政府が英ファンドのJパワー株の追加取得を変更・中止命令へ

2008年 04月 16日 06:49 JST
 

 [東京 15日 ロイター] 英ファンドTCI(ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド)が電源開発(Jパワー)(9513.T: 株価, ニュース, レポート)株の追加取得を政府に申請している問題で、有識者で構成する政府の審議会は15日、これを否定する意見書をまとめた。

 この結果、政府は週内にもTCIに対し投資計画の変更・中止を勧告する見通し。公益と対日投資のどちらを優先するかで注目を集めた同案件は、電力会社の公益性を重視する有識者の判断が示された。

 外為法による外資規制で投資者の届け出が却下されれば初めてとなる。ただ、国内の株式市場が低迷する中、今回の判断が外国資本による対日投資を冷やす懸念が広がる可能性もある。

 関税・外国為替等審議会外資特別部会(部会長:吉野直行慶大教授)は15日、TCIの追加投資計画について「公の秩序が妨げられる恐れが認められる」とする否定的な意見書を発表した。15日夜記者会見した吉野部会長は、TCIからJパワーへの投資は3─5年の期間を目指していると説明を受けたとした上で、「3年から5年の投資で日本の電力の安定供給に(悪)影響を与えたら困る」などと、意見書での結論に至った理由を説明した。

 意見書では、Jパワーが、1)北海道・本州・四国・九州をつなぐ送電線とともに、東日本と西日本の電力融通を行う周波数変換所を保有している、2)青森県の大間原子力発電所の建設計画を進めている点を重視。TCIのJパワー株追加投資については、日本の送電線の運用や維持、国の原子力・核燃料サイクル政策の実施に「不測の影響が及ぶ可能性を否定することはできない」と断定。そのうえで「政府において適切な対応がとられることを求める」とした。

 吉野直行部会長は、会見で「原子力事業は20年から25年の長期にわたって考える必要があるが、(TCIが志向している)3─5年の投資では、長期投資を控え短期的な配当を多くするよう行動する」と断定。こうしたファンドの投資方針について「普通の会社で、競争がある業界なら問題ない」(吉野氏)としているが、Jパワーのような公益企業にはそぐわないとの考えを示した。

 今回の意見書によって、対日投資に悪い影響が懸念される。ただ、吉野部会長は、電気事業の外資規制について「ほとんどの国で規制対象だ。日本だけが特別なものではない」と指摘。同部会長は、「一般企業には海外からの投資が必要だ」とするとともに、これまでに外為法に基づく外資規制は、過去3年間に763件の事前届け出があったが、全て認められてきた点を強調した。

 TCIは、Jパワー株9.9%を保有し、今回、20%まで出資比率を高めるため、外為法に基づき日本政府に事前申請している。この申請に対し、政府は「安全保障と公の秩序の維持を妨げる恐れがある」と判断したため、外資特別部会を始めて開いた。吉野部会長をはじめとする委員は、11日の会合で、TCIのジョン・ホー氏から意見を聴取したのに続き、15日の第2回目の会合で全員一致で意見をまとめた。

 (ロイター日本語ニュース 村井 令二記者、浜田 健太郎記者)

 
 
写真

2大政党制になったにもかかわらず「与党がだめなら野党に」という仕組みになっていない。それでも野党・自民党の復活を願う声はあるはずである。  ブログ