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コラム:東芝とWD、半導体事業売却で早期歩み寄りを
2017年5月10日 / 03:04 / 5ヶ月前

コラム:東芝とWD、半導体事業売却で早期歩み寄りを

 5月9日、東芝は米ウエスタンデジタルに対し、半導体事業売却計画の妨害を止めるよう警告した。両社は早期に何らかの合意点を見いださなければならない。写真は東京で1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[ニューヨーク 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 東芝(6502.T)と米ウエスタンデジタル(WD)(WDC.O)はもう友好的な付き合いを続けることができない。経営が苦しくなっている東芝は不満を抱えたWDに対して、生き残りに不可欠な半導体事業売却計画の妨害を止めるよう警告した。残念ながら、米企業が自社の経営戦略を犠牲にしてまで協力する気持ちを持つことはない。だから両社の考えが一致する部分は限られるが、それでも素早く何らかの合意点を見いださなければならない。

東芝は米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の破綻で生じた損失を埋めようと焦っている。WHの昨年末時点の債務総額は98億ドルだった。WH破綻の影響で東芝は債務超過に陥り、会計処理が混乱して、既に上場廃止の瀬戸際に追い込まれている。その打開策が、携帯電話向け半導体製造で世界2位の「東芝メモリ」の持ち分売却だ。東芝は高値での売却を目指しており、少なくとも買い手候補の1つが200億ドル強の価格を提示したと報道されている。

ただ、合弁のパートナーであるWDは独占交渉権を求めている。WD側は合弁契約がこの点を定めていると主張し、東芝側が異を唱えている。WDは既に買収金額を示したが、関係筋によると水準は低かったという。WDは純債務が今年の利払い・税・償却前利益(EBITDA)予想(63億ドル)の1.2倍に達しており、借り入れ意欲も限られそうだ。

WDのマーク・ロング最高財務責任者(CFO)は4月のロイターとインタビューで、産業革新機構や日本政策投資銀行など日本の政府系機関との連携の可能性を示唆した。WDはNAND型フラッシュメモリー事業で垂直統合を維持してマージンを守る必要があり、東芝から同事業の持ち分を手に入れるのがどこであろうと同事業への投資継続を確保したいと考えている。買い手がコスト削減に熱心であれば、投資の継続は危うくなるだろう。

従ってWDが頑なな態度なのは納得できるし、東芝の抵抗ぶりもまた理解できる。しかし法廷闘争が長引き、東芝が出血多量で死に至れば、だれにとっても良い結果にならない。とりわけ日本政府の心証を害すれば影響が出る。WDが提示額を引き上げるか、WDが受け入れ可能な候補への売却がまとまればこうした板挟み状態は解消する。どのような解決策であれ、東芝とWDは迅速に歩調を合わせた方が良い。

●背景となるニュース

*東芝はメモリー事業の合弁パートナーである米ウエスタンデジタル(WD)に対して、同事業の売却を妨害しないよう通告し、メモリー事業売却は合弁契約に違反しており法的措置も辞さないとするWDの主張をはねつけた。東芝がWDに送った3日付の書簡をロイターが入手した。東芝は当初、米サンディスクと合弁で半導体事業を立ち上げたが、WDが2016年5月にサンディスクを買収し、同合弁事業の持ち分を取得した。

*3日付の別の書簡によると、東芝はWD側が合弁契約の一部を誤って解釈していると指摘。WDが5月15日までに合弁を正しく実行する姿勢を明確にしなければ、同メモリー事業の施設などへのWD社員のアクセスを停止する措置を取ると警告した。

*東芝とWDは合弁契約に基づき、共同で半導体工場を運営している。しかし複数の関係筋によると、WDは同事業の入札で有力な買い手とみなされていない。関係筋によると、WDの提示額は他の入札参加者よりも大幅に低い。WDは独占交渉権を求めている。

*東芝は、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の経営破綻で発生した損失を穴埋めするため、メモリー事業を売却する方針。東芝によると、米原発事業の減損処理は7130億円に上り、2017年3月期連結決算の純損益は1兆円の赤字となる見通し。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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