オイルマネー持たざるアラブ諸国、食品価格上昇が深刻な問題に

2008年 04月 5日 11:45 JST
 

 [ベイルート 3日 ロイター] 湾岸アラブの産油国が原油価格の上昇で経済的に潤っている一方、石油資源に乏しい周辺のアラブ国家では、エネルギー価格や食品価格の高騰に国民が苦しんでいる。

 湾岸アラブ諸国では、潤沢な石油収入による景気過熱が物価上昇を招いている側面がある。また、多くが米ドル・ペッグ制を採用しているため、米ドル安に連れて自国通貨が下落し、輸入価格が上昇することで一段とインフレが高進するという構図にもなっている。

 一方、原油高による恩恵をさほど受けていないアラブ諸国の都市部では、インフレ抑制には難しいかじ取りが要求される。エジプトの首都カイロやイエメンの首都サヌアといった都市では、当局は燃料や食料などへの助成金の財政コストと、社会的不満の爆発といった政治的リスクをてんびんにかけなくてはならない。

 シリアの首都ダマスカスでクリーニング店を営むジハド・アル・アミンさんは「もう安いものは何一つない。記憶する限りただ同然だったパセリでさえ、3倍に値上がりした」と話している。

 アラブ地域では、食品価格上昇の打撃を最も受けるのは貧しい国。食糧を輸入に頼る発展途上国など、世界のほかの地域でも食品価格の上昇は問題となるが、中東ではあらゆる不安定要素が地域に大きく波及するリスクがある。

 国連の世界食糧計画(WFP)のスポークスマン、ロビン・ロッジ氏は「中東は極めてセンシティブな地域なので、もっとよく注視しておかなくてはならない」と指摘。エジプトやイラク、シリア、イエメン、パルスチナ自治区で約400万人に食糧を提供するWFPだが、ロッジ氏は「中東では不満や怒りの向かう先が、恐らくほかのどの場所よりも地政学的問題になりやすい。大きな貧富の格差も考慮する必要がある」と述べた。

 アラブ首長国連邦(UAE)やバーレーンでは、物価上昇と米ドルの購買力低下を背景に、出稼ぎ労働者らによる暴動や抗議行動が発生している。サウジアラビアではインフレ率が2月、27年ぶりの高水準となる8.7%に達した。

 <政治的な抑圧>  続く...

 
 
Photo

ロイターオンライン調査

写真

デフレ環境下で急速な円高が進み、「ドバイショック」も加わった。「日本株は売り材料ばかりで、八方ふさがりだ」との声も。  ブログ