鉄鋼石65%値上げは予想内、新日鉄やトヨタ株は上昇

2008年 02月 19日 16:43 JST
 
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 伊賀 大記記者

 [東京 19日 ロイター] 2008年度の鉄鋼石価格は前年度比65%超の大幅な値上げで決着する見通しとなりメーカーにとってコストアップが懸念されているが、新日本製鉄やトヨタ自動車などの株価は上昇している。

 大幅な値上げではあるものの事前予想の範囲であり株価には織り込まれていたほか、早期に決着したことで不透明感が薄らいでいるという。最終消費者への値上げ浸透や北米市場の行方など今後の問題は残っているが自社株買いなど需給面の後押しもあり現時点で株価への影響は限定的となっている。

 <値上げは織り込み済み> 

 新日鉄やJFEホールディングス(5411.T: 株価, ニュース, レポート)など日本の主要鉄鋼メーカーは、08年度の鉄鋼石価格交渉で鉄鉱石生産の世界最大手であるブラジルのヴァーレ(VALE5.SA: 株価, 企業情報, レポート)などと鉄鉱石のグレードに応じて65─71%の値上げを受け入れることで合意。鉄鋼メーカーだけでなく自動車メーカーなどにもコストアップ要因として嫌気される可能性もあったが、18─19日の2日間で新日鉄は5.5%、トヨタは4.6%上昇した。その間の日経平均は0.9%の上昇であり大幅にアウトパフォームしている。

 市場では鉄鋼石価格の値上げは織り込み済みだとの声が多い。「値上げは予想されていたほか、値上げ率は7割との声も一部にあったので65%は事前予想の範囲内だ。早期に交渉が決着したので不透明感が薄らいだことが好感されている」(準大手証券エクイティ部)。中国をはじめ鉄鋼需要が強まっているなかであり、メーカーとの鋼材価格の値上げ交渉も比較的スムーズに進むのではないかとの期待もあるという。

 今後、原料炭の交渉に入るが、アナリストからは一定範囲内の値上げは想定済みと指摘されている。「国内外で鋼材価格も急ピッチで上昇していることから主原料価格による高炉各社のコスト上昇分の大半はオフセットできるだろう」(三菱UFJ証券シニアアナリストの原田一裕氏)。

 一方、自動車株にとっても、ある程度の鋼材価格の値上げは想定範囲内の要因だ。「鉄鋼価格が上昇しそうだというのはすでに株価に織り込まれている」(みずほ証券・自動車アナリストの渡辺嘉郎氏)。トヨタなどの収益計画でも、ある程度の原材料値上げは想定されているという。

 19日の株式市場では、為替が前場108円と円安にやや振れていることが買い安心感につながった。トヨタの1─3月期の想定為替レートは1ドル=105円であり、同水準を超える円安は「1円で350億円から400億円のプラス効果が生じる。投資家は105円を超える円安水準では市場平均よりも割安なPER(株価収益率)などに目が行く」(国内証券アナリスト)とみられている。 

 <将来的にはじわり収益圧迫要因に>

 ただ、株価は上昇しているものの積極的に上値を追うような買いではないとの指摘もある。「トヨタなど一部の主力株には自社株買いが入っているようだ。下値を買ってくれるので市場の不安感は減少し、アクティブ系ファンドの買いも誘っている。ただファンダメンタルズを評価して上値を追う性質の買いではないので自社株買いが一巡したときの反動には注意しておくべきだ」(別の国内証券)という。

 トヨタ自動車は5日、自己株取得を2件発表している。1件は発行済株式総数の0.32%に相当する1000万株・600億円を上限とし取得期間は2月7日から21日まで。2件目は同0.38%に相当する1200万株・600億円を上限にし取得期間は2月18日から29日となっている。

 また現時点では織り込み済みとはいえ、将来的には鉄鉱石・鉄鋼などコスト上昇はじわりと収益圧迫要因になると懸念する声も多い。「英・豪系のBHPビリトン(BLT.L: 株価, 企業情報, レポート)(BHP.AX: 株価, 企業情報, レポート)が英豪系鉱山大手のリオ・ティント(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)(RIO.L: 株価, 企業情報, レポート)への買収に乗り出すなど資源メジャーの寡占化が進む一方、中国など新興国では鉄鋼需要が増加している。鉄鋼石価格引き上げの圧力は今後も強くなってこよう。来年以降もコストアップが続く場合、収益への圧迫が懸念される」(三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏)。

 鉄鋼メーカーの価格転嫁が進むことは、自動車や家電メーカーにとっては利益圧迫要因となる。「現時点では鉄鋼価格の値上げは一台あたり2万円程度とみられているが、400万円もする高級車にとっては小さい幅でも自動車販売全体の3分の1を占める軽自動車にとっては大きいはず」(自動車アナリスト)。

 藤戸氏は「北米市場から新興国マーケットへのシフトを多くのメーカーが進めているが現時点では米経済が後退すれば影響はまぬがれない。景気減速懸念が強まり消費が弱いなかで、どこまで原材料価格の上昇を最終価格に転嫁できるかは不透明だ」として警戒心を強めている。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀大記記者 編集 橋本浩)

 
 
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