Reuters logo
コラム:米大手銀、華やかな見かけでも不安な内実
2017年4月14日 / 09:35 / 5ヶ月前

コラム:米大手銀、華やかな見かけでも不安な内実

 4月13日、米大手銀行は華々しく着飾っているが、内実としては成長できる分野は乏しい。写真は2015年5月、ニューヨークで撮影(2017年 ロイター/Mike Segar)

[ニューヨーク 13日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米大手銀行は華々しく着飾っているが、内実としては成長できる分野は乏しい。シティグループ(C.N)とJPモルガン(JPM.N)、ウェルズ・ファーゴ(Wファーゴ)(WFC.N)の第1・四半期利益はいずれも市場予想を上回った。しかし減税や金融規制緩和を巡る熱狂的な期待は後退し、融資の伸びは鈍化しつつある。

与信コストは近く上昇するかもしれない。バリュエーションは一段と低下せざるを得ない。

JPモルガンとWファーゴの第1・四半期の株主資本利益率(ROE)はそれぞれ11%と11.5%で、ともに過去数年間のレンジで見れば上限付近に達している。両行とシティはいずれも貸倒引当金がさらに減少した。ただ、こうした与信コストは現在異例の低さにあるため、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)が言うように早期に正常化(上昇)するだろう。

既に懸念すべき兆しが見えている。JPモルガンの融資伸び率は前期比で1%にまで減速し、Wファーゴは融資残高がやや減った。これは業界的なトレンドだ。米連邦準備理事会(FRB)のデータによると、過去数カ月の商工業向け新規融資は差し引きベースで横ばい近くで推移している。

UBSの分析では、同じことは企業の差し引きベースの新規社債発行にも言える。金融機関を除く投資適格級企業の起債額は3月半ばまでに39%減少。また銀行は住宅ローンの案件も、ローンデポLDI.Nなどの専門会社に奪われ続けている。

こうした現象のいくつかは、企業がトランプ政権の姿勢を見極めようとしている中での一時的な動きかもしれない。減税や規制緩和の面でまだ進展がないことと、医療保険制度改革(オバマケア)代替案撤回のため、大統領選以降の銀行株の値上がりも一部が消えてしまった。

それでもまだ銀行株の多くは過大評価に見える。JPモルガンの株価は純資産価値を33%程度上回っている。これは理論的には年率のROEが13%に相当するが、ロイターの計算では少なくともあと2年は12%にも達しない。

Wファーゴやゴールドマン・サックス(GS.N)、モルガン・スタンレー(MS.N)などにも同様のかい離が見られる。シティだけは株価が純資産価値の77%程度であるため、7.4%という実際のROEは理論値とそれほど差はない。業界が待望しているような新たな金融規制の枠組みを議会が導入することがない限り、現実のバリュエーションが理論的な適正水準に近づいていくはずだ。

●背景となるニュース

・シティグループ、JPモルガン、Wファーゴが13日発表した第1・四半期利益は、金利上昇とトレーディング業績の改善でいずれも市場予想を上回った。

・シティの1株利益は1.35ドル、アナリスト予想は1.24ドル。181億ドルという収入も予想の177億ドルを超えた。ROEは年率7.4%だった。

・JPモルガンの純利益は64億ドル。1株利益は1.65ドルでアナリスト予想は1.52ドル。収入は247億ドルと予想の248億ドルにわずかに届かなかった。4億ドルの税控除などを織り込んだ年率のROEは11%。

・Wファーゴの純利益は55億ドル、1株利益は1ドルで、アナリスト予想は0.96ドル。収入は220億ドルと予想の223億ドルを下回った。ROEは年率11.5%だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below