日本企業の買収防衛策に修正迫る、企業価値研究会が報告書案

2008年 06月 12日 06:42 JST
 

 [東京 11日 ロイター] 経済産業省の企業価値研究会は11日、日本企業の買収防衛策のあり方についての報告書案をとりまとめた。経営者の保身を目的にする防衛策の導入をけん制する内容で、「事実上、日本企業の買収防衛策の修正を迫る」(経済産業省幹部)報告書案となった。経産省は6月中に報告書として正式にとりまとめる。

 企業価値研究会は2000年5月に買収防衛策に関する指針をとりまとめた。これをきっかけに、日本企業では「事前警告型」とされるタイプを中心に、買収防衛策の導入が相次いだ。経産省によると、5月末現在で、防衛策を導入しているのは482社で、6月の株主総会での承認を待っているのが89社となっており、合計571社で買収防衛策の導入が公表されている。ただ、「経営者の保身を目的とするものや行き過ぎた防衛策の導入が相次いでいる」(経産省)ことを背景に、今回の企業価値研究会の報告書案は、事実上、前回の指針を修正する内容となった。

 報告書案では、スティール・パートナーズの買収提案に対し、ブルドックソース(2804.T: 株価, ニュース, レポート)が21億円の金銭交付と株主総会の特別決議を理由に防衛策を発動したのを強く批判し、買収者に対する金員の交付は「行うべきではない」と明確にした。また、取締役には「多数の株主から賛成の意思表示を得たからといって直ちに防衛策の発動が正当化されることにはならない」とも指摘。「総会での賛成さえ得ればいいとする形式要件が強調されると、株式の持ち合いを進めればいいと誤ったメッセージを送ることになる」として、日本企業の安易な持ち合い加速に警鐘を鳴らしている。

 さらに「企業価値と株主共同の利益」を恣意的に解釈し、従業員や取引先など株主以外の利益に言及して防衛策の発動の要件とする企業をけん制。報告書案では「企業価値」の定義を「キャッシュフローの割引現在価値」と明確に位置づけて、「従業員やその家族を守るのが『企業価値』などとの拡大解釈は許されない」(経産省)ようにした。

 このほか、報告書案では、買収提案の検討期間を長期に引き延ばして買収をあきらめさせるような行為を否定。また、買収者の資金調達先やスポンサーの開示を求めるなど、企業側が不必要な情報提供を求める例もあることから、「必要な水準を超える情報開示を買収者に要求し、それが行われないことを理由に防衛策を発動することは許されない」とも指摘した。

 2007年2月にスティール・パートナーズから買収提案を受けたサッポロホールディングス(2501.T: 株価, ニュース, レポート)は、買収防衛策の手続きで30数項目の質問状を提示し、回答と再質問を繰り返した末、1年後に買収提案の反対表明に至った。また、ブルドックは、昨年5月からのスティールによるTOBに対し、79問におよぶ質問状を送付。これに対してスティールが、一部の回答を拒否したことを受けて、ブルドックは買収防衛策の発動に踏み切っている。

 
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