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デフレ脱却で見えてきた供給力の壁、物価先行上昇に懸念も

2014年 05月 16日 14:04 JST
 
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[東京 16日 ロイター] - 日銀が成長戦略の重要性をあらためて強調し始めた。デフレ脱却が順調に進む中で、人手不足など供給面の制約が成長の足かせになる可能性があるとの見方が出ているためだ。

日銀内では、税収が増えずに物価と長期金利が上昇する事態を懸念する声も聞かれ始めた。市場にくすぶる追加緩和期待と日銀内の議論との間には距離がありそうだ。

<物価・金利の先行上昇懸念も>

黒田東彦総裁は15日米コロンビア大大学院が都内で開いた会議で「日本経済が中長期的に成長するためには供給力の拡大が重要」と強調した。「この1年ほどの間に、大規模な金融緩和、財政支出、民間活動の活性化によって需要が高まると、水面下に隠れていた供給力の問題が姿を現した」と指摘。「具体的な人手不足という現象を推進力にして、成長力の問題を広く議論し、解決を模索していくべきだ」と述べた。 

背景には日銀の想定よりも早く人手不足などの供給側の制約要因が現れ、日本経済の成長の壁が見えてきたことがある。輸出の低迷が続き、成長率が日銀の想定を下回っているにもかかわらず、物価はこれまでのところ想定を若干上回るペースで上昇。雇用のミスマッチや生産設備の老朽化などで日本経済の供給力に思いのほか余力がなかったと解釈されている。

このため日銀は4月末に2016年度までの経済・物価見通しを示した際、13年度と14年度の成長率を下方修正する一方、物価見通しはほぼ据え置いた。

理論的には供給制約があれば日本経済の潜在力との差を示す需給ギャップが縮まり物価が上がりやすいため、2%の物価目標達成を急ぐ日銀には朗報となる。 

実際、日銀の試算によると、需給ギャップは昨年10─12月にほぼゼロまで縮小し、1─3月以降はプラスが続く見通し。消費増税後の4─6月も1─3月と比べほぼ横ばいとみており、物価上昇圧力は消費増税で腰折れしないとみている。  

ただ、日銀内では物価の上振れリスクに言及する声も聞かれ始めた。黒田総裁は3月以降、日本経済は、就職希望者がほぼ雇用されている完全雇用の状態に近いと繰り返している。労働需給面では、少なくとも賃金、ひいては物価の上昇圧力が相応に高まりつつあると意識していると想定される。

 関係者によれば、成長率が十分伸びない中で物価が先行して上昇を続ければ、税収は伸び悩む一方で物価と長期金利が上昇し、「どちらかと言えばスタグフレーション的な世界」の実現が近づくことを懸念する声もあるという。

<16年度の成長見通し、政府より慎重>

日銀は、昨年1月に政府と結んだ共同声明でうたわれた成長戦略を政府が積極的に進める前提で異次元緩和を推進している。黒田総裁も15日の講演で「政府は幅広い分野にわたって成長戦略の方針を示し、実行を加速しようと取り組んでいる」と指摘した。

    日銀による16年度の実質成長率見通しは前年比1.3%。1月に政府の経済財政諮問会議に提出された「中長期の経済財政に関する試算」の同1.8%(成長戦略が奏功したケースの試算)を大幅に下回っており、今後の成長率について日銀が慎重にみている証左と言える。   

    市場や政府・与党関係者の一部には、2%の物価目標達成は容易でないとして、追加緩和期待がくすぶり続けている。黒田総裁も、達成が難しい場合は追加緩和を辞さない姿勢を繰り返し示している。しかし、日銀が懸念する供給面の制約への対応は成長戦略が担うべき部分でもあり、そうした日銀内の問題意識と市場の追加緩和期待にはずれが生じている。

(竹本能文 編集:石田仁志 山川薫)

 
 
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