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アングル:「トランプ砲」で蘇るデイトレーダー、出来高急増
2017年2月1日 / 00:36 / 8ヶ月前

アングル:「トランプ砲」で蘇るデイトレーダー、出来高急増

 1月30日、デイトレーダーはトランプ米大統領(写真)の「ツイート砲」を材料にして取引するのが大好きだが、ヘッジファンドや銀行の最も著名な計量分析専門家の一部は、同大統領のツイートから大胆な大量取引をするには時期尚早との見方を示している。オハイオ州で昨年10月撮影(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ニューヨーク 30日 ロイター] - デイトレーダーはトランプ米大統領の「ツイート砲」を材料にして取引するのが大好きだが、ヘッジファンドや銀行の最も著名な計量分析専門家の一部は、同大統領のツイートから大胆な大量取引をするには時期尚早との見方を示している。

トランプ大統領の活発なツイートは、金融市場のボラティリティーを高めている。これは、激しく変動する相場に賭けるデイトレーダーには良いことだ。低金利環境下で市場の動きが比較的安定し、予測しやすくなっていたため、短期売買のトレーダーはこの数年、苦戦していた。

「トランプ氏のツイートは短期筋に良い機会を与えている」と語るのは、ロンドンを拠点とするヘッジファンド「ハーモニック・キャピタル・パートナーズ」のパートナー、パトリック・サフベンブラード氏。

だが、クオンツ運用マネジャーはパターンを確立するのに少なくとも5年から10年のデータを必要とするため、同社にとっては正しい戦略ではないという。

クオンツ運用では、将来の市場の動きを予測するため、取引行動や資産価格のパターンあるいは動向を分析し、公式をつくり出す。これらがインプットされた高性能コンピューターは、アルゴリズムに基づいて自動的に売買する。

これら天性の数学者たちにとっては、トランプ氏のツイートはあまりに散発的で、意義ある投資戦略としては使えないという。

「トランプ氏のツイートは一過性のものにすぎない」と、ニューヨークの野村で株式クオンツ運用責任者を務めるジョセフ・メズリック氏は指摘。「データを見るには、十分な量のサンプルを分析しなければならない。ツイッター上では1つか2つのイベントしかなく、あまり信頼性がない」

コンピューターモデルを駆使して約220億ドル(約2.5兆円)の資産を運用するファースト・クワドラントも、トランプ氏のツイートを投資機会とは見ていないという。

「ファンダメンタルズ分析に基づいて運用するマネジャーとして、われわれが見るのはファンダメンタルズの変化だけだ」と、米カリフォルニア州パサデナにあるファースト・クワドラントのパートナー、イェッベ・ラデカール氏は語る。

グリニッチ・アソシエイツの最新調査によると、アルゴリズム取引は米株式の出来高の約55%を占めている。アイト・グループの調べでは、世界の為替市場において、その割合は65─70%に上る。

トランプ氏のツイートに対するクオンツ運用側の気乗りしない反応によって、ボラティリティーは普通なら抑えられているはずだ。しかし、トランプ新政権の政策の多くがまだよく分からないことを踏まえれば、株価は今後も大きく変動しやすいとアナリストはみている。

ミレニアム・グローバル(ロンドン)のポートフォリオ・マネジメント共同部長、リチャード・ベンソン氏の考えでは、トランプ氏のツイートが意味のあるボラティリティーというより、ノイズを生み出している。

データのなかのノイズがトレーディングシグナルをかき消し、その結果、不確実な結果をもたらしかねないとアナリストは指摘する。

トランプ氏のツイートはせいぜい、特定の企業に対する短期的センチメントの信号を発することによって、株式市場で役に立つかもしれないとベンソン氏。「だがツイートは解釈されるもの」であり、それが実際に何かを予測できるのかは分からないという。

ベンソン氏によると、約160億ドルの資産を運用するミレニアムでは、トランプ氏のツイートを使う予定はないという。

<個人投資家の出来高は急増>

デイトレーディングの世界は別だ。トランプ氏のツイートによって、一部の個人投資家向けオンライン証券会社では取引が急増している。

手数料無料の個人投資家向けトレーディングアプリ「ロビンフッド」の広報担当によれば、トランプ氏のツイートによって取引が急増したという。

米大統領選でトランプ氏が勝利した後の1週間で、同社の取引高は記録的水準である10億ドルを超えた。100万人のユーザーが利用する同アプリは、グーグル・ベンチャーズやアンドリーセン・ホロウィッツ、米ラッパーのスヌープ・ドッグや俳優ジャレッド・レトなどから資金調達を受けている。

リテール外為ブローカーFXCMFXCM.Nも昨年11月、取引高が増加した。その一因は大統領選だったと同社の広報担当者は語った。リアルタイムで出来高を集計する同社のインジケーターによると、ツイッターでのメキシコや中国に対するトランプ氏の中傷コメントは過去2カ月間、ドルの取引高を押し上げている。

また、米オンライン証券大手TDアメリトレード・ホールディング(AMTD.O)のウェブサイトによれば、第1・四半期の1日当たり平均取引量は前年同期比で11%増加し、その一因にトランプ氏を挙げている。

2016年10─12月期の決算発表で、同社のティム・ホッキー最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏のソーシャルメディア活動が今後も取引高をけん引する可能性があると語った。

「われわれは毎朝、トランプ氏が何かツイートしないかと期待して目覚める」とホッキーCEOは数週間前、CNBCに対しこう述べた。

<新たなビジネスチャンス>

トランプ氏のツイート好きは、ITベンダーにビジネスチャンスをもたらしている。そうした企業の一部は、同氏のツイートから利益を得る一助となるモデルを開発している。

例えば、ニューヨーク市に拠点を置く新興企業トリガーは、個人投資家にソーシャルメディア上のコメントを通知するが、トランプ氏が上場企業についてツイートしたら、投資家にそれを知らせるアラート機能「トリガー」を開発した。

同社のレイチェル・メイヤーCEOは、「トランプ・トリガー」が同社のプラットフォームで圧倒的に人気のあるアラート機能で、ユーザー全体の約3分の1が利用していると説明。「(トランプ氏のツイートが)やむとは思わない」と同CEOは語った。

(Gertrude Chavez-Dreyfuss記者、Anna Irrera記者 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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