世界景気減速でクロス円急落、ECBの担保引き上げも円買い誘発

2008年 09月 5日 16:44 JST
 

 [東京 5日 ロイター] ユーロ/円など対ドル以外の円相場で、円が数年ぶりの高値へ急伸している。世界同時の景気減速を織り込むかたちでユーロや英ポンド、豪ドルなどが大きく下落していることに加え、世界的な株価や商品価格の調整入りで、投資家がリスク回避の円買いに動いていることも一因。

 さらに欧州中央銀行(ECB)がオペの受け入れ担保のヘアカット(担保の掛け目)を引き上げたことも、参加者に金融システム不安再燃の可能性を想起させている。長期化していた円安の反動とも言える対クロス通貨での円高は当面続く可能性があり、一段の円高進展を想定する声も出ている。

 <クロス円は軒並み数年ぶり安値、ユーロ圏や豪州などの景気減速感強まる>

 5日の取引では早朝から円買いが活発化。ユーロ圏や豪州などの景気減速感を手掛かりに、個人投資家のストップロスを狙ったクロス円売り仕掛けが強まり、ユーロ/円は一時150.60円と2007年8月以来1年1カ月ぶり、豪ドル/円は85.84円と06年7月以来2年2カ月ぶり、英ポンド/円は186.13円と03年12月以来4年9カ月ぶり安値をそれぞれつけた。月初からきょうまでのわずか5日間でユーロ/円の下落幅は9円、ポンド/円は12円、豪ドル/円は7.5円と大幅。円高ピッチは強烈だ。

 急速な円高が進んだ主因は、ユーロや豪ドルなどの大幅な下落にある。特にインフレ高進が根強かったユーロ圏や英国、資源国の代表格である豪州などで足元景気の急速な鈍化が目立ち始めるのと同時に各国通貨が売られ「グローバル・リセッションを織り込む動き」(ある都銀のチーフディーラー)が進んでいる。

 実際、ユーロや豪ドル売りの一方で、景気減速と大幅利下げを背景に先んじて売られたドルを買い戻す動きも活発化しており、対ドルでユーロはきょう早朝までに一時1.4212ドルと昨年10月以来11カ月ぶり、ポンドは1.7555ドルと06年4月以来2年5カ月ぶり、豪ドルは0.8100ドルと昨年9月以来1年ぶりの安値を付けた。

 世界同時景気減速の流れは、始まったばかりだ。前日に政策金利を据え置いたECBは、ユーロ圏15カ国の域内総生産(GDP)見通しを08年中間値で1.4%、09年1.2%と、6月時点の08年1.8%、09年1.5%から下方修正。2日には利上げを続けてきた豪準備銀行(中央銀行)が7年ぶりに利下げに転じたほか、英国ではダーリング財務相が後に一部メディアの誤解だとしたものの、英景気は過去「60年間で最悪」と発言したと伝わるなど、各国・地域の景況感悪化は著しい。市場でもきょうにかけての円高で「セリングクライマックスに達したとは言いがたい」(在京外銀のチーフディーラー)といい、クロス円には一段の下値不安が残っている。

 前日に市場予想通り0.25%の利上げを行ったスウェーデン中央銀行が当面金利を据え置くとの見方を示し、スタンスを「タカ派路線から修正」(在欧外銀ストラテジスト)したことで、世界の主要国・地域の金融政策は軒並み「政策金利は横ばい、もしくは下向き見通し」(先の都銀ディーラー)となった。市場の世界同時景気減速見通しは、さらに強まっている。  続く...

 
 
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