米指標悪化で気迷い、ベアー救済スキームの広がりに注目
[東京 26日 ロイター] 26日の東京市場は投資家の気迷い気分が強く小動き。米連邦準備理事会(FRB)のベアー・スターンズBSC.N救済策で金融市場の混乱にはいったん歯止めがかかっているものの、米経済指標の悪化が鮮明でリスクをとる動きは限られた。
円債市場では日銀短観の悪化を先取りする格好で中期ゾーンに買いが先行、長期債を引っ張る場面もみられたが、結局 押し戻された。市場関係者の間では、ベアー救済を受けて今後、他の金融機関にも同様のスキームが採用されるのか、金融問題解決のスピードをみるえうで注目する声が上がっている。
<株式は権利落ち分埋める>
東京株式市場で日経平均は小動き。市場推計で100円程度の権利落ち分を考慮すれば実質プラス。為替がやや円安に傾いたことで下値は限られたが、1日に発表される4月の日銀短観や欧米金融機関の1─3月期の決算発表などを控え「新年度資金がすぐに動きだす様子はない。慎重に見極めるべきイベントが多く、様子見になっている」(大手証券)という。
新光証券・エクイティストラテジストの瀬川剛氏は「株価的には胸突き八丁を迎えていることも確かだ。日経平均で約42%戻しているが、40%台の戻りは昨年から何回もあった。だが、半値戻し(50%)にはいずれも至らず、テクニカル的に安値を安値とみなせない状況が続いている。今回も半値戻し水準1万2909円を超えるかどうかがポイントだろう」という。
いちよし証券・投資情報部、チーフストラテジストの高橋正信氏は「期末が意識されており、大きな値崩れはなさそうだ。ただ、先行き不透明感が強いためインデックスには期待できない。今は、個別物色に徹するべきだ。ダイナミックに展開するグローバルプレイヤーの株に動きが出始めている」と話している。
<ベアー救済スキーム、一定の評価>
FRBのベアー救済スキームに関しては「アナウンスメント効果はひとまず出ているようだ。このスキームが普遍的なものであれば、4月に本格化する欧米金融機関の1─3月期決算でサブプライム関連の損失が拡大しても、ある程度リスクを遮断できるという構図ができあがる」(三井住友銀行、市場営業推進部チーフストラテジストの宇野大介氏)「実質的に公的資金投入の面がある。あとは直接的な資本注入を待つのみだが、問題への対策はかなり前進してきた印象がある」(新光証券の瀬川氏)と、一定の評価を受けている。
ただ、三井住友銀行の宇野氏は「今回のベアーのようにJPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)の役割を果たす機関が毎回出てくるとは限らず、FRBの時間稼ぎの感は否めない」と慎重だ。
相場見通しについても「米国株式市場はクレジット問題関連で材料が出る毎に悲観・楽観の反応を繰り返してきたが、楽観的な反応をする期間が徐々に短くなってきているように感じる。FRBの小出しの対応を好感しているうちはよいが、そのうち悲観論一色に染まる恐れもあり、決算が出る4月以降は要注意だ」と話している。
クレディ・スイス証券、チーフエコノミストの白川浩道氏は、今後の注目点として、1)投資ファンドなども今回と同様にtoo big to failの対象となるのか、2)破たん危機にない大手金融機関が不良債権を本体から分離する際にも今回のスキームが適用されるのか──に注目している。
そのうえで白川氏は「過度な金融機関の救済との批判の声が高まり、今後、スキームを適用しにくくなるリスクがある」としながらも、スキームの採用が相次げば、米金融機関におけるキャピタル・クランチ発生のリスクはかなり後退する、と述べている。
<ポジション繰りに振らされる円債市場>
円債市場は小幅安。午前は、日銀短観の悪化を先取りした買いが中期ゾーン中心に入り、つれて10年最長期国債利回り(長期金利)が一時2005年7月以来2年8カ月ぶりの低水準となるなど、買いが優勢となった。国債先物も中心限月の6月限は一時67銭高の141.17円まで急上昇した。
前日、米国で発表された3月コンファレンス・ボード消費者信頼感指数や1月スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラー中古住宅価格指数が軒並み悪化、「景気後退期に見られるような数字」(バンク・オブ・アメリカ・セキュリティーズのシニアエコノミスト、ピーター・クレッツマー氏)「米国の消費マインドは底割れに近い状態」(みずほ証券・チーフマーケットエコノミスト、上野泰也氏)などの声が広がり、あらためて景気実態の悪さに関心が向いた。
中期ゾーンに関しては、日銀の利下げ観測の強まりを意識して、国内投資家が買いを入れたとの観測が出ていた。3月決算期末が迫り流動性が低下する中、振れ幅が大きくなっているとの声も出ていた。
ただ、午後に入ると、一転して売りに押される展開になった。ある外資系証券筋は「前場に中期債を買う参加者がいた一方で、後場には別の参加者が売りに回った。海外勢のカーブ上のポジション繰りも影響した。材料や理屈ではなく、各金融機関のポジションの問題だ」と話す。
(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者 編集:田巻 一彦)
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