インタビュー:ねじれ解消で政界再編にも現実味=与謝野前官房長官

2008年 04月 28日 16:07 JST
 
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 吉川 裕子記者・リンダ・シーグ記者

 [東京 28日 ロイター] 与謝野馨前官房長官は28日、ロイターのインタビューに応じ、衆院山口2区補欠選挙での敗北を深刻に受け止め、「ねじれ国会」解消の打開策として「政界再編が現実的になっていく」と見通した。

 ただ、こうした動きが表面化するとしても「9月の民主党代表選前はない」と述べ、秋以降の政局の流動化の可能性をにじませた。

 今後の政局で与謝野氏は、現在のような低い内閣支持率・自民党に対する低い評価の下で「選挙があれば、自民党は自ら死を招くことになる」との危機感を示し、「来年9月の任期近くまで政権を継続し支持率の回復を待つべきだ」とした。

 ただ、党内には、福田康夫政権の支持率回復はもはや不可能で「選挙をやるのであれば、新しい政権でやるべきだとの意見が出始めたことは事実」とも語り、自民党総裁選前倒しの声が出始めたことを明らかにした。

 永田町周辺では、7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)後の衆院解散・総選挙観測が根強いが、自民・公明が現状より躍進することは考えられず、与党にとっては一段と厳しい国会運営が待ち受けている。

 与謝野氏は事態打開策として「連立か、部分連合か、その他のアグリーメント(政策協定)か、政界再編か。そういう話にだんだん近づいていくと思う」と述べた。与謝野氏自身も総理・総裁候補に名前が挙がるが、自民党総裁に出馬する考えがないことも繰り返した。

 インタビューの概要は以下の通り。

 ──衆院山口補選では自民党公認候補が負け、福田首相では選挙は戦えないとの機運も出始めた。自民党総裁選前倒しの可能性は、どうみるか。

 「低い内閣支持率、低い党に対する評価、こういう状況で選挙があれば、自民党は自ら死を招くことになる。私は出来るだけ、来年9月の任期近くまで政権を継続し、支持率の回復を待つべきだと思う」

 「もちろん党内には、現政権の支持率はもはや回復不可能である。従って選挙をやるのであれば、新しい政権でやるべきだとの意見が出始めたことは事実」

 「そういう意見がどこまで広がるかはまだわからない。しかし、1人1人の自民党議員は、自分の選挙、自民党全体の選挙について、既に深刻に考え始めた」

 ──支持率回復は可能か。

 「回復できるかどうかは別にして、福田首相は回復するための努力をしなければならない」

 「今回の選挙結果についてはコメントしようがない。しかし、この選挙を分析すれば、自民党として学ぶべきものがいくつも出てくる。敗戦を1つの重要な材料とし、モノゴトを考えていく必要がある」

  ──学ぶべきこととは。

 「個別の政策ではない。社会福祉制度に対する国民の不安をどう解消していくのかということは、財政との関係も大変重要で、そこを正直に言う勇気が必要だ」

 ──今後の国会運営について。ガソリン税の暫定税率維持を含む租税特別措置法改正案を30日に衆院で再可決する方針は変わらないか。

 「変わりない。これは憲法にきちんと書いてある手続きだ。憲法に書いてある手続きをとることに異論が出るとは、不思議なことだ」

 ──衆院での再議決に対して、民主党は時期をみて首相問責決議案を提出する構えだ。

 「問責決議案自体は政府を非難する決議案なので、政府は謙虚に耳を傾ける必要がある。しかし、それが、政治的あるいは制度的なインパクトがあるかといえば、問責自体は憲法に書いてない。内閣を信任するか不信任にするかは衆院の権能に委ねられている。政府は謙虚に受け止める必要はあるが、それによって、何らかアクションが始まるわけではない」

 ──総選挙後も国会のねじれ状況は解消せず、さらに深刻になる可能性がある。ねじれ国会解消の打開策は。

 「ねじれを解消する方法は連立か、部分連合か、その他のアグリーメント(政策協定)か、政界再編か。そういう話にだんだん近づいていくと思う」

 ──時期は。衆院選後か。

 「わからない。わからないが、少なくとも9月の民主党代表選前にはないと思う」

 ──政界再編は現実的か。

 「政界再編が現実的になっていくと思う」

 ──政界再編の政策的な対立軸は何か。

 「安全保障や社会福祉などで、極端な右の考え方と極端な左の考え方を捨てることが1つのメルクマールになるだろう。抽象的な概念でしかない。むしろ、彼となら一緒に行動できるといったヒューマン・ファクターが大きな要素になる」

 ──与謝野さん自身が再編の時の中心になって、「この指とまれ」としないのか。

 「私はしない」

 ──請われても、自民党総裁選に出る考えはないか。

 「私はそういうことはしない」

 ──抜本税制改革の進め方について。与党協議会を新設し議論を前倒ししてスタートさせる考え方もある。

 「税制改革は、どの国の税制改革をみても、国民にとって政治的な抵抗感が強いテーマだ。従って税制改革をやるのであれば、社会福祉とリンクして議論してもらわないと実現の方向に進まない」

 ──山口補選で批判の対象となった後期高齢者医療制度も、持続的な社会保障制度のために高齢者にも何らかの負担をお願いする考え方だった。与謝野さん自身は社会保障制度維持のためには消費税上げもやむを得ないとの立場だが、選挙結果を踏まえると、消費税を含む抜本改革の議論は難しくなったように思う。

 「これは制度としては決して悪い制度ではない。5割は税金で負担し、4割は現役で、1割が高齢者にも負担して下さいと(した)。ただし、高齢者でも負担出来ない人には保険料を安くする何段階かの措置、保険料を全く払わなくてよい制度も用意されている。全体としては高齢者医療制度を健全なものにするための正しい制度だと思っている」

 「(消費税を含む抜本税制改革のスタンスは)変わらない」

 ──経済が悪化している。景気対策の是非についてどう考えるか。

 「財政出動をして景気対策をやることは多分あり得ない。後は金融政策だが、金利政策全般ではなく、政策金融、中小(企業)金融の分野で政策的に強化しなければならない時期に入ってきた」

 「ただ、米国から始まったサブプライム問題が、他の証券化商品や金融機関取引など全体を信用縮小させている面がある。信用不安が日本にも少しづつ伝わってきている。また、米国が景気後退すれば、中国や東南アジアも景気後退する。日本経済は、米国、中国、東南アジアの経済と深くかかわっており、その影響は免れない」

 「もっとも、日本経済は当面は健全だ」

 ──米国の景気後退で日本経済がさらに悪化した場合、利下げも選択肢になるか。

 「日本銀行が短期金利を下げても何の効果もない」

 ──市場では金融政策の次の一手は利上げとの見方が根強い。

 「今の金利水準では金利が持っている資源配分機能は失われており、長期的には元に戻さなければならない。しかし、今みたいなときに、金利を上げるのは心理的な影響があるので、よほど考えなければならない。慎重にやったほうが良い」

 
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