今週の外為市場、米消費関連指標・米株の動向に注目
[東京 12日 ロイター] 今週の外為市場は、信用収縮が米国の実体経済にいかなる影響を与えたかを確認する一週間となりそうだ。特に米小売売上高や米ミシガン大消費者信頼感指数等の消費関連指標が注目される。
ゴールデン・ウィークをはさんだ直近の2週間では、金融市場の正常化期待や米経済に対する行き過ぎた悲観論の修正でドルが買い戻されたが、今週は経済指標を見極めながら、方向感の「仕切り直し」が予想され、景気指標や米株の動向次第では、円高リスクがありそうだ。
ユーロは、投機的なポジションが売り持ち(ショート・ポジション)に傾いていることもあり、下落したとしても、対ドルで反発しやすい環境だ、との指摘が為替トレーダーの間で多い。
予想レンジはドル/円が102.00―106.00円、ユーロ/ドル1.5200―1.5700ドル。
<米銀の貸出条件厳格化と米消費動向>
「ドルについては、ここ1―2週間で、金融市場の正常化が織り込まれて買い戻されてきたので、(今週は)信用収縮が実体経済にどのような影響を与えたかを確認する展開を予想する」とクレディ・スイス証券のヴァイスプレジデント小笠原悟氏は語る。注目されるのは、米金融機関の貸し出し動向と、それが個人消費に与える影響だ。
米連邦準備理事会(FRB)が5日公表した4月の銀行上級貸出担当者調査によると、米国内の銀行は景気見通しの悪化や先行き不透明感を理由に、過去3カ月で企業・個人向けの貸し出し条件を厳格化した。ブッシュ米大統領は、米サブプライムローン問題を受けた緊急経済対策の一環として所得税を一部還付する「戻し減税」を4月末から実施しており、その効果は5月後半からみられると一般的には予想されている。
「ただし、米銀が貸し出し態度を厳格化しているなかで、還付された税金が、消費ではなく、借金返済にまわってしまうリスクもあり、減税の効果は不透明感が強い」と小笠原氏は指摘する。複数のエコノミストによると、米景気のけん引役である米消費の減退は、景気を冷え込ませ、ドル安のリスクが再浮上する可能性があるという。
<米株価の動向に注目>
このところ米株動向とドル/円が短期的に連動性を高めていることから、為替相場を予想するうえで、今後の株価の展開に注目する声もある。「最近、(米)株価の足取りがおぼつかなくなってきている。少し前までは『米金融危機の最悪期は脱した』というシナリオで買い進まれてきたが、金融以外のセクターも含めて業績悪化のエビデンスが今後は出てくるだろう。市場がいったん形成した米利下げ打ち止めのコンセンサスも過去のものとなりつつあり、12日の週は米株安と円高のリスクをみている」とバンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイのチーフエコノミスト兼ストラテジスト藤井知子氏は語る。ダウ工業株30種は8日に前日から小幅反発して1万2866.78ドルで引けているが、アナリストの間では、5月2日に1万3000ドル台に乗せたところで、短期的にはピークアウトしたとの見方もある。
しかし、9日にはアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)の弱い決算を受けクレジット懸念が高まり、再びリスク回避の動きから株価が1万2700ドル台に下落。ドル売りが進み、ドル/円は102.60円付近を付けた。その後すぐに103円前半に反発したが、103円台は長続きしなかった。週明け早朝の取引は103円挟み。
<ユーロの上昇余地も>
市場では、足元でシカゴの通貨先物取引でユーロが売り越しに転じたことが話題となった。米商品先物取引委員会(CFTC)のIMM通貨先物取組報告(4月29日までの週)によると、ユーロは2005年12月以来はじめて、ネットの売り越し(2万1315枚)となった。前週は1万8907枚の買い越しだった。
ユーロが売り越しになったのは「ユーロ圏の経済指標の悪化などから、ユーロに強気なセンチメントが後退したため」(外銀)とされるが、市場では、ユーロ売りはあくまでポジション調整と位置づける市場参加者も多く「勢いあまってネットショートになったことは驚きだ」 (別の外銀)という。
IMMのデータがカバーする4月29日以降も、予想を上回る内容の米雇用統計などが発表されたことなどから、ネットのユーロ・ショートはさらに積み増されたと見られる。「このところユーロの下げ足が速かったので、個人的にはユーロの上昇余地が大きいとみる」(CS証券小笠原氏)との見方もある。
ただし、ユーロ/円などのクロス円では、円高圧力が健在化しており、「ユーロ/円の反発余地は限られる」(証券会社)との指摘もある。
今週は、13日に米小売売上高(4月)、米企業在庫(3月)、14日に英住宅ローン指数(5/9までの週)、米CPI(4月)、15日に独CPI改定値(4月)、ユーロ圏GDP(第1四半期)、米新規失業保険申請件数(5/10までの週)、米対米証券投資(3月)、米フィラデルフィア地区連銀製造業業況指数(5月)、16日に米住宅着工件数(4月)、16日に米ミシガン大消費者信頼感指数などが発表される。
(ロイター日本語ニュース 森佳子)
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