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英選挙やFBI前長官証言後の為替見通し:識者はこうみる
2017年6月9日 / 01:13 / 4ヶ月前

英選挙やFBI前長官証言後の為替見通し:識者はこうみる

 6月9日、英ポンドは、8日に実施された英総選挙の投票終了後の出口調査で与党・保守党の獲得議席が過半数に届かない見込みと伝わって一時急落。ドル円はコミー前連邦捜査局(FBI)長官の議会証言を無難に通過したことで110.00円付近で強含んでいる。写真は英国旗とポンド硬貨。英ラフバラーで5月撮影(2017年 ロイター/Darren Staples)

[9日 ロイター] - 英ポンドは、8日に実施された英総選挙の投票終了後の出口調査で与党・保守党の獲得議席が過半数に届かない見込みと伝わって一時急落。ドル円はコミー前連邦捜査局(FBI)長官の議会証言を無難に通過したことで110.00円付近で強含んでいる。

8日に開催された欧州中央銀行(ECB)理事会も含め、重要イベントを受けた為替相場の見通しについて、市場関係者の見方は以下の通り。

●英総選挙はポンドに逆風、首相処遇など焦点

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

8日に行われた重要イベントのうち、ECB理事会は小さなサプライズ、コミーFBI長官の議会証言は無風、英総選挙は大きなサプライズという受け止めだ。

まずは、ECB理事会でフォワードガイダンスにおける利下げバイアスを削除したことについて、このような修正を行う予兆は前回までの議事要旨から読み取れなかったため、驚きを覚えた。経済見通しでインフレ率をはっきり下方修正しており、今回わざわざ修正する意図がよく分からない。加えて、ドラギ総裁が今後の利下げの可能性を否定しなかったことも疑問が残る。一方、9月理事会での資産購入プログラムの縮小について議論していないという点も新しい情報だった。この点は、7月理事会の注目点となるだろう。

コミー証言は前日に冒頭陳述の原稿が公表されており、既に材料としての織り込みは終わっていたもよう。今のところ、相場への影響は限られている。

問題は英総選挙だ。まだ出口調査の段階だが、メイ首相率いる与党・保守党が過半数割れになる公算が大きいという。今後、最終的な結果が出た後、メイ首相の処遇がどうなるのか、連立政権はどういった組み合わせになるのか、はたまた再選挙はあるのか、などを見極める必要があり、現段階では確たることは言えない。ただ1つ確実なことは、ただでさえ足りない欧州連合(EU)離脱交渉の時間がさらに足りなくなり、市場でブレグジットにおける最大のリスクと見られているクリフエッジ、諸条件の合意なしに離脱する可能性が高まったということだろう。英ポンドが急落したのは、当然の反応と言える。

ドル/円が堅調を維持しているのは、英ポンド/ドルの急落によってドル全体が買われているからにほかならない。それほどまでにポンドが嫌気されている。

●注目イベントはドル/円には不発弾、目線はFOMCへ

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

ECB理事会、コミー米FBI前長官の議会証言、英総選挙と並んだ3つの注目イベントは、ドル/円の投資家にとって不発弾となった。ポンドやユーロが下がっても、クロス円での円高、ストレートドルでのドル高となり、明確な影響は出なかった。

FBI前長官の議会証言は事前報道の範囲にとどまった。今後の捜査進展を見る必要はあるものの、弾劾騒動まで発展するかはまだわからない。水面下の捜査に移ってくるので新情報は出にくくなる。

    このため、目先の市場の関心は6月米連邦公開市場委員会(FOMC)に向かうだろう。6月FOMCでの利上げは織り込み済みでサプライズにならない。このため「材料出尽くしでドルが売られる」との話もあるが、そのような見方自体も織り込まれている可能性がある。FOMCでドルが上下のどちらに振れるかは、メンバーの金利見通しやバランスシート縮小議論の進ちょく次第といえる。

一方、ECB理事会では、フォワードガイダンスを巧みに修正し早期利上げ観測は後退した印象だ。成長見通しを上方修正した一方、物価見通しを下方修正。必要に応じた量的緩和の拡充の可能性もちらつかせた。

    南欧の銀行問題もくすぶっており、利上げ観測すぐに再燃する感じではない。投機筋のユーロロングが膨らんでおり、調整するリスクがある。仏選挙後の持ち直し局面は、米利上げ後は息切れするのではないか。

英総選挙はまだ出口調査の段階ながら、与党が過半数割れという予想に反する内容が伝わっている。欧州連合(EU)との離脱交渉は、英国サイドが一枚岩でも独仏との溝が埋めるのは難しいと思われたが、一段と複雑な情勢になってきた。ポンドには、今後も重しになりやすい。

●FBI前長官証言後のトランプ氏コア支持層の動向を注視

<マーケット ストラテジィ インスティチュート 代表 亀井幸一郎氏>

コミー米FBI前長官は8日、上院情報委員会で証言した。米株式市場は、新しい話が出てこなかったことをとりあえず好感したようだ。

しかし、コミ―氏は「トランプ氏がうそをつくのではないかとの強い懸念があった」、トランプ氏が自身とFBIを批判したことについては「単純明白なうそに過ぎない」などとはっきり述べており、捜査当局が、全般的にトランプ氏に背中を向けているという印象が残った。

今後は、コミ―氏の証言映像をメディアで見たトランプ氏コア支持層がどう動くかが焦点となり、支持率の変化に応じて、議会の大統領に対する態度も変わってくるだろう。

これまで、コア支持層は「嫌なことは聞きたくない、見たくない」との態度でトランプ氏を支持してきたが、少なくとも、コミ―氏証言をきっかけに支持層の一部では、そうした支持が剥落してくる可能性があるとみている。

ドル/円については、来週、米FOMCでイエレン議長が景気に対して強めの見解を示したとしても、レンジは既に下に切り下がってきているとみている。ドルの上値はせいぜい112円程度だろう。一方、下値は108円前半を試す可能性があると考えている。

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