海外拡大狙うフィアット、国内の労使問題に火種

2009年 05月 22日 17:06 JST
 

 [ポミリアーノ・ダルコ(イタリア) 20日 ロイター] 積極的な拡大戦略で世界2位の自動車メーカーにのし上がろうとしているイタリアのフィアット。先月に米クライスラーの株式20%取得で合意したほか、経営難に陥っている米ゼネラル・モーターズ(GM)GM.N傘下の独オペルにも興味を示している。

 一方、イタリア国内では、フィアットが世界的な拡大戦略の裏で人員削減に踏み切るとの懸念が持ち上がっており、特にポミリアーノ・ダルコやテルミニイメレゼといった同社とゆかりの深い地域では、住民の間に失業への不安が広がっている。

 人口約4万人のポミリアーノ・ダルコでは、フィアットの従業員が5000人いるほか、部品メーカーなども含めると、全人口の半分に当たる2万人が何らかの形でフィアットに関わっている。同地の失業率はすでに20%近くで推移しており、フィアットの工場閉鎖は雇用環境の深刻な悪化を意味する。

 2児の父親であるミモ・バッキアーノさんは「もし工場が閉鎖されたら、ここには失業とマフィア以外は何もなくなってしまう。ここは別の仕事が見つかるイタリア北部とは違う。われわれはパニックを抱えて生活している」と嘆く。

 フィアットと政府は、工場の規模を縮小するだけで閉鎖はしないと説明しているが、ポミリアーノの労働者はすでに警察とも衝突。労働組合委員と並んだバッキアーノさんは「工場閉鎖は暴動につながる。もし彼らがオペルを買収するなら、それはわれわれの金を使ってだ」と語った。労働組合委員は、会社側が協議を拒否していると怒りをあらわにする。

 フィアットのマルキオンネ最高経営責任者(CEO)は先に、労働組合とはオペルとの交渉の行方がより明確になった段階で会うと語っていた。しかし、従業員側は、工場が何週間も操業停止になっている状態で、月額約700ユーロ(約9万円)の生活保護給付金だけでは生活にも困ると主張する。

 ベルルスコーニ首相が介入すべきだと指摘するポミリアーノ・ダルコのデララッタ市長はこう語る。「これは地域経済が破たんするかもしれない問題だ。高失業率と情勢不安はこの町を崩壊させるだろう。われわれはオペル買収に賛成だが、生産はここに残さなければならない。フィアットはイタリアの会社なのだから、それは強く主張するべきだ」。

 <リスクを伴う>  続く...

 
 
Photo

ロイターオンライン調査

写真

デフレ環境下で急速な円高が進み、「ドバイショック」も加わった。「日本株は売り材料ばかりで、八方ふさがりだ」との声も。  ブログ