FOMCは利下げ終えん観測否定、ドルは方向感求め当面荒い値動きか

2008年 05月 1日 19:30 JST
 
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 [東京 1日 ロイター] 今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文を受けて、外為市場で事前に広がっていた米利下げサイクルの終えん観測は修正を迫られた。今後発表される米経済指標を通じて米金融政策をめぐる見方は大きく変化しかねず、ドル相場の予想も大きく割れ始めている。

 市場では、米景気刺激策の効果が表れるとの観測や過度な悲観論が後退する形でドルの買い戻しが継続するとの見方の一方、米景気減速感の強まりや再利下げの可能性をにらんだドル安地合いの再来を予想する声が出ている。

 <FOMC後にドルは乱高下、米金融政策と相場の行方は指標次第との見方大勢>

 米連邦準備理事会(FRB)は30日のFOMCで市場予想通り0.25%の利下げを実施。同時に公開した声明文で、前月まであった「成長への下振れリスクは引き続き存在(downside risks to growth remain)」との文言と、必要に応じて「タイムリーに(in a timely manner)」行動するとの文言を削除したことから、市場はFRBが利下げサイクルの終えんを示唆したとの見方に傾き、発表後の取引でドルは一時104円台後半へ上昇した。

 しかしドルはその後すぐに103円台へ下落。1日の東京市場でも上値の重い展開となった。米利下げサイクルの終えんは一段の米金利低下に歯止めがかかるためドル買い手掛かりだが、ドルがすぐに反落したのは、FOMC声明文が「市場が予想していたほど明確に利下げを打ち止めるとする内容ではなかった」(三菱東京UFJ銀行・市場業務部為替グループ上席調査役の高見和行氏)ためだ。

 バークレイズ銀行・トレーディング部ディレクターの小川統也氏も「声明文をよく読むと、内容に含みを持たせている。FRBはしばらく金利を据え置くが、経済指標が悪化を示せばスタンスをすぐに転換し、利下げに動くとのスタンス」と読む。FRBは「今回で利下げは完全に打ち止めだと先走っていた」(邦銀の外為ディーラー)市場を過度に変動させることなく「うまく『次のデータ待ち』という先送りの雰囲気を作った」(バークレイズ銀の小川氏)といえる。

 <ドル上昇予想は107円前後、経済対策が消費下支え>

 FOMCで今後の米金融政策は米経済指標次第との見方が広がったことで、市場ではドル相場に対する見方が割れ始めた。上昇を予想する向きの論拠は主に、米利下げが結果として今回で打ち止めになるとの見解だ。サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題をきっかけとする金融市場の混乱、信用収縮を背景に、FRBが3%を超える政策金利の引き下げに動いたことが「十分条件ではないが、必要条件のひとつとして機能し始めた」(ある外銀のチーフディーラー)こと、5月の予定を前倒しして前月28日から始まった米緊急経済対策の戻し減税(所得税の還付)が消費を下支えし、米景気の減速に歯止めがかかることなどが手掛かりだ。最近の金融市場では米国をめぐる見方が弱気に大きく傾いていたことから、その反動として「過度な悲観論の修正という形で、ドルはレンジを切り上げながら調整する」(ロイヤルバンク・オブ・スコットランドRBS東京支店の外国為替部ヘッドオブFXトレーディング崔敏樹氏)という。

 そのほかにも、FRBが今回の声明でインフレ見通しをめぐる「不確実性(uncertainty)は依然として高い」としたことで、インフレ懸念の高まりが「これ以上の利下げ余地は乏しい」(都銀の外為ディーラー)とする見方や、米大統領選を控えて「米当局は大きな混乱を避けたいはず。サブプライム問題はまだ根深いが、選挙が終わるまで、ようやく落ち着き始めた状況を維持しようとする」(欧州系銀関係者)とする声もあった。ドル上昇派が指摘する対円相場の上値めどは、輸出企業の売りが多く待ち受ける105円前後。テクニカル上、この水準を上抜ければ107円付近への上昇も視野に入るという。

 <ドル下落予想は100円付近、指標悪化で利下げ観測再燃>

 一方、ドルの上昇は実体経済面から難しいとする声も多い。米商務省が30日発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値は年率換算で前期比プラス0.6%と事前予想のプラス0.2%を大きく上回ったが「GDPを押し上げたのは在庫のみ。設備投資や消費はマイナスに落ち込んでいる。雇用者数も減少傾向にあり、マクロ的にみて消費の下押し要因になることは避けられない」(クレディ・スイス証券経済調査部のヴァイスプレジデント、小笠原悟氏)と、米国のファンダメンタルズに対する参加者の見方は総じて厳しい。米経済指標が予想を下回り景気の減速を示せば、市場の利下げ観測が再び強まり米金利が低下、ドル安を誘発する可能性は低くない。

 信用リスク面から、引き続き株価動向が懸念材料とする見方もある。米大手金融機関は前週までに四半期決算の発表を終えたが「市場関係者の多くは疑念を持って決算を見つめていた。大手地銀など準大手以下の米金融機関に対する不信感もまだ根深い」(欧州系銀幹部)状況。再び信用リスクをめぐる観測が表面化すれば、センチメントの改善ムードは一気に悪化しかねない。「インフレ懸念が金利上昇観測につながりやすく、一時のように一気に100円を割れて下値を試すのは見込みづらい」(先の欧州系銀関係者)として、ドルの下値めどは最近の取引レンジ下限にあたる101―102円付近に集中している。

 <オプション市場では円高予想がやや優勢、米雇用統計も見方二分>

 こうした参加者の見方に対し、通貨オプション市場では円高予想がやや優勢だ。ドル/円の予想変動率を示すインプライド・ボラティリティは1カ月物が12%程度、1年物が10%台後半と前日とほぼ変わらずの水準だが、この日の取引では1週間物などの期近物で101―102円付近の円高水準をストライクとするオプションに買い興味が示されている。

 2日に発表される4月米雇用統計をめぐっても、参加者の見方は早速割れている。企業向け給与計算サービスのオートマチック・データ・プロセッシング(ADP)子会社などが30日に発表した4月ADP全米雇用報告によると、民間部門雇用者数は1万人の増加。事前予想の6万人減を大きく上回った。市場では「ADPが予想外の増加となったことで(米雇用統計をめぐる参加者の見方が上振れに傾くため)サプライズがあるなら下振れ(とドル下落)」(バークレイズ銀の小川氏)との声と「米国の雇用環境がいいはずがない。サプライズは上振れ(とドル上昇)だ」(RBSの崔氏)との見方が交錯している。

 ロイターが30日までに実施した聞き取り調査では、4月米雇用統計の非農業部門雇用者数は8万人減少の見通し。3月実績も8万人減だった。

 (ロイター日本語ニュース 基太村 真司)

 
 
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