焦点:NZドルから豪ドルに資金シフトの動き
[ウェリントン 14日 ロイター] ニュージーランドドルは、「金利が最も高い主要国通貨」という地位を近く失う公算が大きい。投資家はすでにこれを察知し、後継候補のオーストラリアドルに資金をシフトさせている。
つまり、ニュージーランドの8.25%の政策金利が、豪州の7.25%の金利を下回るリスクをすでに織り込んでいる。
この見方を受け、豪ドルの対ニュージーランドドル相場は過去1カ月で5.5%上昇し、1年9カ月ぶりの高値を付けた。
複数のアナリストによれば、年末までにさらに5.5%上昇する可能性がある。
バンク・オブ・ニュージーランド(BNZ)の通貨ストラテジスト、ダニカ・ハンプトン氏は「この2通貨がはっきりとかい離するのは珍しいことだが、現時点でこれは明白な事実だ」と述べた。
ハンプトン氏は「ニュージーランドの成長が市場の予想を上回る急速なペースで鈍化している一方、オーストラリア経済は現時点で依然として良好のようだ」との見方を示した。
ニュージーランドは世界52位(世銀算出)の経済規模にもかかわらず、高金利を武器に1日3兆米ドルの通貨取引高を誇る。
ニュージーランドの政策金利は8.25%で、米国を6.25%ポイント、ユーロ圏を4.25%ポイント、英国を3.25%ポイント上回る。
高金利が投資家を魅了するなか、ニュージーランドドルの対米ドル相場は3月、23年ぶりの高水準となる0.8215米ドルを付けた。ニュージーランド準備銀行(中央銀行)は、インフレ圧力を抑制するため、政策金利を数回にわたり引き上げてきた。
しかし、最近のニュージーランドの経済指標は景気の著しい減速を示しており、現在では中銀が予想より早い時期にキャッシュレートを引き下げ始めるとの観測が台頭しつつある。
先週発表された指標では、第1・四半期の就業者数が過去20年来の大幅な減少を示した。また、今週の指標で、住宅販売が過去16年間で最低の水準に落ち込んだことが明らかになった。
市場はニュージーランドが利下げに転じる時期を9月と予想している。対照的に、豪準備銀行(RBA、中央銀行)は2009年に入ってもしばらくは現在の金利水準を維持するとの見方が多い。
TDセキュリティーズのシニア・ストラテジスト、ジョシュア・ウィリアムソン氏は「ニュージーランド経済が、成長サイクルで先行しているという事実を反映したものだ」と述べた。
ニュージーランドドルの対米ドル相場は3月の高値から7%余り下落した。アナリストの多くが、下落の継続を予想している。
豪ドルの対米ドル相場は4月、24年ぶりの高値となる1豪ドル=0.9541米ドルを付けており、少なくとも今後1カ月程度は底堅さを維持するとみられている。一部のアナリストは、豪ドルが数カ月後に1米ドルに上昇すると予想する。
RBCキャピタル・マーケッツのシニア通貨ストラテジスト、スー・トリン氏は「高利回りを追及する投資家にとって、豪ドルが最も人気のある通貨になるだろう」と述べた。
しかし、いずれは豪ドルの対米ドル相場も下落する公算が大きい。市場では、幅広い通貨に対して6年間下落していた米ドルが、やがて復調するとの声が多い。
ただ、ニュージーランドドルが豪ドルよりも対米ドルでの下落ペースが速く、このため、豪ドルはニュージーランドドルに対して底堅さを維持する見通しだ。
BNZのハンプトン氏は、「現在のところ、2つの経済は別の方向に動いているが、豪経済もある時点で軟調に転じるだろう。要はタイミングの問題だ」と述べた。
ロイターがまとめた調査によると、ニュージーランドドルの対米ドル相場は、9月までに現行水準から4%下落する見通し。これに対し、豪ドルの下落率はこの半分にとどまる。
1年後は豪ドルの下落率予想が8%なのに対し、ニュージーランドドルは約12%。
エコノミストの大半は、ニュージーランドの政策金利が09年3月までに豪州と同じ7.25%、6月末までに7%に引き下げられると予想している。
一方、オーストラリアの金利は、石炭や鉄鋼石、小麦への需要が経済を支え、2009年中ごろまでは据え置かれる見通し。
オーストラリア金利がニュージーランドの金利を上回るれば、2004年初め以来のこととなる。
前出のRBCのトリン氏は、豪ドルへのシフトは、日本の投資家向けのNZドル建ての売り出し債の償還が月平均で約2倍の14億NZドルになると予想される今年後半には、一段と鮮明になるとの見方を示した。
(ロイター日本語ニュース 原文:高田 和典、翻訳:山口 肇)
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