米景気後退は軽症の見方で商品価格が急騰、企業の収益圧迫要因に

2008年 02月 20日 18:42 JST
 
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 [東京 20日 ロイター] 原油からプラチナなどの貴金属、大豆などの農産物に至るまで幅広い範囲で商品価格が上昇している。背景には米景気後退が深刻にならず、原材料の需給が当初の見通しよりもタイトになるとの思惑があり、リスクマネーも呼び込んでコモディティ・マーケットは再び、活況を呈してきた。

 ただ、原材料価格の大幅な上昇は、国内企業の収益を圧迫する大きな重しとなりそうで、マーケットも神経質に推移を見守ることになりそうだ。

 <原油・貴金属・農産物と軒並み大幅な上昇>

 ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)の米原油先物は19日、前日比4.8%上昇して1バレル=100.10ドルを付け、1月3日の最高値を更新した。これまで原油価格は米景気懸念で押し戻されていたが、石油輸出国機構(OPEC)が3月5日の総会で据え置き、あるいは減産を決定する可能性すら出てきたことで上昇に転じている。

 商品市況の高騰は原油だけにとどまらない。COMEX銅先物は、一時4カ月半ぶりの高値を付けたほか、COMEXプラチナ先物が13営業日連続で最高値を更新するなどベースメタル、貴金属がともに騰勢を強めている一方、大豆や天然ゴムなどの農産品も強含みとなっている。

 原油価格の100ドル乗せについて市場では「引き続き余剰資金の流入が続く一方、ファンダメンタルズ面では北米のリセッション懸念が後退したことが大きい。テクニカル的には、85ドル前後でメジャーな支持線に支えられて反発し強さを感じさせている。好材料がそろい高止まりする気配だ」(三菱商事フューチャーズ・営業推進室課長代理の菅田修司氏)との声が出ている。

 他方、石油会社各社では、現在の原油高騰は恒常的なものではないとの視点に立ち、今年の原油相場予測について慎重にみている。

 国際石油開発帝石ホールディングス(1605.T: 株価, ニュース, レポート)は「現在の原油価格水準は、投資資金の流入など、本来の需給以外の要因も加わっており、高いと思っている。投機的な要素がなくなれば、価格が大きく落ちる可能性もありそうだ」と第3四半期決算発表の席上で見通しを明らかにしていた。同社株は、原油に先高観が出てきたことを背景に、20日の市場で相場全体が崩れる中でも底堅く推移している。

 <背景に米大幅利下げと米景気の復調予想>

 ところが、ここにきての商品全般の上昇は、必ずしも投機的な要素だけで上げたとは言えなくなっている。三菱商事フューチャーズの菅田氏が指摘するように、北米景気の回復で原油をはじめ実需が上向くとの見方が出ていることが背景にある。そこにマネーの活発な動きも加わって、原油を筆頭に工業品から農産品にいたるまで幅広く商品市況に先高観が台頭している。

 この点について、かざかコモディティ・主席アナリストの鈴木孝二氏は「米国の低金利によってインフレ抑制の芽が摘まれたために、商品は上昇しやすい環境だ。これに新興国の止まらない需要が材料として加わり、全面高の市況に余剰資金が集まるようになっている」と指摘する。

 こうした状況を踏まえ、企業では先行きの業績見通しに対し、慎重な姿勢を示すようになっている。向こう1年を展望する意味で注目される12月期企業の決算発表で、19日に発表したブリヂストン(5108.T: 株価, ニュース, レポート)の営業減益予想が話題を集めた。

 同社の2008年12月期連結営業利益見通しは前年比22%減の1950億円。タイヤを中心に販売数量が増加するとみており、過去最高の売り上げを計画しているものの、天然ゴムなどの原材料価格が利益を大きく圧迫するという。750億円程度の製品値上げを計画しているが、原材料価格上昇などによるマイナス要因は500億円程度と重い負担になる。

 足元の天然ゴム市況は、タイやマレーシアが減産期にあることを背景に、1980年以来の高値水準に向けて上昇指向を強めている。直近の上昇には、原油高によって石油製品を原料とする合成ゴムから天然ゴムにシフトするとの読みも背景にあるという。

 ブリヂストンの荒川詔四社長は決算会見の席上で天然ゴム市況について「以前なら天然ゴムの値動きはサイクル的で、合成ゴムもそれに追随していた。しかし、近年は不透明で(今年度は)さらに(原材料価格が)上振れしないともかぎらない」と述べた。このコメントから原料価格が商品市況に左右される企業は厳しい状況に置かれていることをうかがえ、その対応策として価格転嫁の動きが活発化すると想定されている。

(ロイター日本語ニュース 取材協力 久保 信博記者 編集 田巻 一彦)

 
 
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