G7で金融監督・リスク管理強化表明へ、公的資金は踏み込まず
[東京 11日 ロイター] 7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が11日、ワシントンで開幕する。米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題を背景とした世界経済の不透明感の強まりや、金融市場の混乱について集中的に議論する。
特に市場の動揺に伴い金融機関の損失が拡大し、信用不安の様相を強める中で、金融安定化フォーラム(FSF)が提出する最終報告書に基づいて、国際金融機関に対する監督体制や金融機関のリスク管理・情報開示の強化などを打ち出す方針。ただ、公的資金活用にまで踏み込むのは難しい情勢だ。G7終了後には、アウトリーチ(拡大)会合に世界の主要金融機関の首脳らを招いて協議する。
ワシントンG7は米サブプライムローン問題を背景に、世界経済の先行き不透明感が一段と強まる中で開催される。国際通貨基金(IMF)は9日、米経済は2008年に小幅なリセッションに入るとの見通しを示し、同年の世界経済の成長率見通しをそれまでの4.1%から3.7%に下方修正した。
金融市場も、経営危機に直面していたベアー・スターンズBSC.Nの救済などを受けて、足元こそ落ち着きを取り戻しているものの「全体として不安感が強い状況が続いている」(日本の財務省幹部)というのが、G7当局の見方だ。
こうした状況の中、今回のG7では、米国を中心とした世界経済の状況や金融市場の混乱への対応が中心テーマとなり「会合の大半はこの議論に使われる」(同)ことになる。
焦点は、現在の信用不安の根源とみられている欧米金融機関の損失拡大への対応策。FSFが提示する最終報告書に沿って議論が展開されることになるが、議論の中心は国際金融機関に対する監督体制や金融機関のリスク管理・情報開示などになる見通し。
米財務省やその他のG7筋によると、FSFの報告書には、大手国際金融機関の監督を共同で行う主要国当局者によるチームを年内に指名するほか、1)各国当局は7月までに金融機関の流動性対策の指針を改善、2)銀行・証券会社による証券化商品のリスク開示と自己資本比率の引き上げ、3)格付け会社による証券化商品などの格付け手法の区別と透明性向上、4)各国中銀による効果的な流動性供給や経営が弱体化した内外金融機関への対策強化--など具体的な提言が盛り込まれる見通し。
他方、問題の早期解決を図るため、震源地である米国を中心に金融機関に対する公的資金の活用を検討すべきとの指摘もあるが、米政府は大統領選を控えて消極的。
ポールソン米財務長官は10日、金融機関が自己資本を高めることは、市場混乱が経済減速につながるのを防ぐために不可欠との認識を示しながらも「資本調達が必要だと思えば、政府の支援を求めてはならない」と民間レベルの努力を促している。
日本政府としては、1990年代を中心に大規模な不良債権処理問題に長く苦しみ、最終的に金融機関に対する公的資金注入なども活用して克服した経験などを説明する見通し。
ただ、今回の証券化市場を起点とした信用不安の広がりは「どこかの国の経験が、そのまま当てはまる状況ではない」のも事実。G7に初めて出席する日銀の白川方明総裁は10日、ワシントン到着後に記者団に対し、日本の主張について「金融システムを安定化させるという明確な意思が必要だ」と述べた。
G7終了後に開かれる拡大会合には、世界の主要金融機関の首脳ら10人程度が招待されている。拡大会合に民間が参加するのは異例のことで、G7の議論を踏まえた信用不安対策について、どこまで踏み込んで協議が行われるかが注目される。
ドル安が進行する為替市場に関しては、相対的にユーロ高にある欧州からけん制発言が相次いでおり、「欧州側から為替の議論が出てくる可能性はある」(国際金融筋)とみられいる。
ただ、複数の国際金融筋によると、それぞれの国の経済実態から大きくかい離した動きにはなっておらず、「為替レートは経済ファンダメンタルズを反映すべき。為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済成長に望ましくない」との前回会合の考え方を再確認する見通しだ。
(ロイター日本語ニュース 伊藤 純夫)
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