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焦点:ティラーソン国務長官、試される「CEO流」政策手腕
2017年2月21日 / 06:54 / 7ヶ月前

焦点:ティラーソン国務長官、試される「CEO流」政策手腕

 2月19日、ティラーソン米国務長官(写真左)が就任早々に下した命令の1つは、国務省幹部にブリーフィング用の書類を2ページ以内に収めるよう指示したことだ。写真は1日、ホワイトハウスの大統領執務室で、トランプ米大統領と宣誓式に臨む同長官(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 19日 ロイター] - ティラーソン米国務長官が就任早々に下した命令の1つは、国務省幹部にブリーフィング用の書類を2ページ以内に収めるよう指示したことだ。

効率改善に常に力を注ぐことで知られる石油大手エクソンモービルのトップとして培われた経営スタイルが、このことに良く現れている。国務省の側近が、ティラーソン氏を「長官」と呼ばず「CEO(経営最高責任者)」と呼ぶ理由の1つでもある。

長官へのブリーフィング手順に詳しい現旧政府当局者10数人によれば、ティラーソン長官の前任者たちは、通常、はるかに詳細な情報を求めていたという。側近のR・C・ハモンド氏によれば、ティラーソン長官の指示は、外交政策の細部に関心を持っていないからというより、重要な事実に集中したいという長官の志向を反映したものだという。

「彼は部下に、情報の効率を高めるよう求めている」とハモンド氏。さらに情報を必要とする場合には、要求するだろうと付け加えた。「彼は決定権者であり、その前に事実をきちんと示すことが必要だ」

外交経験を持たず、政府の職務に就くのも初めてというティラーソン氏は、国務省の官僚機構に加え、同省とトランプ大統領及びその政権との関係の双方をうまく管理していけるかどうか、厳しい視線にさらされている。

ティラーソン長官との会議に出席した国務省幹部らによれば、長官は社交的で中身のある人物であり、その率直な態度と気が済むまで質問するスタイルには、策をろうするのではなく問題解決を追求するエンジニアとしての訓練を受けてきたことがうかがわれるという。

石油企業の経営幹部として経験豊富なティラーソン長官は、初の外国訪問として、先週ドイツのボンで開催された20カ国・地域(G20)外相会合に出席したが、ここでも好印象を与えた。ティラーソン長官に会った4人の経験豊富な外交官はロイターに対し、長官が現実的で対話に前向きな人物であることが分かって安心したと語っている。

とはいえ、同長官率いるチームが新政権における外交政策の策定においてどこまで有能かという点は、米外交官にとって重大な関心事だ。

国務省には指名を必要とする重要ポストが116あるが、超党派の「パートナーシップ・フォー・パブリック・サービス」によれば、そのうちすでに決まったのは2つ、つまりティラーソン長官と国連大使だけだという。

たとえば、ティラーソン長官の下にはまだ副長官がいない。長官が最初に名前を挙げた外交問題評議会シニアフェローのエリオット・エイブラムス氏をトランプ大統領が拒否したからだ。

「皆、彼を支えたいと思っている」とベテランの国務省幹部は語る。「だが、皆この国務省のビルはスカスカになっている気がしているのだ」と付け加えた。上層部のポストに空席が多いため、国務省には新政権における政策策定を支えるだけの準備ができていないという認識があるという。

また、大幅な人員削減やいくつかの部署の存続についての不安もある。2人の関係者によれば、管理資源担当局の職員たちに対して、省内の他ポジションに応募するよう指示があったという。ハモンド氏は、この部署の閉鎖については何の決定もないと言う。

<「ティラーソン外し」はあるか>

長年続いた米国の外交政策に関する最近の動きについて、ティラーソン長官は脇に追いやられているようにみえる。

 2月19日、ティラーソン米国務長官(写真)が就任早々に下した命令の1つは、国務省幹部にブリーフィング用の書類を2ページ以内に収めるよう指示したことだ。写真は1月11日、長官指名後に上院の委員会で議会証言するティラーソン氏(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

ティラーソン氏が14日、国務省での晩餐会でイスラエルのネタニヤフ首相と同席している頃、米国がパレスチナ国家を樹立してイスラエルとの共生を目指す「2国家共存」論への支持を後退させるとの報道が流れた。

「2国家共存」論は、イスラエルとパレスチナ問題の決着に向けた国際社会の政策の基礎だが、トランプ大統領は先週、当事者双方が合意するのであれば、この方針にこだわらない姿勢を表明した。

「政策変更は誰にも伝えられておらず、長官は初の本格的な外遊のため(独ボンに)出発しようとするところだった」と国務省の幹部は語る。

その翌日、ティラーソン長官が欧州に向かっている頃に行なわれたホワイトハウスでのトランプ大統領とネタニヤフ首相の会談には、シャノン国務副長官代行もまた参加していなかった、と政府当局者は言う。

ティラーソン長官が、今回蚊帳の外に置かれたことについて、これが意図的なものか、偶然なのかは分からないと2人の当局者は語った。

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あるホワイトハウス当局者はロイターに対し、この件についてティラーソン氏が事前に説明を受けていたかどうかは、分からないと語った。 国務省と新政権のあいだのコミュニケーションについてのより漠然とした懸念について尋ねると、この当局者は、両者は「非常にうまく」協調していると回答した。

「双方向で風通しのいいコミュニケーション経路がある」とこの当局者は匿名を条件に語った。「ホワイトハウスと国務省は、双方の組織に関連する問題全般について緊密に調整している」

確かに、もう1つの重要な問題については、ティラーソン長官は自身の発言力を発揮してトランプ大統領を説得した。台湾は中国の一部であるという中国政府の立場を認める「1つの中国」政策へと米国政府を回帰させたのだ。トランプ大統領はこれまで、米国が「1つの中国」を尊重することを疑問視するような態度を見せていた。

ハモンド氏によれば、ティラーソン長官は日に数回、トランプ大統領と電話で話しているという。「誰かに手早く連絡して、その人のアドバイスを聞くのが、大統領のいつものスタイルだ」と同氏は語る。「CEOにとって情報は下から上に流れてくるもの。(ティラーソン長官も)CEOだったから、それは理解している」

就任以来、ティラーソン長官は公の場でほとんど発言していない。側近たちはすぐに、ケリー前長官との違いを認識した。元上院議員で大統領選の候補でもあったケリー長官が頻繁に外国を訪問し交渉を重ねることを楽しんでいたのとは好対照である。

「ティラーソン氏はジョン・ケリー氏とは違う。2人を比較するのはフェアではない」とハモンド氏は言う。「ティラーソン長官は、大統領の相談役、そして補佐役として静かに仕事を進めている」

ティラーソン長官率いる国務省が懸念しているのは、立て続けの危機に悩まされているトランプ政権とのコミュニケーションを、同じ水準で維持するにはどうすればいいかという点だ、と外交政策・安全保障問題にかかわる9人の当局者は語る。

トランプ政権はここ1カ月、入国を制限する大統領命令に対する司法の反発、国家安全保障問題担当補佐官の辞任、トランプ氏の選挙陣営とロシア情報機関との関係についての捜査といった問題に直面してきた。

特に、マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が13日、着任後わずか24日で辞任したことによって、政府の外交政策策定において国務省の重要なパートナーとして行動する国家安全保障会議に、大きな空白が生まれている。

(翻訳:エァクレーレン)

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