焦点:三井住友FGが巨額増資、メガバンクが資本調達のチキンレース
[東京 9日 ロイター] 三井住友フィナンシャルグループ(8316.T: 株価, ニュース, レポート)が最大8000億円に上る巨額増資を発表したことで、大手邦銀の自己資本懸念があらためて浮上することになった。
保有株式に対するリスクバッファーを確保しながら、一方で企業の資金需要にも応えざるを得ない邦銀の苦境を浮き彫りにさせた。三井住友が取った株式の希薄化を招きかねない公募増資という「正面突破」戦略は、みずほフィナンシャルグループ(8411.T: 株価, ニュース, レポート)や三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306.T: 株価, ニュース, レポート)の資本政策に影響を与えるのは必死だ。政府による公的資金注入の圧力が増す中、「自力資本調達のチキンレースが始まった」(外資系証券会社幹部)との見方も出ている。
<一部投資家失望の声、エクイティ・ストーリーに説得力薄いとの見方も>
「三井住友FGが一番希薄化を避けることに腐心していたと思っていたが、大変残念だ」――。ある機関投資家は声を落とした。一方で、記者会見した三井住友FGの国部毅取締役は「中長期的には企業価値の向上につながる。投資家からは受け入れられる」と楽観的な見通しを示した。
しかし、株主に増資を納得させるエクイティ・ストーリーとして相当に厳しいとの見方が、市場では一般的だ。増資計画と同時に発表した2009年3月期業績予想は、当期損益が当初予想の1800億円の黒字から3900億円の赤字に転落。国部取締役は「09年3月末の自己資本比率は11%程度を維持できる。(最大8000億円は)先を見越した先手を打った増資だ」と述べるが、「エクイティ・ファイナンスを赤字補てん向けに埋めるのかという疑念はぬぐい去りがたい」(銀行アナリスト)と受け止められてもおかしくはない。希薄化の程度は3割程度とされるが、「それを超える株価の下落を招く懸念もないではない」(同)との声さえ出ている。
<みずほと三菱UFJの株価にも波及の可能性>
三井住友の巨額増資の余波を間違いなく受けるのは、みずほと三菱UFJなど他の大手銀行グループだ。みずほは昨年末に優先出資証券で3000億円、三菱UFJは公募増資と社債型優先株で7900億円の資本増強を実施した。三井住友が同時期に調達したのは優先出資証券による7000億円で、決して他メガと比べて少なかった訳ではない。しかも、保有株式の損益分岐点は、日経平均で換算した場合に三井住友の7000円台に比べると、みずほと三菱UFJは8000円を超える水準だ。
3月の日経平均は、月中平均で7765円、期末日も8000円台をキープし、目先の自己資本危機は免れた格好だ。しかし、ある大手銀幹部は「株価が6000円台に落ちる可能性も想定すれば、怖くてリスクアセットを増やせる状況ではない」と打ち明ける。みずほと三菱UFJが次の資本増強に踏み切る可能性は、決して低くはない。 続く...












