露中銀の新為替政策で短期投機が困難に、市場でポジション解消の動き

2008年 05月 16日 17:00 JST
 
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 [モスクワ 15日 ロイター] 総額5000億ドルを超える金・外貨準備を運用するロシア中央銀行が14日、ルーブル切り上げを予想する投機筋をけん制するため新しい為替政策を発表したことを受け、為替市場では投機筋が窮地に陥っている。

 ロシア中銀はルーブルをドルとユーロで構成する通貨バスケット(0.55ドル/0.45ユーロ)に対して安定的に維持するため管理フロート制を採用しているが、ロシアの原油売却価格が過去最高水準に上昇する中、ルーブルへの上昇圧力は強まっている。

 同中銀は14日、より柔軟な為替相場が要求されるインフレ目標の採用を目指した改革の一環として市場介入手法を変更すると発表した。

 これまで中銀は、ルーブルが通貨バスケットに対して目標価格帯の上下限とみられる29.61ルーブルと29.90ルーブルに接近した時点で介入を実施していた。

 中銀当局者の1人はかつて、中銀による大量の通貨の購入によって為替市場で海外投機筋のポジションメークが容易になるため、そうした行為によって中銀は非常に不恰好な一面をさらしていると話していた。

 発表を受け為替ディーラーらはロイターに、通貨の購入額が少なくなったことと買いを入れる水準に変化が出てきたことで、市場で取引する他の金融機関と見分けがつかず、中銀の介入を察知できなくなったと述べた。

 ガスプロムバンクの為替ディーラーは「予想を立てるのが難しくなった。銀行は羊の群れのように右往左往している」と状況を説明した。

 15日のルーブル相場はユーロ・ドルの通貨バスケットに対して3日連続で下落した。ロシアの年間インフレ率が14.3%の高水準になったことを受け、市場ではここ数週間、中銀はループル上昇を容認するしか方法がないのではないかとの観測が流れていた。

 ウニクレディトのアレクセイ・ザイツェフ氏は「現在、市場関係者は通貨バスケットに対して29.60ルーブルで建てていたポジションを手仕舞っているようだ。現時点でルーブルはほぼ20コペイカ下げている。痛い損失だ」と語った。

 ルーブル切り上げはインフレ抑制に中銀が使える唯一つの手段との見方もあり、切り上げ観測は5月7日のメドベージェフ大統領の就任を控えてとりわけ強まっていた。

 一方中銀は投資家の非理性的な観測としてこれを否定、プーチン首相も、数年間は2ケタインフレに耐える用意があることを示唆し、切り上げ観測の沈静化に努めた。

 投機筋には現在、ポジションを手仕舞って損切りするか、引き続きルーブル上昇に賭けてロシア中銀に戦いを挑むかの選択肢がある。

 コメルツバンクのアナリスト、ウルリッヒ・ロイクトマン氏は調査ノートで「最初におじけづいたプレーヤーがゲームに負けるだろう。大国と度胸比べするのが賢明な戦略かどうかは分からない」と指摘した。

 中銀のウリュカエフ筆頭副総裁は新政策について、為替相場政策の柔軟性を高めることにより、投機筋は任意の日の為替相場を予想するのが難しくなり、資本フローの変動が軽減すると強調した。

 ゴールドマン・サックスのローリー・マクファークハー氏は「これまでのコミュニケーションは極めてあいまいだが、中銀は現在、目標価格帯の範囲内でスポット市場に双方向のボラティリティーの注入を計画しているとわれわれは理解している」と語った。

 大半のアナリストは新政策について、ルーブルに上昇圧力をかけている最大の要因であるロシアの経常収支黒字や外貨の供給過剰には全く影響しないとみている。

 ダンスク銀行のラース・ラスムッセン氏は「ルーブルの短期の投機筋はやりにくくなるだろうが、力強い対外収支と高インフレが強いルーブルへの需要を煽るという基本的な構図を変えるものではない」と分析した。 

 (ロイター日本語ニュース 原文執筆:Gleb Bryanski、翻訳:関 佐喜子)

 
 

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