円高の直撃で減益予想相次ぐ、数量増から為替次第で上振れ余地も
[東京 24日 ロイター] 本格化している決算発表で、急激なドル安/円高を理由にした今期の減益見通し発表が続出し、輸出型企業の業績に円高が大きな打撃となっている構図が鮮明になってきた。
ただ、新興国や欧州向けの輸出が好調なほか、北米も大きな落ち込みはみられず、全般的として数量増が見込まれている。為替相場の動向次第では、業績上振れの余地もあるとの声も出ている。
24日の後場立会中に発表されたファナック(6954.T: 株価, ニュース, レポート)の2009年3月期連結決算予想は、営業利益が1808億円(同4.6%減)の小幅減益になると発表。ロイターエスティメーツによる主要アナリスト16人の予測平均値1924億円を下回った。前日比プラスで推移していた株価は発表直後に急落した。大引けこそ前日比50円安の9880円まで小戻したが、一時は同280円安まで売り込まれるなど、マーケット参加者に失望感を与える格好となっている。
同社は資材価格について慎重にみているほか、為替相場についても09年3月期想定レートをドル/円で97円と08年3月期実績の117円84銭から約20円の円高水準で設定するなど、急激なドル安/円高が減益の大きな要因となっている。
大引け後に発表された決算予想についても、円高で苦戦する主要輸出型企業の姿が浮き上がった。2008年12月期第1四半期(1─3)決算を明らかにしたキヤノンT>は、通期の営業利益見通しを期初予想の8000億円から7700億円(前年比1.8%増)へ下方修正すると発表。会社側では「為替の前提が(見込んでいたレートより円高に)変わったのが大きな要因」(大澤正宏常務)としている。
スズキ7269も、09年3月期の連結営業利益を前年比6.3%減の1400億円、キッコーマン2801は今期営業利益予想を230億円(前年比3.6%減)と発表した。いずれも円高を減益要因に挙げている。
キッコーマンは、国内の伸び悩みを海外でカバーしていた状況は今期も続くが、急激なドル安/円高がマイナス要因として作用していると説明。09年3月期のドル/円の為替レートは100円と、前期実績の114円13銭から大幅な円高を想定している。通期の営業利益への為替の影響は15億円と見込んでおり、同社の山崎孝一執行役員経理部長は「円高の影響を除くと実質的に今期は営業増益になる」と述べた。
しかし、販売数量でみると全体的に健闘が目立つ。ファナックの稲葉善治社長は「アジア、欧州の伸びが大きくなっている。北米についてもマイナスにはなっていない」と述べ、数量が伸びながら円高による目減りが影響していることを明らかにした。
また、キヤノンは景気悪化が懸念される米国に関し「コピービジネスなど景気停滞の影響が出ているものの、デジタルカメラ、プリンタなど計画通りに推移している。後半にかけて回復が見込めそうだ」(大澤常務)としているほか、中国をはじめ新興国市場向けでは、ほとんどの製品群が計画と同等か上回る状況にあるという。
スズキも四輪車販売は前年比9.5%増の263万4000台、二輪車販売は同9.6%増の366万6000台を計画している。
減益見通しに対するマーケットの反応について「事前に悪いと予想され織り込み済みとの指摘もあったが、ファナックなどの動きをみると必ずしもそうでないような動きだ」(SMBCフレンド証券・投資情報室次長の松野利彦氏)との声が出ていた。
ただ「意外に売上高の面では好調な様子であるため、為替相場が落ち着いた場合、上昇修正ののりしろが生じ、株式市場はそれを織り込む可能性も出ている」(松野氏)という。
(ロイター日本語ニュース 水野文也)
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