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コラム:メイ英首相、歩み寄り見せつつ強硬離脱路線は健在
2017年6月22日 / 00:12 / 3ヶ月前

コラム:メイ英首相、歩み寄り見せつつ強硬離脱路線は健在

 6月21日、メイ英首相(写真中央)が掲げた今後2年の施政方針は、総選挙の敗北を受けてあちこちに妥協の要素が見える。しかしその中心部分には、ハード・ブレグジット路線がなお厳として存在する。ロンドンの英国会議事堂で撮影(2017年 ロイター)

[ロンドン 21日 ロイター BREAKINGVIEWS] - メイ英首相が掲げた今後2年の施政方針は、総選挙の敗北を受けてあちこちに妥協の要素が見える。しかしその中心部分には、欧州連合(EU)からの強硬離脱(ハード・ブレグジット)路線がなお厳として存在する。

議会で過半数の勢力を確保しなければならないため、メイ氏は幅広い国内改革の野心を封印せざるを得なかった。その中でエリザベス女王が21日に議会で読み上げた政府施政方針を見ると、メイ氏はEU離脱を進めていくことに全力を注ぐようだ。ただ政権基盤の不安定さを考えると、こうした目論見も絵に描いた餅に終わりかねない。

与党・保守党が過半数割れに陥った総選挙から2週間弱を経て、メイ氏は歩み寄りの姿勢を打ち出した。施政方針の内容は、1カ月前に保守党が示した大胆な政権公約の面影は見当たらない。年金や教育、社会福祉についての改革の約束はいずれも取り消されるか、骨抜きになった。企業幹部の報酬抑制と従業員の企業統治に果たす役割拡大という提案が消えたのも注目される。

こうした軌道修正は、政治的現実の裏写しだ。保守党は北アイルランドの地域政党である民主統一党(DUP)の協力を得て、法案成立に必要な過半数の議席を確保したいと考えている。もっともDUPとの協議がうまくいっても、今後保守党内の造反勢力に政権が突き上げられやすくなる。

時間との闘いという点も考えなければならない。既にEUとの交渉予定期間の2年のうち貴重な3カ月が経過した。あと1年9カ月で政府はEU離脱に向けた一連の法案を議会で通過させる必要がある。具体的には、現存のEUの法令を英国の国内法に置き換えたり、貿易や移民、農業などの分野で基本政策を策定することが求められる。施政方針で表明された法制化を目指す27項目のうち、ほぼ3分の1はブレグジット関連が占める。

とはいえこれらの政策課題を議会が支持しているとはとても言えない状況だ。メイ氏は合意形成を提唱しているにもかかわらず、自身が今年になって示したブレグジット案─EUの単一市場と関税同盟から離脱し、移民を大幅に制限する─を撤回していない。総選挙の結果からは、そうしたメイ氏の強硬路線を国民が支持しているのかどうか疑念が生じ、より穏健なEU離脱を好ましいとみなす議員の士気を高めた。

メイ氏が「緩やかな連立政権」をなんとか樹立して退陣圧力をかわすことができたとしても、最低限だけに絞った政策課題の実現という宿題は残されたままだ。

●背景となるニュース

*メイ英首相は21日、EU離脱の政府方針を固めるに当たって企業側の懸念により真剣に耳を傾けると約束した。自らの政治的な立場の弱まりを反映して強硬姿勢を和らげた形だ。

*メイ氏は社会福祉や教育、企業統治の分野でも以前に掲げた計画を棚上げした。

*北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)と2週間近く協議を続けているメイ氏は、閣外協力の正式合意を早期に取り付ける必要性が日増しに強まっている。

*21日に開会した英議会では、エリザベス女王が政府の施政方針を読み上げた。女王はEU離脱問題では議会や地方政府、企業などと協力して「可能な限り広範囲の合意」を築き上げると政府が約束していると表明。「政府の最優先課題はEU離脱に際して最良の合意を得ることにある」と演説した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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