〔FEDフォーカス〕2010年のFOMC、タカ派メンバーの投票権獲得で意見対立深まるか
[シカゴ 10日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が2010年に入って最初に開く連邦公開市場委員会(FOMC)では、年内のFOMCで投票権を有するメンバーが4人入れ替わる。この中には2人の強硬なタカ派が含まれるため、投票権の移動が2010年のFOMCの意思決定に大きく影響する可能性がある。
全米12地区連銀のうちニューヨーク連銀を除く11地区連銀の総裁は、毎年4人が交代でFOMCの投票権を得る。このほか、FRB議長、副議長、5人の理事とニューヨーク連銀総裁が投票権を持つ。
2010年第1回目のFOMCは1月26─27日。この頃には、FRBはインフレ懸念の台頭に直面している可能性があると同時に、米経済の回復に勢いがつき始めている可能性がある。
一方で、失業率は上昇を続けると見込まれ、バーナンキFRB議長はじめFOMCメンバーが空前規模の金融緩和策を打ち切ることを躊躇させる要因となりそうだ。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ポール・アシュウォース氏は「あまりに急速、あるいは積極的な(FRBの)措置は、景気回復を阻害しかねない。また、対応が遅すぎたり中途半端でもインフレが手に負えなくなる可能性がある」と述べた。
また「FRBにとって、インフレが問題化する前に金融政策を量的緩和から転換するチャンスは非常に限られている」と指摘した。
2010年にFOMCで投票権を有するホーニグ・カンザスシティー地区連銀総裁とブラード・セントルイス地区連銀総裁は、インフレ警戒感が強いタカ派として知られる。
ホーニグ総裁は、FRBのバランスシートを縮小するため、大規模な信用緩和プログラムを迅速に打ち切れるよう準備しておく必要があると主張してきた。
このほかに2010年に投票権を有するFOMCメンバーは、中道派のピアナルト・クリーブランド地区連銀総裁、FRBのなかでもっともハト派とされるローゼングレン・ボストン地区連銀総裁。
<タカ派発言>
投票権の有無に関係なく、タカ派の地区連銀総裁による発言が最近目立っている。これを受けて、FRBが年末を待たずに政策金利を引き上げる、あるいは一部の信用緩和プログラムを10月過ぎまで延長しない、との観測が生じている。
FRBは昨年12月に事実上のゼロ金利政策に踏み切り、当面はこの水準を維持すると公約。事実上のゼロ金利下で、長期国債の買い入れなど利下げ以外の手法を講じて流動性を供給している。
最近のタカ派の発言としては、09年の投票権を有するリッチモンド地区連銀のラッカー総裁の発言がある。
同総裁は10日、「FRBにとっての課題は、バランスシートを縮小することに加え、景気の回復が顕在化したときにインフレ率の上昇を招かないほど早期の段階で金融政策を引き締めることだ」と述べ、「(引き締めの)時期が遅すぎる、あるいは動きが遅すぎるリスクを回避することが非常に重要だ」との見解を示した。
FRB内の議論は、インフレが米国および世界経済の膨大なスラック(経済の緩み)によって抑制できるか、あるいは純粋に金融ファクターによって加速するかどうかに絞られる可能性が高い。
キャピタル・エコノミクスのアシュウォース氏は「需給ギャップがかつてない水準に拡大しており、これはFRBにいくらかの猶予期間があることを意味する。需給ギャップは2010年には国内総生産(GDP)の10%にのぼる可能性がある。それでもなお、われわれはFRBの対応が遅すぎるリスクを想定している」と述べた。
<長期金利上昇>
米国債の利回りはここ1カ月で急上昇し、インフレ懸念が一因として取り沙汰されている。米10年債の利回りは10日、昨年10月以来となる4%に上昇した。
ホーニグ総裁は先週、「長期債市場での金利上昇やボラティリティの高まりという形で、金融市場の(インフレ)懸念の最初の兆候が示されているのではないか」と述べ、インフレに関する市場からの警告を聞き入れる必要がある、との見解を示した。
FRBの今後の金融政策を占う米金利先物は、先週5日の米雇用統計が予想ほど悪くなかったことから、久々に大きな動きを示した。現時点で、12月に0.5%への利上げがあることを完全に織り込んでいる。
<雇用なき景気回復>
金融緩和の解除が早すぎた場合に懸念されるのは、2010年初めの段階で米国の雇用市場が回復せず、米経済が依然低迷した状態にあることだ。多くの専門家は、米景気が2番底に陥る可能性を排除していない。
ゴールドマン・サックスのチーフエコノミスト、ジャン・ハツィス氏は「5月の米国の失業率は9.4%と、1982─1983年の一時期を除けば、1941年以来の高い水準にある。労働力全体の6分の1が失業状態にある。使われていない人的資源は膨大だ」と指摘した。
サンフランシスコ地区連銀は今週出したリポートで、米国の失業率が2010年に11%近くに達し、2011年末まで9%を超える水準で推移する可能性がある、と指摘した。
一方、タカ派のプロッサー・フィラデルフィア地区連銀総裁は最近、失業率が依然上昇している状況でも利上げの用意ができていなければならない、との見解を示し、「経済の転換点は失業率がピークを打つずっと前に訪れる。(景気回復の)プロセスが開始すれば、先手を打って行動する必要がある」と発言した。
(Ros Krasny記者;翻訳 高橋恵梨子;編集 加藤京子)
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