金利政策は資産価格にも十分注意が必要=福井前日銀総裁
[東京 6日 ロイター] 福井俊彦・前日銀総裁は6日、日米財界人会議で講演し「金利政策は、内外のインフレ要因に加え、資産価格にも十分注意しながら、インフレ期待の安定を確保することに主眼を置いた運営がなされることが肝要だ」と述べた。
世界経済に関しては、米国発の金融市場の混乱は深刻の度合いを増していると指摘。ただ、日本経済は物価安定の下での持続的成長の基盤が決定的に崩れる状況にはない、との認識を示した。
足元の世界経済について、福井前総裁は「今、世界の金融・資本市場は非常な混乱状態にある。米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題に端を発した金融市場の混乱が、ここへきてさらに深刻の度合いを増している。現下の世界経済にとって、非常に大きな不確定要因になっている」と述べた。
日本経済についても、米国発の世界金融市場の混乱や米経済の低迷などを背景に「最近、成長率が再び低下傾向を示すようになった。半面、物価の上昇傾向は強まっている。景気の下振れとインフレの双方のリスクが高まって、先行き、日本経済についても不確実性が増している状況」と指摘。ただ「日本経済の場合、物価安定の下での持続的成長の基盤が決定的に崩れる状況とはなっていない。過去と比べても、日本経済のショックに対する耐性は増している」とした。その理由として、1)金融システムが健全性を回復している、2)企業のイノベーションの進ちょくと強力なグローバルビジネスネットワークの構築―――を挙げた。
日本経済の当面の課題は「上下双方向へのリスクにいかにバランス良く対処していくかだ」と指摘。また、長い目で見た場合には「安定的で持続的な成長軌道を確保するため、1.5―2%の間と推定される潜在成長能力を2%をいくばくか上回るところまで引き上げることが大切」と述べた。
今後の政策運営に関しては「当面の危機対応が非常に大切なのは言うまでもない」としたうえで、やや長い目で見た場合には「各国のマクロ経済政策は、常に地球規模の需給調整を念頭に置く必要がある、規制に頼るのではなく市場メカニズムを活かした政策を選択する」と述べた。具体的には「為替相場はエマージング諸国を含め各国がフレキシブルな動きを受容すること。金利政策は、内外のインフレ要因に加え、資産価格の動向にも十分に注意しながら、インフレ期待の安定確保に主眼を置いた運営がなされることが肝要」と指摘した。
さらには、生産性を高めることや、エネルギーや資源制約への取り組みも重要になるとした。
(ロイター日本語ニュース 清水 律子記者)
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