米金融機関で長引くサブプライム問題、消費者ローンへの懸念も
[ニューヨーク 16日 ロイター] 米金融機関の間で、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の影響が予想以上に長引いている。金融機関の社債は、サブプライム関連損失の影響で急落しているが、市場ではまだ底入れ感は出ていないとの見方が多い。
昨年までは、シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)やメリルリンチ(MER.N: 株価, 企業情報, レポート)などの大手金融機関が、新経営陣のもとで07年第4・四半期に多額の損失を計上して膿を出し切るとの見方が多かったが、実際にはそうはなっていない。
金融保証大手MBIA(MBI.N: 株価, 企業情報, レポート)や保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)(AIG.N: 株価, 企業情報, レポート)がこのほど発表した第1・四半期決算では、状況が悪化していることが浮き彫りとなった。市場では、第2・四半期以降も損失計上が続くとの見方が出ており、金融機関の社債や株式は、しばらく低迷が続く可能性がある。
調査会社クレジットサイツのアナリスト、デビッド・ヘンドラー氏は「いったん減速したが、またこれから走り出すという状況ではない。問題は長引いており、次の四半期も、おそらく来年も状況改善は期待できない」との見方を示した。
金融株の年初来下落率は約11%で、全セクター中最低。S&P総合500種指数の年初来下落率は3.7%にとどまっている。メリルリンチによると、銀行・証券の社債は年明けから3%下落。高格付け社債全体では0.3%の上昇となっている。
金融機関は、サブプライム関連損失を甘く見積もり、結果として業績が目標を下回ったといえる。同時に、債務担保証券(CDO)など、従来大きな収入源となっていた仕組み債では利益を上げられない状態が続いている。
<次は消費者ローンか>
連邦準備理事会(FRB)の一連の流動性対策により、金融システム全体が機能停止に陥るとの懸念は後退している。ただ決算発表期が到来するたびに、金融市場に余波が及ぶ現状は、昨年以降の金融市場の混乱が、米消費者ローンの資産劣化という新たな段階に入ったことを示唆している。
MBIAの第1・四半期決算は24億ドルの赤字。AIGの第1・四半期決算も、デリバティブ関連損失が響き、過去最大の赤字を計上した。
ドイツ銀行のクレジットアナリスト、ジョン・ティアニー氏は「金融セクターは今後も圧迫されるだろう。次は、信用力が高いプライム住宅ローン、消費者ローンが懸念要因となるのではないか」との見方を示した。
サブプライム問題の影響は、自動車ローン、クレジットカード、ホームエクイティ・ラインズ・オブ・クレジットにも波及している。金融機関は、証券化商品などデリバティブの形で、この種のローン債権を保有しており、一部の金融機関では、これが業績目標の達成を難しくする要因となる可能性がある。
バンク・オブ・アメリカ(BAC.N: 株価, 企業情報, レポート)が先月発表した第1・四半期決算は77%の減益。同行は、住宅市場の低迷が今年いっぱい続き、今後はクレジットカード債権などの分野に問題が移るとの見方を示した。
フィフス・サード・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、マーコ・ミケリック氏は「住宅価格の下落とエネルギー価格の上昇で、個人消費が著しく減速する可能性がある」と指摘。
「そうなれば、金融機関の評価損計上は今後さらに増えるだろう。すでに、ホームエクイティ・ラインズ・オブ・クレジットの審査基準厳格化で、クレジットカードの利用が増えている」と述べた。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは13日、住宅ローン関連損失を過小評価していたと表明し、MBIAやアムバック・フィナンシャル・グループ(ABK.N: 株価, 企業情報, レポート)などの金融保証会社について、資産劣化が進んでいる第2順位抵当付住宅ローンに「大幅なエクスポージャー」があるとの見方を示した。
これは、金融保証会社がAAAの格付けを失う可能性があることを意味する。業績がさらに悪化する恐れもある。
アナリストの間では、損失計上への懸念から、金融セクターへの投資全般を控えたほうがよいとの見方が多いが、米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)など一部の機関投資家は、金融機関の社債には割安感があると分析。PIMCOは今年5月、国際金融セクターへの投資を増やしたことを明らかにしている。
クレジットサイツのヘンドラー氏も、ゴールドマン・サックス・グループ(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)やモルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)は、財務管理が良好で、住宅ローン関連資産を圧縮しており、顧客とも強い関係を築いているとして、両社の社債に投資妙味があると指摘している。
(ロイター日本語サービス 原文:Walden Siew記者、翻訳:深滝壱哉)
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