日銀は当面下方リスクに配慮、利上げ時期ますます遠のく

2008年 01月 12日 16:24 JST
 

 [東京 11日 ロイター] 米経済を中心に世界経済の先行きに不透明感が強まる中で、日銀は当面、国内景気に配慮したかじ取りが続きそうだ。消費者物価指数(CPI)はようやく上昇基調を鮮明にしつつあるが、石油製品の値上がりによるもので、むしろ賃金の抑制傾向が続く局面では、景気に対する負の側面が強いと判断している。

 米欧ほどインフレ懸念が高まらない状況下では、日銀の利上げ時期はますます遠のきそうだ。

 福井俊彦総裁は11日、衆院財務金融委員会で米欧の状況について「景気のダウンサイドリスクと物価上昇懸念という両方のリスクをどのようにバランスをとった形で金融政策運営をやっていくかという困難さに直面している」と指摘。「日銀の場合も、同様の両方向のリスクに対して、この先、いかにバランスのとれた対応を適正な判断を持ってやっていけるかという局面に徐々に入りつつある」との認識を示した。

 ただ、現時点で日銀内から物価上昇について懸念する声は、あまり聞かれない。現在のCPIの上昇は石油製品の値上がりによるもので、需給ギャップのタイト化によるものではないためだ。原油価格が横ばいになれば、いずれその効果ははげ落ちる。日銀内には需給ギャップのタイト化、賃金の上昇には「もう少し時間がかかる」(幹部)との見方が多く、実際、武藤敏郎副総裁も10日の講演で「需給ギャップのプラス方向への動きは当面、足踏みする」と認めている。

 唯一、生活必需品の値上がりをきっかけとしたインフレ期待の高まりが気がかりだが、これについても賃金の上昇期待が膨らまない中では、消費抑制・景気減速という負の側面が強く、結局、景気に配慮した政策運営が続きそうだ。

 福井総裁は、衆院財務金融委員会で「今のようなグローバル経済の中で、一国の金融政策を適切にやっていこうとする場合に、他国の状況・世界の状況と遮断して適切な判断は一切できない」と指摘、金融政策運営はこれまで以上に世界経済の動向に左右されるとの認識を示した。

 その世界経済は「米国経済のダウンサイドリスクを含む世界経済にまったく不透明感がないかというと、そうではなくて、むしろ不透明感は徐々に高まってきている」と、福井総裁が11日の衆院財務金融委員会で述べている。景気にも目配りしつつ、利上げのタイミングを図る日銀にとって、米経済のダウンサイドリスク拡大は、大きな壁として立ちはだかりそうだ。

 (ロイター日本語ニュース 志田 義寧記者;編集 田巻 一彦)

 
 
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