穀物価格の急騰が一服、最悪期脱したとの見方も
[シカゴ 15日 ロイター] 国際穀物価格の急騰に一服感が出ている。今年の豊作予想などが背景で、食品高騰は最終局面に近づいているとの指摘が出ている。しかし、食品価格の上昇は今後も続くとの懸念も根強い。
シカゴの小麦価格は、2月27日につけた最高値から42%下落。ただ1年前の水準は依然として64%上回っている。
シカゴのコメ価格も、依然として1年前の2倍の水準にあるものの、過去3週間で15%下落した。
国連食糧農業機関(FAO)が算出した4月の食品価格指数は、1年3カ月ぶりに低下した。FAOの穀物担当エコノミスト、アブドルレザ・アバシアン氏はロイターに「最悪期は脱したようだ」と述べた。
ただアナリストの間では、天候要因を含め、供給不足を連想させる材料が出れば、穀物価格は再び急騰するのではないかとの見方が根強い。
グローバル・インサイトのエコノミスト、トム・ジャクソン氏は「小麦はかなりの豊作を予想しているが、まだ2008年度は始まったばかりだ」と述べた。
家畜の飼料となるトウモロコシは、降雨で米国の作付けが遅れた影響で、今月初めに最高値を記録したが、その後は、米国での作付けペースが速まっており、上昇は一服している。
大豆も3月に最高値を付けたが、その後17%急落。前年同期の水準は73%上回っているものの、15日の大豆価格は、輸出国アルゼンチンの農家ストが終息に向かうとの見方から急落している。
<食肉メーカーに打撃>
食肉メーカーは、飼料価格の高騰で大きな打撃を受けている。
タイソン・フーズ(TSN.N: 株価, 企業情報, レポート)は15日、今年夏の鶏肉出荷が減少するとの見通しを表明。飼料価格の上昇により、食肉価格が値上がりするとの見方を示した。
コンサルタント会社アドバンスト・エコノミック・ソリューションズのビル・ラップ社長は「飼料価格の上昇は、まだ完全に消費者に転嫁されておらず、残念ながら、食品価格の上昇は来年まで続く可能性が高い」と述べた。
FAOによると、食品価格は2007年に40%近く上昇。世界37カ国で食料危機が発生しているという。
中国やインドでは所得拡大で食肉需要が増大している。米国では、エタノールの需要拡大でトウモロコシ価格が上昇。飼料価格の高騰で利益率の低下した食肉メーカーは、生産縮小に踏み切っている。
国際食糧政策研究所のディレクター、マーク・ローズグラント氏は「指標をみる限り、短期的には食品価格の下落は期待できない。各国のバイオ燃料政策によっては、さらに上昇する可能性もある」との見方を示した。
(ロイター日本語ニュース 原文執筆:Sam Nelson、翻訳:深滝 壱哉)
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