この病に立ち向かってきたが、米国人患者ティモシー・レイ・ブラウンさんが骨髄移植によって治癒したことで、エイズとの闘いが新たな局面を迎えようとしている。
エイズウイルス(HIV)に感染し、白血病も患っていたブラウンさんは2007年、突然変異した遺伝子「CCR5 delta 32」を持つドナーの幹細胞を使った骨髄移植を主治医のゲロ・フッター氏から提案され、手術を受けた。研究者の間では当時すでに、この遺伝子を持つ人がHIV耐性だと考えられていた。
フッター氏は「このプロジェクトを始めた時、何が起こるか正直分からなかった」と振り返り、ブラウンさんの容体については「体内からウイルスは検知されていない。薬も服用しておらず、これから先おそらくHIVの問題に悩まされることはないだろう」と語った。
一方、専門家の多くはこの治療法がすべての患者に有効だとは考えにくいとの見方を示しており、費用が高額である上、治療が複雑でリスクも伴うという問題点を指摘する声もある。他の患者に適用させるには、非常に稀有な突然変異の遺伝子を持つ人の中から、完全に一致するドナーを見つける必要もある。
<HIVとともに生きる>
国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、エイズ感染者総数は2009年時点で推計3330万人、エイズに関連した同年の死者は180万人。エイズの流行が始まった1980年代初頭からは約6000万人以上が感染、うち半数近くがエイズに関連する原因で死亡している。
ただ、HIVを早期に発見する検査や新たに開発された抗レトロウイルス薬などのおかげで、拡大には歯止めがかかりつつあり、HIVと共存していくことも可能になってきている。
南アフリカ・ケープタウンに住むHIV感染者でエイズ撲滅運動に参加しているビユセカ・ドゥブラさんは、「死ぬことは全く考えていない。治療を受けながら私の人生を送っている」と話した。
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