外為取引でロンドン市場への集中加速、東京は「調達市場」化が鮮明

2008年 08月 1日 13:10 JST
 

 [東京 1日 ロイター] 外為取引でロンドン市場への取引集中が加速している。地理的な優位性を背景にトルコリラをはじめとした高金利通貨人気や中東各国など政府系ファンド(SWF)の売買活発化に支えられており、日本の大手投資家の間でも流動性が急速に高まるロンドン時間まで取引を手控える向きが出始めている。

 東京市場は外銀を中心に低金利で流動性の高い円を調達する動きが目立つ程度で、ダイナミズムに欠け「調達市場」化が一段と鮮明になっている。

 <ロンドン市場のスポット出来高は7割増、日本勢も参入>

 「そろそろ『ロンパチ』(ロンドン時間の午前8時)だな」――。日本時間の午後4時前、ロンドン時間(夏時間)の午前8時近くになるとドル/円には連日、買い注文が入り始める。実需などの決済が集中するロンドン市場の仲値に合わせ、国内の投資信託や大手投資家が海外投資に伴うドル買いに動くためだ。円安時の2005年頃と違い、海外投資ブームが一服となった現在は海外投資の規模が縮小し、ドル/円の値動きに大きな影響を及ぼすほどではなくなったが、東京市場の決済関連売買が集中する午前9時55分の仲値ではなく、取引量の多いロンドン市場で為替取引を行う国内投資家が「着実に増えてきた」(外銀)という。

 ロンドン市場にはもともと「地の利」がある。時差の都合で朝方はアジアから、夕方には米国からと2大拠点の売買が流れやすくなる。売買が集中すれば流動性が高まり、値動きを伴えばさらに売買は活発化する。特に最近は、サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題などを背景に一時、ユーロが対ドル、対英ポンドで最高値を更新するなど買い人気が集中したことで、ロンドン市場の取引量が大きく伸びている。

 各国中銀・金融機関の調べによると今年4月現在、ロンドン市場のスポット取引高は月間の1営業日平均(以下、同)で5600億ドルと、前年同月に比べて73%増加。内訳を見ると、英国内の金融機関と国外金融機関の取引が大きく伸びるなど「ロンドン市場の寡占化とも言える状況が進んでいる」(東京外為市場委員会議長の井上悟志・三菱東京UFJ銀行市場業務部長)という。

 ロンドンの活況ぶりは、一時的なユーロ人気だけが背景ではない。個人・機関投資家から幅広い人気を集めているものの、アジア時間では参加者が少なく売買の成立しづらいトルコリラやノルウェークローネといった東欧・北欧通貨など、高金利通貨を中心とするマイナー通貨に投資家が目を向け始めたことも一因だ。ブラジルレアルなど南米通貨の取引量が増えるニューヨーク市場でも、4月のスポット取引高は3932億ドルとロンドンほどではないが、同4割の伸びを記録した。

 多くの関係者がもうひとつの要因と見るのが、中東や中国、ロシアなど巨額の資金を運用するSWFの存在感が増してきたことだ。特に世界最大のSWFを抱えるアラブ首長国連邦(UAE)など、巨額のオイルマネーを動かす中東勢の取引が活発化し始めるのは、日本時間の午後から夕方。複数の市場関係者によると、ロンドン市場の終盤にかけて、こうしたSWFは外貨準備のシフトに伴う通貨の売買のみでなく、短期的な値幅取りを狙って様々な通貨の売買に参戦している。SWFの存在は、その運用額の大きさから世界的な資金の流れ方さえ変えつつある。  続く...

 
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