海外勢主導で大きく振れた株・円債、方向感つかめぬ国内勢

2008年 05月 16日 19:00 JST
 
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 [東京 16日 ロイター] 週末16日の東京市場は、株式市場と円債市場が大きく上下に振れる展開となった。いずれも海外勢の仕掛けが主導とみられており、ファンダメンタルズを見ながら取引することが多い国内勢にとっては、方向感がつかめない展開となったようだ。

 特に円債市場では、国債先物の価格が大きく上下し、今年度が始まって2カ月足らずの間に国内勢の損失はかなり膨らんでいるとの思惑も出ている。

 <売り買いともにCTAの仕掛けとの声>

 株式市場では日経平均が上下に波打った。米国株高や1─3月期実質国内総生産(GDP)が事前予想を上回ったことなどを受け、午前の取引では主力銘柄中心に買いが先行。欧州勢が銀行、海運などにバスケット買いを入れたとの観測も出て、一時は1万4400円に接近する場面もあった。

 しかし、「複数の短期テクニカル指標が過熱圏に入ったことで、投機筋から先物と現物のプログラム売りが出て、一気に上昇幅が縮小した。週末でポジション調整の売りも出た」(銀行系証券)とみられている。

複数の市場筋によると、午前の取引では、一部のCTA(商品投資顧問業者)が株先売り/債先買いの取引を仕掛け、この取引をきっかけに日経平均は上値から急速に下げ始め、1万4200円台に逆戻りした。

 午後は一転して株先買い/債先売りのまとまった注文が出て、日経平均が持ち直す場面もあった。市場では「午後の株と債券をリンクさせた取引も、海外勢から出たようだ」(国内証券)との声が聞かれたが、結局、前日比マイナスで取引を終えた。

 <強いGDPに反応薄>

 1─3月期実質GDPについて三菱UFJ証券のシニア投資ストラテジスト、折見世記氏は「個人消費の強さが目立った。雇用者報酬の上昇が底上げした形だが、企業収益が落ちてきて夏のボーナスが伸び悩みそうなことを考えると、持続性には疑問が残る」との見方を示した。折見氏は「設備投資の落ち込みも気になるところだ。いずれにしろ、日本の景気は米国景気にさや寄せしていくことを考えると、今回のGDPは株式市場にとっては大きな材料にはならない。日経平均の予想PERが17倍まで上昇していることを考えれば、ここからの上値は重くなりそうだ」と話している。

 また、今回のGDPは「うるう年調整がうまくできていないことが(強くなった)1つの要因」(UBS証券・チーフエコノミスト、大守隆氏)との指摘があり、「うるう年で強めに出ていることはマーケットにかなり織り込まれ、株価の上値追いの要因にならなかった」(国内証券)との声が出ていた。

 <株式市場のエネルギー上昇傾向か>

 週末要因も重なって、日経平均は前日比マイナスで取引を終えたが、東京株式市場のエネルギーは次第に高まりつつあるとの見方も出ている。東海東京証券のエクイティ部長(エクイティ業務統括)、倉持宏朗氏は「このところ売買代金も3兆円前後まで回復してきており、ひところの薄商いから脱しつつある。依然として海外勢の動向がポイントになるだろうが、市場に活気が戻りつつある」と指摘する。 

 東証が15日にまとめた5月第2週(5月7日―5月9日)の3市場投資主体別売買内容調査では、外国人の6週連続の買い越しが目を引いたが、5月以降は都銀・地銀、信託銀行がいずれも2週連続で買い越している。インフレ警戒感の高まりにより金融引き締め傾向が強まれば、経済の成長抑制要因になるとも考えられるが、「日本の場合は絶対的な金利水準が低いため、他国に比べて景気に与える影響は軽微。むしろマクロモデルの視点では金利上昇による個人消費押し上げ効果でGDPにはプラスに作用する」(SMBCフレンド証券の中西氏)として、金利正常化に向けた動きは株式市場にとって好材料だとの見方も出ている。

 また、明治ドレスナー・アセットマネジメントのトレーディング部長、若林仁氏は「新興市場もジャスダックが3日続伸するなど堅調で、個人投資家が戻りつつあることも観測できる」と指摘。さらに「大証では任天堂(7974.OS: 株価, ニュース, レポート)が6万円超の戻り高値をつけ、相場全般に活気がある。下値不安は後退しているため、来週も踏み上げ的な上昇が続くのではないか」と述べている。 

 <午後に海外勢の仕掛けで円債急落>

 株式市場よりも振れ幅が大きかったのが円債市場だ。朝方は前日の米債市場が大幅続伸した流れを引き継いで短期筋の買い戻しが先行。先物6月限は一時前日比43銭高の135円58銭に上昇した。

 しかし、午後は一転して下げに転じ、一時、同78銭安の134円37銭まで売り込まれる展開となった。市場では、日銀国債買い入れオペの結果が発表され、全取利回り格差と平均落差利回り格差がともに0.10%を超える水準で決まったことが「需給不安を抱く結果となり、海外勢から仕掛け的な先物売りが出た」(みずほ証券・クオンツアナリスト・海老原慎司氏)との見方が出ていた。

 複数の市場筋によると、先物への売りは外資系証券などを通じたCTAやヘッジファンドの注文が主体で、彼らの売りが一巡すると下げ幅を縮めてきたという。ある邦銀関係者は「日銀の買い入れオペに関連した思惑の話は材料に使われただけで、海外勢の思惑でマーケットが振らされた格好だ。このところ国債先物の価格が1円単位で大きく振れることが多く、国内勢は苦戦している。かなり打撃を受けている参加者が多いのではないか」と述べた。

 別の邦銀関係者も「国債先物の取引の半分は海外勢が占めており、彼らが米債市場やその他の要因で動いてくると、国内勢には理由が不明なまま、大幅に価格が上下するという展開がこのところ多発している。現物の動きともかい離し、現物のヘッジとして先物を使ってきた国内勢にとって、最近の市場は非常にやりにくいだろう」と話している。

 (ロイター日本語ニュース 田巻 一彦)

 
 
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