短期筋が株式売り仕掛け、実需マネー乏しく下げ幅拡大

2008年 02月 20日 16:52 JST
 
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 [東京 20日 ロイター] 20日の東京市場は午後に入り株安・債券高が進行、つれて円が強含んだ。米系プライベートエクイティが資金繰りで問題に直面しているとの報道が流れ、短期筋が仕掛け的な動きを見せた。アジアの株式市場が軒並み下げていることも影響した。

 ドル資金の調達コストが上昇して投資家が保有資産の売却に動いている、との観測も出ている。日経平均が400円以上下げる一方、円債先物は50銭超の上昇を見せた。株式市場では原油高によるオイルマネーへの期待感が根強いものの期待先行の感が強く、実需マネーの少なさが変動の大きさにつながっている。

 <短期筋主導で株式にもろさ>

 市場の動きは午後の取引に入ると一変した。英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙電子版が「プライベートエクイティ会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下のKKRフィナンシャル・ホールディングス(KFN)が、数十億ドル相当のコマーシャル・ペーパー(CP)返済を延期する」と伝え、東京市場では株売り/債券買いの動きが強まった。

 米商品市場で原油先物が再び1バレル100ドル台に上昇し最高値を更新、インフレ懸念から前日の米国株が引けにかけて売られていただけに、もともと悪い材料に反応しやすかったという。午前の取引でも、米国経済の先行き不透明感が再度高まったことで、先物には戻り売りや新規の売りが出て指数の上値を抑えていた。

 「景気減速や信用収縮への不安が依然くすぶっており、ちょっとした材料でもセンチメントが悪化する地合いになっている」(水戸証券、投資情報部長の松尾十作氏)という。

 相場の変動が激しいのは依然、「実需・長期のマネーが少ない」(大和証券SMBC、エクイティ・マーケティング部部長の高橋和宏氏)ことの表れだ。高橋氏は「短期筋のウエートが大きく先物主導で水準を切り上げてきたため、2月4日の戻り高値を抜けないとすぐ売りに転じるなどもろさがある」と指摘する。

 <ドル調達コスト上昇で手持ち資産売却も>

 為替市場では株安の一因として、ドル資金の調達コストが上昇していることを挙げる参加者もいる。ある外銀筋は「ドル資金の調達が困難になれば、保有資産のファイナンスができないので、手持ちの証券の売却に動くことになる。日本などの株式市場が総じて弱い背景のひとつではないか」と話す。

 マネーマーケットでは、ドル資金の借り換え需要が2月下旬に集中していることから、オーバーナイト物のドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は実勢で3.3%と前日の3.13875%から上昇した。フォワード市場でも、スプレッドが拡大傾向にある。ドル/円1カ月物のディスカウントは24銭程度と、1週間前の21銭台から広がっている。

 <米金融政策のかじ取り困難>

 市場では米金融政策に関しても警戒感が出ている。

 米連邦準備理事会(FRB)が米景気の悪化を食い止めるため、今後も連続的な利下げに踏み切る可能性が高いとの見方が大勢だったが、「原油高により企業の価格転嫁インセンティブが高まり、インフレ圧力が強まってくるとFRBによる金融政策のかじ取りが難しくなってくる」(第一生命経済研究所、主席エコノミストの嶌峰義清氏)。

 嶌峰氏は「FRBとしてはサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題を背景にした市場の混乱を収束させるために3月の定例FOMC(米連邦公開市場委員会)までのどこかの時点で50ベーシスポイントの利下げを決定したいのが本音だろうが、インフレ懸念との折り合いをどう付けて利下げの正統性を説明するかが課題になってくる」と指摘している。

 <オイルマネー期待>

 こうした中で原油高で潤うオイルマネーに対する期待感が一段と高まっている面はあるという。「みずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)など銀行株の一角や、一部のハイテク株などに中東系資金の流入観測が流れている。原油高によってリスク許容度が上がったオイルマネーは今後も日本株物色を継続するだろう。売られ過ぎの銀行株などは短期トレーディング妙味も大きいため顧客に買いを薦めている」(欧州系証券営業部長)との声も出ている。

 原油高に関しては「企業のコストアップという側面とは別に、世界の需要が落ちないとの見方が背景になっている点も見逃せない。米国のリセッション(景気後退)回避も含めて、グローバル景気は思ったほど悪くならないとの期待が広がっている」(ドイツ証券チーフエクイティストラテジスト、下出衛氏)という。

 <原油高は将来の債券買い材料か>

 円債は急反発。国債先物中心限月3月限は前日比50銭超上げる場面もあった。米系ファンドの資金繰り問題を材料に株先売り/債先買いのオペレーションも観測された。午前の下げた局面でも、現物市場では生保・年金・銀行・公的などの国内勢による押し目買いが幅広い年限に入っていたという。3月の国債大量償還や2月末のインデックス年限長期化に伴う買いなどで、潜在的な買い需要が意識されている。

 前日の米債市場が原油急騰などで大幅下落したが、新光証券・債券ストラテジストの三浦哲也氏は、債券市場にとって、今の売り材料は将来の買い材料ととらえるべきだ、と話す。

 同氏は「米債はもともと高いボラティリティを抱えていたマーケット。米金利が急低下した後の調整にすぎず、(10年債利回りが)4%を超えることはないのではないか。マーケットは原油高をインフレの材料して反応した格好だが、原油高は米国の家計にとって負担であり、企業のコストアップにつながる。物価の上昇が需要の減退に結びつくというパスを意識せざるを得ない」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者)

 
 
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