〔金利ウォッチャー〕流動性低下で国債先物が乱高下、投資家は国債を敬遠し一般債に資金シフト

2008年 05月 16日 18:22 JST
 
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 国債先物が乱高下する展開が続いている。月末のインデックス年限長期化や6月国債大量償還など需給改善期待が浮上しているが、テクニカル的な売買を行う商品投資顧問業者(CTA)など海外勢による仕掛け的な売りで国内勢のリスク許容度が低下。流動性に対する懸念がさらにボラティリティを高める状況になっている。こうした中で、相場の乱高下を嫌った投資家は資金を国内普通社債(SB)や地方公募債などの一般債に振り向ける動きをみせている。本来ならば信用力が高いはずの国債が敬遠されるという歪んだ構図を生み出している。

 <一般債の売れ行きは順調、運用資金は国債回避も>

 16日の一般債市場では、三井金属<0#5706=JFI>(期間5年、発行額100億円)や新日本製鉄<0#5401=JFI>(期間6年と10年、発行総額600億円)、帝人<0#3401=JFI>(期間5年と7年、総額300億円)、日本板硝子<0#5202=JFI>(期間5年、発行額200億円)がSB起債に踏み切った。また、東京都<0#0100=JFI>(期間10年、発行額400億円)や埼玉県<0#0110=JFI>(期間20年、発行額200億円)、大阪市<0#0150=JFI>(期間5年、発行額150億円)をはじめとした自治体が公募公債の募集を行った。

 「発行条件で国債とのスプレッドがタイトな銘柄が目立ったが、官庁系や生保・年金などの中央投資家や地方投資家など幅広い投資家の需要が強く、消化状況はおおむね順調」(国内証券の債券担当者)という。

 一般債の起債ラッシュは6月下旬の株主総会まで続く見通しだが、国債先物のボラティリティが高まる中で「投資家は国債投資を敬遠して少しでも利回りが高い一般債に運用資金を振り向けている。5月も半ばに差しかかり、6月の四半期決算を意識する一部投資家は余剰資金の運用に窮している印象だ」と同関係者は指摘する。

 <国債買いオペで需給不安、海外勢が売り仕掛け>

 投資家の買いがおう盛な一般債市場と対照的なのが国債市場だ。本来であれば信用リスクの点では一般債に比べて小さいはずだが、国内投資家の動きは極めて鈍い。16日の国債先物は朝方こそ米景気指標の悪化を手掛かりに米債急伸の流れを引き継いで短期筋の買い戻しを誘ったが「上値では戻り待ちなどの売り圧力が強い」(邦銀)中で、昼休み時間中に発表された日銀の中長期国債の買入オペ結果が需給不安を反映する内容となると、午後の取引開始直後から売りが膨らんだ。先物中心限月6月限は一時同78銭安の134円37銭に急落し、高値からの値幅は1円21銭に拡大した。値幅が1円を超えたのは14日に続いて今週2回目。

 オペの結果は、全取利回り格差がプラス0.101%、平均落札利回り格差がプラス0.109%。市場では「オペには短期ゾーンを中心に売却されたと見られるが、全取利回り格差と平均落札利回り格差がいずれも0.10%を超える水準で決まるなど需給不安を抱く結果」(みずほ証券・クオンツアナリストの海老原慎司氏)との見方が浮上。先物と短期ゾーンが強く連動しているわけでないため「日銀オペが海外勢などの仕掛け的な売りのきっかけに使われた」(国内金融機関)との観測が出ている。14日と16日の相場急落場面で、国債先物は135円を割り込むと「10銭の値幅に数十枚の注文しかない」(同)状況で、流動性低下がボラティリティを高めている。

 <国債先物は国内指標に反応薄、懸念されるVaRショックの再来>

 安田投信投資顧問・運用本部長の小泉治氏は、価格変動性を高めている円債市場について「15日の3月機械受注や16日の1─3月期国内総生産(GDP)などの国内景気指標に反応せず、需給やディーリング感覚で動いている。CTAなどの動きに振れやすい相場が続き、国内勢は本腰を入れて買いを入れにくい」と話す。国債先物は予想を下回った3月機械受注に売り、予想を上回ったGDPに買いでいったん反応。理論的に説明がつかない値動きに「ダメージを受けた国内勢は相場先行きについて頭を悩ませ、国債取引に及び腰になっている」(国内金融機関)との声も漏れる。

 市場では「銀行勢はこれ以上売られた場合、バリュー・アット・リスク(VaR)によるリスク管理上、売らざるを得ないケースも出てくる」(邦銀)として、目先的に波乱含みの相場が続く見通しだ。ボラティリティが高い国債を避けて一般債を選好する流れが続く可能性が出ている。

 (東京 16日 ロイター)

 (ロイター日本語ニュース 星 裕康記者 編集 橋本浩)

(hiroyasu.hoshi@thomsonreuters.com; 03-6441-1786; ロイターメッセージング:

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