Reuters logo
トランプ米大統領の議会演説:識者はこうみる
2017年3月1日 / 04:43 / 7ヶ月前

トランプ米大統領の議会演説:識者はこうみる

[東京 1日 ロイター] - トランプ米大統領は28日、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及したほか、中間層向けの大幅な税負担軽減を打ち出した。

移民制度については、議会の共和・民主党が妥協すれば、幅広い改革が可能と述べた。ただ、改革の詳細については明らかにしなかった。市場関係者のコメントは以下の通り。

――関連記事:オピニオン:「大人しいトランプ」演説の真意=安井明彦氏

<ニッセイ基礎研究所 シニアエコノミスト 上野剛志氏>

演説では不規則発言はみられなかったものの、市場が期待したような減税の具体策も出てこなかった。経済政策に関しては、従来からの主張をなぞったに過ぎない印象で、材料視しにくい。

議会演説はもともと個別の政策の詳細に踏み込む場ではないが、トランプ氏が事前に税制改革で「驚くべき」提案を近く発表すると示唆していただけに、市場が期待した面があった。

もっとも、目先のドル/円は底堅いとみている。3月には予算教書の発表があるため、市場の期待はつながるのではないか。きょうの演説で過度な保護主義の側面が出なかったことも、リスクセンチメントの支えになりそうだ。

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

事前に新味のある内容はないということを見越していたようで、東京マーケットでは特段大きな変化はみられていない。

トランプ氏が米大統領選で勝利したときの残像を見たのが東京市場の参加者にはある。米大統領選結果後に思いっきりリスクオフに向いたが、欧州市場から米国市場に行くにつれてリスクオンになり「トランプラリー」になった。

この記憶があるので、東京市場で決め打ちで動くことができないだろう。米国市場の反応待ちというところで、これまで期待で持ち上がってきた米株式市場が演説にどのような反応を示すかが今後の注目点になる。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

トランプ大統領の演説は新味のないもので、アメリカン・スピリットの復活と米国のリーダーシップの復権という精神論に終始した。

大統領令発布の実績について述べているが、トランプ大統領にとっては「約束する事」が「公約を守った事」を意味しているようだ。

実現可能性については触れないというスタンスが演説から確認できた。

演説では、株価上昇、環太平洋連携協定(TPP)離脱など就任後40日間の実績を振り返ると共に、米企業によるパイプラインの建設、オバマケア(医療保険制度改革)の見直し、壁建設、国境警備強化、総額1兆ドル規模のインフラ投資計画などをあらためて表明するのみだった。

演説中のドル相場の反応は小幅なものにとどまったが、時間がたつに連れて市場では、トランプ氏の政策の実現可能性について懐疑的な見方が台頭してくる可能性があるとみている。

トランプ大統領の政策は「驚くべき」や「目を見張るような」などといった修飾過多な言葉でしばしば表現されるが、多くの政策は財源や期限が明らかにされずに現在に至っている。

就任後40日を経ても、このような抽象論にとどまり「有言実行」の手掛かりを得られないとすれば、期待に基づく相場のスターットダッシュはこれで終わりと言えよう。

この後の予算教書や経済教書(大統領経済報告)、そして100日計画の終わる4月末を待ったとしても、具体性を帯び、新しいサプライズを伴う、米経済を活性化させる政策が出てくることはいだろう。

3月に入り早速、米連邦準備理事会(FRB)要人から3月利上げの地ならしを図るかのような発言が相次いでいる。

 3月1日、トランプ米大統領は28日、上下両院合同会議で演説し、幅広い移民制度改革に言及したほか、中間層向けの大幅な税負担軽減を打ち出した。写真は合同会議の様子。ワシントンで2月撮影(2017年 ロイター/Jim Bourg)

ただ、今後の為替相場の本質的なテーマは、トランプラリーの巻き戻しがどの程度進むかということであり、それを弱め、加減するのがFRBの利上げという副次的なテーマであると位置付けている。

<ブーケ・ド・フルーレット代表 馬渕治好氏>

トランプ米大統領の議会演説は目新しいものが出ず、マーケットも一般教書に相当する今回の演説で具体的な数字を期待するのは酷、ということは織り込み済みだ。1兆ドルのインフラ投資の法案承認を要請するという話が出たが、1兆ドルという数字は公約時にも言及されているし、規模的に議会で承認されるのは難しいだろう。

演説内容に対し東京市場では反応がほとんどなく、今夜の米国の現物株がどう動くか見てから売買しようと様子見姿勢を決め込む投資家も多い。

日経平均は3月13日前後の予算教書公表まで1万9000─1万9500円を中心とした現在の水準で推移を続けるだろう。予算教書で具体的に税率は何%など、議論の叩き台は出てくると想定され、安心材料となろう。3月上中旬は他にも、米連邦公開市場委員会(FOMC)、米債務上限の引き上げ期限やオランダの総選挙など重要イベントが続く。これらが全て決着すれば、指数は大発会の終値(1万9594円16銭)や1月5日の高値(1万9615円40銭)を抜けてくるだろう。

<キングスビュー・アセット・マネジメントの資産運用担当、ポール・ノルト氏>

これから悪魔が細部に宿る。これが先物相場の反応がそれほど大きくなかった理由と考える。市場は依然として何が行われるのか、どのように機能するか、どこから資金を捻出するかを見極める姿勢だ。こうしたことが明らかになるまでおそらく数週間から数カ月かかるだろう。

誰もがさらに詳しい内容を求めて待ちの状態だ。

今は非常に期待が高まっている。今後の展開を待つ必要があるだろう。

<コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジ(ワシントン)の首席市場アナリスト、オマー・エジナー氏>

北大西洋条約機構(NATO)などへの言及は特に同盟国に安心感を与えるもので、その意味では世界の金融市場にとっても安心材料となっただろう。

財政面ではまだ詳細に欠けていた。大統領は1兆ドル規模のインフラ投資に触れたが、まだ早期であるためこの数字が変わることもあり得るだろう。税制面では大きな焦点はなかった。

ただ、演説がバランスのとれた内容だったことから、市場をある程度安心させた可能性がある。大統領の過去の演説や発言に比べて、今回の演説は大統領としてよりふさわしい内容だった。

<ウェドブッシュ・セキュリティーズ(サンフランシスコ)の上級副社長、スティーブ・マソッカ氏>

地雷や爆発もなく、かなりうまく行ったと思う。投資家の視点からすると新たな情報はなく、良い悪いにかかわらずサプライズはなかった。

あす資金がどう動くかに関しては、トランプ氏のイメージに磨きがかかったことからポジティブな反応があるだろう。彼は企業寄りの大統領だ。

<ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティチュートのヘッド・グローバル市場ストラテジスト、ポール・クリストファー氏ら>

今回の演説は、最近の発言や就任演説よりもはるかに大統領らしい調子で語られた。トランプ大統領は繰り返し、民主党議員に協力を呼び掛け、同盟国への支援を約束し、人種差別や偏見を非難した。

だが詳細には触れなかった上、大統領としての目標に優先順位を付けることすらしなかった。税制改革に関する言及はほとんどなく、1兆ドルのインフラ投資案については、議会による穏健な提案内容と食い違っている。

投資家にとっては手がかりが少なく、演説中マーケットの反応は不安定で方向感に欠けていた。米債利回りとドルは下落した。

演説の焦点は、トランプ氏の昨年の政策テーマを広く列挙することにあったようだ。その達成には結束が必要だ。

*内容を追加します。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below