インタビュー:ジャスダック株は51%以上保有を、新興市場統合を=大証社長
[大阪 1日 ロイター] 大阪証券取引所(8697.OJ: 株価, 企業情報, レポート)の米田道生社長は1日、ロイターとのインタビューで、ジャスダック証券取引所(筒井高志社長)の株式譲り受け交渉について「経営に責任と権限を持たなければならない」と語り、51%以上を保有する意向を示した。
そのうえで「それがないと市場の統合は簡単にできない」として、経営権を取得することで、ジャスダックとヘラクレスの統合を進めていく考えを示した。
大証は今年に入り、ジャスダックとの統合に向けて、ジャスダック株を72%強保有する筆頭株主の日本証券業協会(安東俊夫会長)と交渉を開始した。今後は、買収株数、金額、統合の形態などが焦点となる。米田社長は「すべては今後の交渉で決まってくる」として詳細な言及を避けたが、最低でも51%を取得する意向を強調した。
また、米田社長は、ジャスダック買収にあたっては「ジャスダックの新システムをやめて大証のシステムで一体的に市場の運営をやっていくことが最低の条件」とあらためて指摘。「コンピュータのコストが大きく節減されるため、統合効果は非常に大きい」と語った。ジャスダックとヘラクレスの2つの新興市場は「少し時間をかけなければいけない」としながらも、いずれは1つの市場として運営していく考えを示した。
インタビューの詳細は以下のとおり。
――ジャスダック株の譲り受けに向けての日証協との交渉の見通しは。
「この話は、ジャスダックが新しいシステムをやめて、大証のシステムで一体的に市場の運営をやっていくことが交渉の最低条件。そうでなければ統合の効果は全く出てこない」
「交渉まだ入り口。まずは大証のシステムにジャスダックのシステムを乗せていく実務の作業を伴う。それを日証協とはっきりさせていく」
――ジャスダックの株をどれだけ保有する意向か。
「何%持つのかはこれからの交渉の話だ。ただ、われわれが上場企業として他の取引所の株を持つ場合は、効率的で魅力ある市場にしていくことこそが、株主価値の向上につながる。そのためには、ジャスダックの経営に対して責任と権限を持たなければならない。これがないと市場の統合は簡単にできる話ではない」
――責任と権限を持つなら、51%以上が条件か。
「仮にジャスダックを買収するなら、それくらいは持たせてもらわないと意味がない。中途半端なかたちで持っても意味はない」
――ジャスダック買収の効果をどう考えるか。
「今の取引所はコンピューター装置産業化しているが、コンピューターは規模の利益が働くビジネスだ。取引所の運営コストの6割はコンピューターコスト。それが大きく節減されるので統合の効果は非常に大きい」
「われわれのシステムは2年前に作ったが、今の取引所の中では最先端。いいシステムだと思うので、それを通じてさらに流動性を高める。ジャスダックは(他の取引所の)7―10倍の手数料と言われているが、運営コストを下げることで、市場の流動性も高まっていく」
――大証の企業価値にとってはどうか。
「大証には、現物市場とETF(上場投資信託)があるほか、デリバティブが大きなウエートを占めていて、全体として市場を運営している。新興市場には、もっと機関投資家を呼び込むため、デリバティブをやることも必要だ。それを大証とジャスダックが一体的にやっていけば魅力が増す。今の新興市場にはいろいろと問題はあるが、魅力を出していくことは出来る。それをやることが大証の企業価値につながっていく」
――ジャスダックとヘラクレスをどのように統合させるか。
「2つの新興市場を持つならば、コンピューターを1本化するだけでは意味がない。当面は、条件も違うし個別に運営されるだろう。手数料も違うので、少し時間をかけなければいけないが、効率的で魅力的な市場の観点から1本の市場にしていく。どういう市場にするかは市場の参加者、上場企業、投資家がどういう市場を望ましいと考えているかを踏まえながら考える問題だ。今まで、われわれも京都証券取引所を統合した。そうしたことはこれからも続く」
――国内の取引所の再編・統合についてはどう考えるか。
「今、日本に証券取引所は6カ所。金融取引所は1カ所。商品取引所は4カ所あって全部で11の取引所がある。効率的で魅力的な取引所が競争をした結果として11あるのならよいが、必ずしもそうなのかどうか。国際的にみても日本の市場が魅力ないという姿になっている。そのためにも、今の交渉を進めていくのは重要なことで、市場の関係者が努力をしていくことだ」
――ジャスダック買収が日本市場に与える影響をどう考えるか。
「世界の取引所の再編が進む中で日本はまだ本格的に動いてない。その大きな流れの中で考えていくべき。日本の資本市場と取引所を効率的で魅力あるものにするためにはどうしたらよいか。そのために再編が必要ならやっていくべきだ。統合・再編が先にありきではないが、魅力があって効率的な取引所にするためにどうすればよいか、そのときに統合・再編が有効手段ならそれはやっていけばいい」
(ロイター日本語ニュース 記事執筆:村井 令二、編集:石田 仁志)
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