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アングル:トヨタ、新型パワートレーン外販へ 投資回収を加速
2016年12月30日 / 04:36 / 9ヶ月前

アングル:トヨタ、新型パワートレーン外販へ 投資回収を加速

 12月30日、トヨタ自動車がハイブリッド車「プリウス」に採用したハイブリッド(HV)システム、エンジン、トランスミッション(AT)を一新し、新型パワートレーン(動力伝達装置)の外販に乗り出す。写真はタイの首都バンコクで3月撮影(2016年 ロイター/Chaiwat Subprasom)

[東京 30日 ロイター] - トヨタ自動車(7203.T)がハイブリッド車「プリウス」に採用したハイブリッド(HV)システム、エンジン、トランスミッション(AT)を一新し、新型パワートレーン(動力伝達装置)の外販に乗り出す。

自社の環境車技術を普及させ、開発投資を早期に回収することなどが目的だ。関係筋によれば、新型HVシステムは2020年以降、マツダ(7261.T)、富士重工業(7270.T)、スズキ(7269.T)への供給を視野に入れている。

トヨタは新しい設計手法「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」による車づくりを進めており、昨年発売したプリウスはその第1号車。同社はTNGAによって原価低減、デザインの自由度拡大、「走る」「曲がる」「止まる」といった車の基本性能など商品力の向上を目指している。 同社はTNGAに基づいて開発した排気量2.5リットルのエンジン、8速と10速のAT、HVシステムといった新型パワートレーンの搭載車種を2017年から一気に増やし、21年までに日米欧中の主要市場で販売する車の6割超に搭載する予定だ。

トヨタは同時に、この新型パワートレーンを他の自動車メーカーにも供給したい考えだ。水島寿之専務役員によると、他社の車に搭載できなかった従来のパワートレーンと異なり、新型は「非常にオープンなユニット」であり、「いろいろな顧客(他社の車)でも搭載できるよう配慮されている」という。

複数の関係筋によると、新型HVシステムは20年以降、すでに提携関係にある富士重、新たな提携領域を検討中と表明しているマツダやスズキへの供給を想定している。今後ますます世界の主要市場で環境規制が強まる中、経営体力で劣る富士重など3社が巨額投資を伴う技術をすべて自社開発するのは難しい。

<部品メーカーも外販を歓迎>

水島氏は今年4月に発足した社内カンパニーの1つで、パワートレーンカンパニーのプレジデントを務める。昨年4月にトヨタグループの部品メーカーであるアイシン精機(7259.T)の副社長からトヨタ本社に役員として招へいされた異例の経歴を持つ。

トヨタ以外とも取引する部品メーカー出身の視点から、同氏は「技術はたくさんの人が使って初めて進化し、価値が出る」と他の自動車メーカーとのユニット共有化に強い意欲を示す。

これまでトヨタ車の部品はトヨタがまず技術開発を先行し、製品化する際に初めて部品メーカーが参加してきた。だが、今は先行開発の段階から部品メーカーが参加することで、「トヨタだけではなく、誰にでも使える技術」(水島氏)として開発を進めている。

別の大手系列部品メーカー、デンソー(6902.T)の加藤良文常務役員も外販に動くトヨタの戦略転換を市場拡大につながるとして歓迎する。加藤氏によると、たとえば、トヨタの以前のHVシステムで使われていたインバーターは「(各社によって)モーターの形、電流の幅が違うため、そのままでは売れなかった」。しかし、今後は「システムのかたまりで売ってほしいと言われれば、そのまま持っていける」と話す。

現在、デンソーとアイシンは年間売上高の約半分がトヨタ向け。トヨタの戦略転換により、デンソーは顧客基盤を間接的に広げることができ、独ロバート・ボッシュ[ROBG.UL]や米コンチネンタル(CONG.DE)など世界の大手部品メーカーとの競争でも一役買いそうだ。

<開発費削減>

自動車メーカー同士が基幹部品やシステムなどを共有化する例はトヨタ以外でもすでに進んでいる。14年には日産自動車(7201.T)が看板車種「スカイライン」で提携先の独ダイムラー(DAIGn.DE)がメルセデスベンツ向けに開発したエンジンを採用して話題になった。看板車種の心臓部であるエンジンに他社製を使うのは異例だったからだ。

今年発売した日産の高級車ブランド「インフィニティ」の小型車「Q30」でもダイムラー製のエンジンや主要部品を使用している。開発費を抑制したいとの両社の思惑が背景にある。トヨタも外販拡大によってコスト削減を狙う。同社はCO2(二酸化炭素)削減のため、50年にガソリンエンジン車をほぼゼロにする方針で、そうなれば内燃機関ベースのパワートレーンはいずれ必要なくなる。ただ、環境対応に優れる新しい技術開発への巨額投資は避けられない。

すでに投資負担は拡大しており、トヨタの研究開発費は2010年比で73%増の約90億ドル(1兆円超)に達した。販売首位を狙う最大のライバル、独フォルクスワーゲン(VOWG_p.DE)は同期間で倍以上に膨らんでいる。

トヨタは新型パワートレーンの搭載を急ぐ一方、外販によって投資回収が早まれば、経営資源を電気自動車や燃料電池車など次世代電動車両への開発に振り向けられる。

自動車調査会社カノラマジャパンの宮尾健アナリストは、トヨタの外販が成功するには、トヨタのメリットだけでなく、他社にとっても内製と比べ高品質で低コストな部品調達につながる「ウィンーウィン」の関係が必要だと指摘している。

*フォーマットを修正しました。

田実直美、白木真紀 編集:北松克朗

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