米金融機関への出資を渋り始めた中国、国務院の承認義務付け
[ニューヨーク 26日 ロイター] 米国の金融機関のクレジット関連損失が膨らんでいることを背景に、資本の引き受け手として期待されていた中国の銀行が投資に慎重な姿勢を強めている。
関係筋によると、中国のCITIC証券(中信証券)が辛くも米ベアー・スターンズへの出資から逃れて以来、中国政府は、国有企業が海外企業に多額の投資を行う場合、最終的な合意を結ぶ前に国務院の承認を得るよう求めている。
もっとも、中国の銀行の間ではそれ以前から、海外の金融機関への投資に対する神経質なムードが広がっていた。
関係筋によると、中国建設銀行(CCB)(601939.SS: 株価, 企業情報, レポート)は過去1年間に、米カントリーワイド・フィナンシャルCFC.Nや英国のノーザン・ロック(NRKx.L: 株価, 企業情報, レポート)を含め、出資を求める案件を30件近く断ったもよう。
関係筋が匿名を条件に明らかにしたところによると、CCBは昨年末に、米ゴールドマン・サックス(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)からカントリーワイドへの出資を打診された。それに対し、CCBはリスクが大きすぎると判断し、提案を断ったという。カントリーワイドは結局、バンク・オブ・アメリカに約40億ドルで買収された。
中国の他の主要銀行幹部も、「毎週のように」世界の投資銀行から出資の打診を受けていると打ち明けている。だが、金融市場の危機が収束するにはまだ道のりが遠く、株価もさらに急落する恐れがあるとの懸念から、米国の金融セクターに対する出資の意欲は冷え込んでいる。
<ノーザン・ロック>
関係筋によると、CCBに対しては今年初めにも、英ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長が、ノーザン・ロックへの出資に参加するよう要請があった。ヴァージン・グループの幹部が北京に飛び、ノーザンへの共同出資をめぐって正式な交渉に入ったが、CCBの取締役会はリスクが高すぎると判断して要請を断った。
CCBの郭樹清会長は先週、中国紙に対し「リスクは為替リスクかもしれないし、金利リスクや統合リスクかもしれない。もちろん、ターゲットとなる金融機関が所在する国が友好的ではなく、協力しようとしない場合もあった」と述べている。
英政府は先月、ノーザン・ロックの資金調達が不調に終わったことから国有化することを決めた。
<ベアーの教訓>
実際、中国の政府系ファンドである中国投資限責任公司と、大規模プロジェクトへの融資を手掛ける国家開発銀行は、昨年海外向けに実施した投資で多額の損失を被っている。
中国投資は初の対米投資として30億ドルを投じてブラックストーン株の10%近くを取得したが、6月に同社が株式公開して以来、約40%もの損失を出し、国内メディアから激しい批判を浴びている。
中国民生銀行(600016.SS: 株価, 企業情報, レポート)もサンフランシスコのUCBHホールディングス(UCBH.O: 株価, 企業情報, レポート)株の9.9%を取得したが、投資価値は半減している。民生銀行のDong Wenbiao会長は、UCBHへの投資は「投機的な戦略目的」だとしているが、株主からの圧力が高まっていることを認めている。
JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)がベアー・スターンズBSC.Nの買収計画を発表した際には、中国のメディアはCITIC証券が出資を見送ったことは幸運だったと称賛した。JPモルガンによるベアー買収価格はわずか21億ドルだったため、中国の規制当局が認可を遅らせずにCITICが計画通り10億ドル出資していれば、その大半を失っていたことになる。
その結果、中国政府は国内金融機関による海外への投資を認可する基準の引き締めに着手した。関係筋によると、現在は「多額の」海外投資に関する最終的な契約を結ぶ前に、国務院の承認が必要となった。
(ロイター日本語ニュース 原文:George Chen記者、翻訳:長谷部正敬)
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