民主の疑心暗鬼呼ぶか「武藤日銀総裁案」、空白リスクで心理戦

2008年 03月 8日 08:28 JST
 

 吉池 威記者

 [東京 7日 ロイター] 政府が次期日銀総裁として武藤敏郎副総裁の昇格案を提示したことで、民主党の次の一手が注目されている。これまで武藤氏を昇格させることに否定的だった民主党に福田康夫首相があえて武藤氏起用を打ち出し、大連立騒動が起きて以来、疑心暗鬼になりがちな民主党を揺さぶる狙いもあったのではないかとの声が永田町ではささやかれている。

 信用収縮懸念が表面化し、市場の動揺が再び大きくなりつつある最中に、日銀総裁の座を空白にした場合、民主党が傷を負うのではないかとの懸念も党内に出始めた。日銀総裁のポストが、政党間の心理戦の行方に大きく左右される展開になってきた。

 「総裁ポストを空席にしてでも政府案を突っぱねる」――。民主党の渡辺周税調副会長は、福井俊彦日銀総裁の後任候補として武藤副総裁を昇格させる政府の人事案にあくまで同意しない考えを強調した。ただ、高度な政治判断として、小沢一郎代表がきょうの政府案を受け入れるとの見方もある。渡辺税調副会長は「党の方針が揺らぐことは最悪のシナリオだ」と述べた。

 福井総裁の任期満了に伴う日銀人事は、1月末時点で武藤氏を軸としながらも、岩田一政副総裁や黒田東彦アジア開銀総裁の名前も一部で挙がっていた。それに対し、野党側は山口泰前日銀副総裁で結束しようとしていた。2月に入ってからいったんは武藤氏の任命が確実視され、山口前副総裁の総裁就任の可能性は消えかかった。しかし、2月下旬になって、武藤副総裁に代わって山口前副総裁が有力候補者として急浮上した局面があったという。実際、自民党国対委員長を経験した有力議員から「次期日銀総裁は山口氏」との声も出ていたようだ。

 町村信孝官房長官が6日、日銀総裁・副総裁に関する政府人事案を7日に提示すると言明し、霞ヶ関や永田町で繰り広げられていた情報戦が一気に白熱化した。福田首相は6日午後、最終判断したが、公明党の太田昭宏代表と官邸内で会談した際、日銀総裁人事について「あす(7日)午前中に電話します」とだけ伝えていた。

  <根強く流れる民主党内の不協和音>

 これまで与党内からは「日銀総裁人事でも民主党内でねじれ現象が起こっている」(国対幹部)といった声が出ていた。民主党の大塚耕平・参院政審会長代理は6日、ロイターとのインタビューで、政府提案が武藤副総裁ならば「民主党内の雰囲気は限りなく不同意に近い」とし山口前副総裁については「当然選択肢と考えてよい」と答えた。大塚氏は、渡辺博史・前財務官ら具体名を挙げ、民主党があくまで武藤総裁案には同意しない考えを示した。永田町の中では、このインタビューについて「かえって党内が結束していないことを裏付けている」と見る声が出ていた。  続く...

 
 
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