再送:大手電機・精密の業績に暗雲、サブプライム・円高の影響じわり
[東京 4日 ロイター] 電機・精密業界の2008年度業績見通しに暗雲が垂れ込めてきた。米国でのサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題に端を発した世界経済の悪化が懸念から現実になりつつある点や、日本の輸出産業を潤してきた円安局面が遠ざかったためだ。
キヤノン(7751.T: 株価, ニュース, レポート)は、2007年度第4・四半期(10─12月)に営業減益となり、ソニー(6758.T: 株価, ニュース, レポート)は、円高と株安により08年3月通期の営業利益予想を下方修正。08年度において明確な業績悪化を予想するハイテク企業は今のところ現れていないが、2008年度は厳しい事業環境なると覚悟する声は増えている。
<キヤノン、サブプライムの影響は想定以上>
12月期決算のキヤノンは1月30日、いち早く2008年度の連結業績見通しを発表。08年度は営業利益が前年比5.7%増の8000億円、純利益は6.5%増の5200億円を予想している。しかし、クレディ・スイスのアナリスト、簡野邦彦氏は「強気すぎる予想」とリポートで指摘。キヤノンの1月31日終値は前営業日比110円安の4580円、1日終値は同10円高の4590円。4日午前は前週末終値比20円安の4570円で引けた。
キヤノンは、07年度第4・四半期に営業利益が前年比1.2%減1936億円、従来予想比7.8%減となった。大澤正宏常務は会見で「サブプライム問題が想定を超えた状況になった」と説明、影響が波及したとの認識を示した。サブプライム問題は、カメラやプリンターなど製品の種類や地域を問わず、全般的に影響したという。
08年度は前年に比べ対ドルで10.5円、対ユーロで4.4円の円高を想定。これによるキヤノンへのマイナス影響は1300億円に上る計算となる。外部環境の悪化が重なることで、キヤノンの08年度業績予想に対し、市場関係者から厳しい反応が出ることにつながっているようだ。大澤常務は、08年度の事業環境について「年の初めはまだサブプライムの影響がある。各国の政策協調で、後半に回復してくる」との観測を示した。
<ソニーは円高・株安で下方修正>
ソニーは1月31日、2008年3月期の連結営業利益予想を従来の4500億円から4100億円に下方修正した。08年1─3月期の前提為替を円高に修正したことや、日本の株式市場の下落で、傘下のソニー生命保険が運用する有価証券損益が悪化したことが下振れの要因となった。
円高の営業利益へのマイナス影響は1─3月期で230億円となる計算だが、4月から始まる08年度で、ソニーが今回設定した為替レートの水準が年間で続くと1000億円近いマイナス影響となる。1日のソニー株は前営業日比430円安の4790円となった。4日午前は前週末終値比60円安の4730円で取引を終えた。
ソニーの07年10─12月期業績は、課題のゲーム事業が黒字化し、中核のエレクトロニクス事業も、液晶テレビは価格下落に苦しむが、デジカメやパソコンは非常に好調だ。
ただ、ソニーは米国での売上高が全体の25%を占めるだけに、同国の景気悪化は懸念材料に違いない。同社の大根田伸行取締役は米国でのビジネスについて「サブプライムを理由に(売り上げが)下がっている兆候は見えないが、今後じわじわと効いてくるとみている」と語る。その上で「影響度は商品別に違う。デジカメやパソコンは価格の調整が必要になる」と述べ、現在の業績を下支えしている事業に影響が及ぶ可能性を示唆した。
<松下(6752.T: 株価, ニュース, レポート)、東芝(6502.T: 株価, ニュース, レポート)からも慎重な見方>
松下電器産業は、薄型テレビやデジカメ、白物家電などが好調で、07年10─12月期は営業利益、純利益とも過去最高だったが、通期営業利益4770億円とする従来予想は変更しなかった。会見した上野山実取締役は、社内的な目標は5000億円としつつ「サブプライ問題などマクロ経済の先行き不透明感が強まり、予断を許さない状況」と予想を据え置いた理由を語った。
東芝は通期営業利益予想の2900億円は据え置いたものの、主力のフラッシュメモリーが想定以上の価格下落に直面。村岡富美雄専務は「達成は厳しいと思うが、パソコンと(電力など)社会インフラでどこまで補えるかがポイント」と弱気な見方を示した。同専務はサブプライム問題の今後の波及について「米国だけにとどまらない可能性がある。08年度は影響がもっと出る可能性がある」と指摘した。
(ロイター日本語ニュース、浜田 健太郎記者、平田紀之記者;編集 田巻 一彦)
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