国債急落で初の一時取引停止、「VaRショック」再来の声も

2008年 04月 25日 17:23 JST
 

 [東京 25日 ロイター] 日米欧の中央銀行による協調利下げ観測が消え去るなか、国債相場の下落に歯止めがかからない不安定な状況が続いている。

 不測の事態に陥る前にリスク量を減らす管理手法「バリュー・アット・リスク(VaR)」に抵触した保有債券の売却が相次いだためとみられ、国債先物を上場している東京証券取引所は25日、一時取引を中断する措置に初めて踏み切った。市場では、2003年半ばに金利急騰を演出した「VaRショック」の再来を懸念する声が広がっている。

 25日の東京円債市場で国債利回りが軒並み急騰した。金融政策に敏感に反応する5年利付国債利回りが一時、前日比23ベーシスポイント高い1.280%に上昇、2年利付国債利回りは13bp高い0.850%をつけ、いずれも07年10月以来の6カ月間でもっとも高い金利水準となった。中短期債利回りの急騰につられ、長期金利の代表的な指標となる10年利付国債利回りは07年11月以来となる1.620%まで売られる場面があった。

 国債先物は、チャートポイントを重視する商品投資顧問業者(CTA)から売りが出たほか、短期売買を狙った参加者による損失覚悟の処分売りがみられ、一時前日終値より2円50銭安い134円58銭に急落。東京証券取引所によると、国債先物が1日の取引で2円以上下落したことは、これまでに例がない。東証は、大幅な相場変動下で冷静な投資判断を促す狙いで08年1月に導入した「サーキットブレーカー制度」を初めて発動。午後零時58分から午後1時13分までの15分間、取引を一時中断する異例の措置に踏み切った。

 相場急落のきっかけになったのは、大手行が満期保有目的の中期債を売却したことだ。サブプライムローン問題の深刻化による米景気減速をアジアや欧州などで補う「デカップリング論」が疑問視され始めた今年1月、主要国による協調利下げの可能性が急浮上する過程で、一部投資家は先々の日銀利下げを見越した債券投資に踏み切った。

 こうした保有債券は満期保有を前提に簿価計上するのが一般的とされる。売却しない限り、相場がブレても損益が確定することはない。それでも保有債券の売却に踏み切ったのは、VaRと呼ばれるリスク管理手法が影響した公算が大きいとみられる。

 これは、複数年にわたる市場データをベースに不測の事態が生じた場合のリスクを管理する手法だ。過去のボラティリティから想定された値幅を超えて価格が値下がりした場合、強制的にポジションを落とす仕組みになっている。

 みずほ証券・クオンツアナリストの海老原慎司氏は「24日までに推計した結果では、観測期間を過去5年間、信頼水準を95%としたとしたときのポートフォリオの収益率のVaRはマイナス0.50%と計測される。5%の確率で、1週間のうちにマイナス0.50%以上の損失が発生することが、過去5年間の5年債金利のデータから推測できる」と分析する。  続く...

 
 
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