金融政策は大きな経済の流れを踏まえる必要=白川日銀総裁候補
[東京 8日 ロイター] 白川方明日銀総裁候補(現日銀副総裁)は8日午後、参院議院運営委員会での所信聴取後の質疑応答で、実質金利が低いという事実だけで政策金利の方向が決まるわけではないとの見解を示した。その上で金融政策は大きな経済の流れをしっかり踏まえる必要があると語った。
白川総裁候補は、金融政策について「もし情勢が変化し、必要な政策があれば、それは機動的に実施していく」と指摘。同時に「金融政策のラグは1─2年とかなり長いが、過去の経験からすると、(金融政策は)足元の状況に引きずられやすい傾向があることも事実」として「この2つをその時々の中で判断していく」と強調した。
金利正常化論については「実質金利が低いのは事実」とした一方で「低いという事実でもって、直ちに毎回の決定会合で政策金利の方向が出るというわけではなく、大きな経済の流れ・傾向をしっかり踏まえる必要がある」とも述べ、実質金利が低いことが利上げに直結するわけではないとの認識を示した。
日銀が3日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」によると、1年後の物価が「かなり上がる」「少し上がる」とみている消費者が全体の9割弱に上り、身の回り品の値上がりが消費者の心理に影響を与えていることがあらためて浮き彫りになった。
こうした状況について白川総裁候補は、食料品の値上がりなどが背景にあるとの見方を示したが、同時に2月全国消費者物価指数(除く生鮮食品)が前年比1.0%の上昇にとどまっていることから「以前と比べると上がっているが、どんどん上がる状況ではない」とも指摘、引き続き物価動向を注視していく姿勢を示した。
日銀は、中長期的にみて物価が安定していると各政策委員が理解する物価上昇率(中長期的な物価安定の理解)について、消費者物価指数(CPI)の前年比で0─2%程度、中心値は概ね1%前後と公表している。白川総裁候補は「これまで発表されている数字に、大きな違和感はない」と述べ、他の政策委員と同様の見方であることを明らかにした。
一方、サブプライムローン(信用度が低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した米国金融システム問題については「問題の本質はクレジットバブルが崩壊した、つまり(金融機関の)自己資本が十分にないということ。これは中央銀行による流動性の供給だけでは解決しない問題だ」と指摘。「まずは当該金融機関が損失を十分に確定し、その上で不足する自己資本を調達することが大原則だ」としながらも「民間ベースだけの努力で足らない場合には、公的な資本の注入も必要になってくるかもしれない」との見解を示した。
(ロイター日本語ニュース 志田 義寧記者)
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