JTと日清食品、冷凍食品事業の経営統合を白紙撤回
[東京 6日 ロイター] JT(日本たばこ産業)(2914.T: 株価, ニュース, レポート)と日清食品(2897.T: 株価, ニュース, レポート)は6日、4月に予定していた冷凍食品事業の統合を解消すると発表した。JTの子会社であるジェイティフーズ(東京都品川区)が輸入・販売していた中国製冷凍ギョーザに農薬が混入、健康被害が出ている。
この事件を受けてJTが対応に追われるなか、加ト吉2873.Tへの出資比率などで意見が合わず、計画を白紙に戻すこととなった。
JTは株式公開買い付け(TOB)で加ト吉2873.Tを完全子会社化した後、日清食品に加ト吉株の49%を譲渡し、3社の冷凍食品事業を統合する計画だった。
JTは早い段階で加ト吉を完全子会社にする予定としており、JTの木村宏社長は「加ト吉との冷凍食品事業の統合は可能な限り早く成し遂げることに変わりはない。統合時期は柔軟に考える」と述べた。
<日清食品の出資比率引き上げめぐり意見対立>
今回の事業統合計画の撤回の引き金となったのは、5日午後に開かれた3社の社長会談だった。この席上、日清食品の安藤宏基社長は、加ト吉への出資比率引き上げを提案した。しかし、JTはこの申し出を拒否、統合を白紙撤回することとなった。
日清食品の安藤社長は会見で「加ト吉への出資比率を引き上げることも含め、安全性に対する提案をJTに断られたことが理由」と説明した。
一方、JTの木村社長も、日清食品から加ト吉への過半数の出資を含む提案を受けたことを明らかにした上で「51%を持ったほうが大きな責任を負うことになる。申し出は感謝しているが、私共の責任を却下することはできない。経営責任を希薄化させる方策はとりたくない」とし、自社で責任を負うべきとの判断から申し出を断ったとした。
3社で事業統合計画を再度検討する可能性については「ないとは言わないが、冷凍食品事業に再生のめどが立たないなかで、すぐに、いろいろ話ができる状況になるとは思わない」(木村社長)とし、否定的な見解を示した。
<JT社長、引責辞任を否定>
中国製ギョーザの問題が発生して以降、JTの木村社長が会見を行うのは初めて。木村社長は会見の冒頭「生活の基本である食の安全について、多大なご心配をおかけし衷心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。
自らの経営責任については「果たすべき責任は早期解決に向け陣頭指揮を取ること」と述べ、引責辞任を否定した。
JTの冷凍食品の売上高は500億円、加ト吉は1000億円弱の規模だが、今回の事件によって「冷凍食品事業は極めて危機的な状況で、事業見通しが大変不透明になっている。何らかの影響を受けることは避けがたい」とした。ただ、冷凍食品を含む食品事業をたばこ事業の次の柱に育てる決意に変わりはないと述べた。
また、商品の自主回収発表前に株価が急落したとの一部報道に対しては「関係当局からの質問や調査はない」とし、「(自主回収を)知っている人間は極めて限定されていた。インサイダー取引があったとは考えづらい」と語った。
(ロイター日本語ニュース 清水 律子記者)
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