Reuters logo
アングル:米エネルギーMLP窮地、原油急落と高配当モデル終焉で
2016年2月9日 / 06:17 / 2年前

アングル:米エネルギーMLP窮地、原油急落と高配当モデル終焉で

 2月5日、エネルギー関連事業などに使われる共同投資事業形態MLPは、米国の石油パイプラインや貯蔵施設などに1000億ドル以上の資金を供給、シェールブームを背景に投資対象として人気が高まった。写真は米ペンシルバニア州で建設途中の天然ガスパイプライン。2012年1月撮影(2016年 ロイター/Les Stone)

[ニューヨーク 5日 ロイター] - エネルギー関連事業などに使われる共同投資事業形態「マスター・リミテッド・パートナーシップ(MLP)」は、シェールブームを背景に投資対象として人気が高まり、米国の石油パイプラインや貯蔵施設などに1000億ドル以上の資金を供給してきた。しかし原油価格が想定外に落ち込んだことで、リスクとリターンをめぐる前提が根底から覆る事態となり、いまや存亡の危機に直面している。

これらの石油貯蔵・パイプライン運営企業は、原油や石油精製品を輸送する「中流事業部門」の一角を担い、1986年に法制化されたMLPを導入することで税制上の優遇措置を活用してきた。

シェールブームによる増産が高配当をもたらす一方で、相場変動に対してある種の保護機能が提供されることから、MLPは究極のエネルギー投資手段だともてはやされた。

しかしパイプライン運営のプレインズ・オール・アメリカン(PAA.N) やエナジー・トランスファー・パートナーズ(ETP.N)などMLP各社の最近の株価急落を見るかぎり、原油価格が底値に沈むと保護機能はもはや錯覚でしかないことがわかる。

年初に原油価格は1バレル30ドル前後まで急落し、大半の掘削業者の採算ラインを割り込んだ。パイプラインで原油を輸送したかどうかにかかわらず生産業者が支払いをする「最低輸送量保証」に懸念が生じることになった。

MLPの50銘柄で構成する「アレリアンMLP指数」は、シェールオイルの生産の伸びが最大だった2013年1月から2014年9月までに2倍以上に上昇。2015年には一転して3割以上下落した。これに対し、S&P総合500種株価指数の下落率は3%をやや下回る程度だ。

モーニングスターの調べでは、ミューチュアルファンドと上場投資信託(ETF)のMLP投資額は2014年の161億ドルから昨年は34億ドルに急減。2010年以降で最低となった。

MLPは法人税を免除され、利益の大半を投資家に配当形式で還元することになっており、最近までは年率8%に達するものもあった。利回り追求の投資家はMLPを債券のような確定利付き商品として扱い、減配や無配を検討し始めた会社からは投資家が逃げ出した。

米原油が増産している間はこれで問題なかった。新株発行で数十億ドルを調達し、手数料収入を生むパイプラインやターミナルを建設すれば、配当が増え続けた。

しかし2014年半ばから原油が値崩れし、続いて原油生産にブレーキがかかると、このモデルが行き詰り始めた。プレインズ・オール・アメリカンのグレッグ・アームストロング最高経営責任者(CEO)は昨年12月、生産の伸びを上回るペースで急速な増設が進んだと投資家に説明した。

原油安でパイプライン運営会社の新株発行による資金調達が難しくなり、新規事業の実現見通しが立たなくなったため、アナリストは多くのMLPがこれから資産売却を余儀なくされ、投資家への配当を減らすとみている。さらに投資家からの増配圧力を避けるためにMLPという事業形態を廃止したり、会社自体が存続できなかったりするケースも出てくるという。

プレインズ・オール・アメリカンは、すでに進行中のプロジェクトに必要な15億ドルの資金を調達し、1株70セントの配当を維持するために、株式市場ではなくプライベートエクイティ(PE)ファンドを頼みとすることにした。

エナジー・トランスファー・パートナーズは同業のウィリアムズ・カンパニーズ (WMB.N)を400億ドルで買収する計画だが、自社の株価が約60%も急落したことで見通しが立たなくなった。

多くのMLPが配当を続けるために採用した方法は、設備投資の縮小だ。ウィリアムズ・カンパニーズは2016年の設備投資を10億ドル削減し、2014年にMLPを廃止したパイプライン運営大手のキンダー・モーガン(KMI)(KMI.N)は長期的な設備投資を31億ドル削減した。

運用資産132億ドルのMLPファンドを管理するトータス・キャピタル・アドバイザーズのブライアン・ケセンズ氏は、設備投資縮小により投資家への配当は一時の6─8%から4─6%に低下するとみている。

一方、株価急落で割安感があるため、PEファンドが魅力的な案件を探す動きが「すでに始まった」との指摘がある。アークライト・キャピタル・パートナーズが最近、3億5000万ドルで石油パイプラインなどの資産を持つトランスモンターニュを買収したのもその一例だという。

Jarrett Renshaw記者 翻訳:長谷川晶子 編集:加藤京子

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below